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第3章 神への研究と代償

40 命の価値

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 その牢屋の中にいたのはカスミ1人だけではなかった。何人もの子供が全員手足を鎖で縛られ、猿轡を嵌められた状態で転がされてあって、その中にカスミはいた。気配からして、誰も死んではない。しかし、誰もピクリとも動かない。ただ、カスミだけは意識を保っていた。
「今開ける」俺は手に風を纏わせ大きく振るい、鉄格子を切断した。子供達を踏まないように入り、カスミを拘束しているものを全て取り外す。
「佐藤三郎。大きく感謝」とても珍しく、少し照れたように頬を染めてそう言われるが
「分かった分かった。とにかく、この子達のも解いてやってくれ」俺とカスミの共同で20人ほどの拘束具を破壊した。どうやらここに監禁して絶望させて、研究を進めていたのだろう。状況証拠しかないが、きっと、その考察は正しい自信がある。
「逃げるよ。三郎」その言葉に俺は無言で頷き、気絶している子供を3人抱えて走り出した。カスミは2人だ。
 能力を使えば楽なのだが、これはもしかしたらこの子達に負荷がかかるかもしれないから、使うのは最後の最後だ。しかし、もう運べないと判断したら遠慮なく使う。
 俺は自分の命の価値を下に見ている。だからこそ、俺は常に命を張れる。それよりも大きな目的があるから。

 外に出ると大きなバスが一台止まっていた。中から人が出てくる。その女に、
「まだ中にいる。待っていろ」そう言い子供達を渡した。カスミもまた俺について戻ってくる。しかし、時間が少ないのは事実。
「カスミ。掴まってろ」カスミは俺の手を握り、力を込めた。俺は能力を発動し、その場所から移動する。
「早い」カスミは軽く何か言ってきたが本当にこれは便利だ。今度はカスミも3人を抱え、走り出した。途中で1人の男とすれ違い、
「何人⁉︎」と聞かれたので
「残り9人だ」そう言い
「6人が限界だからもう一回行けるか?」
「もちろんだ」時間が、無い。残り3分ほどか。俺は走り続ける。カスミは電気を自分に流すことで筋肉を活性化させているらしいので疲れはないらしい。ただ、カスミをもう一回戻すわけにはいかない。俺が行くべきだ。俺とカスミは再びバスに子供達を預け、
「カスミ。お前は休んでいろ」
「私。行く。走れる」案の定の返事が帰ってきた。しかし、
「お前はさっきまでに能力を使い切ってるだろ。俺の方が帰って来れる」カスミの歩みは鈍かった。さっきまでの体力も能力に依存していたのだろう。しかし、見たところカスミは限界だ。
「分かった。気をつけて」少し、声が震えている気がしたのは、気のせいだろうか。


「うぅ」彼が見えなくなった後私は1人崩れ落ち呻いた。私は話し方が難しいだけで文を書いたりするときは普通なのだ。
かなり、心配だ。さっきまであの獅子に能力を喰われたせいで私にはもう一本のスパークを放つだけの能力しか残っていない。
 彼に死んでほしく無い。見た感じ無事に戻ってきそうな雰囲気を醸し出しているが、それでも不安だ。足音が聞こえ、私は彼を期待して顔を上げる。しかし、先ほどすれ違った男だった。子供をたくさん抱え、必死に走っていた。その男は私には構わず後方に走り去った。
「死なないで。三郎。嫌だ」
「っ?」何を、私は言った?何でこんなにも私は彼の事を心配しているのだろう。こんなに、私は情のある人間だったか?そんなこと無い。じゃあ、なんで、、、その瞬間、猛烈な光共に轟音と熱がして、私は
「っ三郎!」と叫ぶのだった。
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