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コンテストと彼女①
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窓の外を眺めると木々の若さが失われつつあり、あの肌を刺すような日差しも和らいでいた。
画面に映し出されているのは『ウェブ小説コンテスト』の文字。
今年もついにこの時期がやってきたのだ。
ウェブ小説コンテスト、通称ウェブコンと呼ばれており、様々なサイトやジャンルを問わず行われる。
ウェブ小説界で一番の規模を誇るコンテストだ。
例年1万作品ほどの応募があり、その中で大賞を取れば間違いなく名が知れ渡る。
これだけの作品があるにも関わらず、読者選考は一切ない。
その理由としては、人気のない名作が他の作品に埋もれてしまうのを避けたいためだ。
読者選考があると、どうしても新規ユーザーの突破率が低くなってしまう。
全くない訳では無いが、読まれづらいのは事実だ。
その点ウェブコンはそれが無いため、誰にでも可能性があり、いい作品を書いた者が勝者になる。
1万作品という膨大な数だが、多数の出版社協力のもとで審査されるため、結果は最終選考まで2ヶ月ほどになる。
もちろん今年も参加する予定だ。
ただ、それには大きな課題が1つだけある。
それは、今投稿している作品で応募するかだ。
正直今書いている作品は、1次予選で落とされてしまう可能性が高いと考えている。
かと言って、今から新しい作品を書くにしても2ヶ月で10万文字を書けるかどうか分からない。
ただ10万文字書くだけなら1ヶ月あれば書けるが、ウェブコンの応募作品となれば訳が違う。
普段投稿している作品に関しては、ミスが発覚しても修正すればいいが、ウェブコンの場合提出してしまえばもう修正することが出来ない。
膨大な作品があるんだ。誤字脱字などを見つけてしまえば、余程興味を惹く内容でない限り、即落とされてしまうだろう。
そのため、改稿作業もいつもより数倍の時間をかける必要がある。
「どうしよっかな……」
頭を掻き、背もたれに体重をかけながら考える。
12月末の締切と睨み合うが結論が出ずにいた。
だいたい新作の構想が浮かばない場合は、今の作品を続けるしかない。
ならば今年は参加しないでおこうか。
いや、僅かな可能性でもそれに賭けたい。
だいたい受賞されるのは20作品くらいなんだ。そこまで気負う必要は無い。
去年のように気楽に書けばいいんだ。
そう思いたいのだが、もう書き始めて7年目になる。
いい加減何かの形で結果を残したい。
長く続ければ誰もが人気の作家になれる訳では無く、10年書いていても結果を残せずにいる人だっているんだ。
逆に1年も経たずに結果を出す人もいる。
しかしそんな人もごく僅かな話。俺には関係の無い話だ。
長時間画面を眺めていたせいか、目が霞んできた。
椅子から立ち上がり、ソファーに倒れ込む。
壁掛け時計の秒針の音だけが僅かに聞こえる。
そんな音でさえ自分を急かしているようで、苛立ってしまう。
もし、このまま結果を残すことも無く小説を書かなくなってしまったら、自分は今まで何をしてきたのかと後悔してしまいそうだ。
そんな事を考えていると、少しづつ意識が遠のいていくのを感じる。
始めはそれに抵抗していたが、やがてそんな気力もなくなってしまい、そのまま手放す。
────────
インターホンを鳴らしても反応がない。
ドアノブを回すと鍵が空いていた。
「お邪魔しまーす」
玄関の扉を開け中へと入っていく。
1週間くらい来てないだけで久しぶりに感じてしまう。
既に感覚が重症レベルだ。
リビングへ入っていくと、ソファーで寝ている幸樹の姿があった。出かけてた訳じゃないんだね。
日は少しづつ沈み始め、照明の着いていない部屋は薄暗かった。
その中で一際目立つ明かり。パソコンのモニターだ。
画面を覗くと、『ウェブ小説コンテスト』の文字が映し出されてた。
もうそんな時期なんだね。
私は参加したことないけど、過去に受賞された作品の殆どは、一度くらい名前を聞いたことのある作品ばかりだ。
プロもアマチュアも参加するため、勝ち進むのは難しいだろう。
私が応募した新人賞は毎年500人程度なので、人数だけでいえばかなり確率は高い。
ましてや応募される作品は、全てアマチュアのものだ。
そのため少しだけ受賞される自身はあった。
「幸樹も公募出せばいいのに……」
私が来ていることなど露知らず、幸樹は小さないびきをかいていた。
というか毎回鍵空いてるけど、危機感とかないのかな?
ちょっと不安になる。
幸樹は今回どの作品で応募するのかな?
今書いている作品を応募するのか、はたまた新しい作品を書くのか。
応援をしてあげたい反面、今の彼じゃ上に行けないのも事実。
圧倒的にスキルが足りない。
ふと本棚に目をやると、100冊ほどのライトノベルの横に小説の参考書があった。
適当に選んだものを手に取る。
そこには受験生の参考書並みの書き込みがされていた。
前はこんな本なかったのに……。
幸樹なりにちゃんと勉強してるんだね。
ちゃんと全てに目を通してある。
「これほどの膨大な量、いっぺんに覚えられるわけないじゃん」
寝ている幸樹にツッコミを入れた。
全部を丸暗記しようとしてるのが書き込みから見て取れる。
もう少し効率良くできるでしょ……。
そんな不器用なとこも幸樹らしいよね。
ただ、こんなに頑張ってる幸樹を応援したい。
「ねえ、起きてよ」
幸樹の肩を揺らす。
「……ん……絢香?」
目を細めながら幸樹はこちらを向く。
「うん、おはよ」
「今何時だ?」
携帯の時計を確認するともうすぐ18時を回ろうとしていた。
その画面を幸樹に見せる。
「ん、おっけー。確認できた」
幸樹は横腹を掻きながら上半身を起こす。
「それより私が居ることになんも思わないわけ?」
「いや……もう慣れたわ……」
寝起き特有の気分が沈んだような声で呟く。
幸樹はソファーから降りるとキッチンへと向かう。
「飲む?」
冷蔵庫の中から出されたのはビールだった。
いつもなら止めるのに珍しい。
「うん、貰おっかな」
珍しく瓶ビールだ。手渡された瓶を受け取った。
体温を奪うほど冷えており、容器から水滴が流れてくる。
栓抜きを受け取り蓋を開けると、中から爽やかな香りを放ち、液体は黄金のように輝いていた。
瓶を口に当て、喉に流していく。
普段瓶ビールを飲まないため飲み慣れない。
スッキリとした味わいが特徴的でとても飲みやすい。
「美味しいね、これ」
「そっか、それなら良かった」
幸樹はいつものテンションだが、何故か少し落ち込んでるように感じた。
「ねえ、なんかあったの?」
「別に何も無いよ」
「別に」って言う時は何かある。幸樹の口癖だ。
普段から言動から表情が読み取りやすい。
「ウェブコンの事?」
しばらく沈黙が続き、幸樹が瓶をそっと置いた。
「んー……まあそうかな?」
やっぱその事で悩んでたんだ。
というか毎年この時期になると、頭を悩ませている気がする。
「今の作品でエントリーするんじゃないの?」
「いや、どうしようか考えてる」
という事は、新しくウェブコン用の作品を書く事も考えてるんだ。
締切まで2ヶ月。決して間に合わない訳では無い。
ただ、しっかりと題材が決まったらの話だ。
小説は世の中に数え切れないほどある。
当然目新しさや、個性がないと見た事のある作品として切られてしまう可能性も少なくない。
「じゃあさ……」
私は思い切って提案してみる。
「私と書いてみない?」
画面に映し出されているのは『ウェブ小説コンテスト』の文字。
今年もついにこの時期がやってきたのだ。
ウェブ小説コンテスト、通称ウェブコンと呼ばれており、様々なサイトやジャンルを問わず行われる。
ウェブ小説界で一番の規模を誇るコンテストだ。
例年1万作品ほどの応募があり、その中で大賞を取れば間違いなく名が知れ渡る。
これだけの作品があるにも関わらず、読者選考は一切ない。
その理由としては、人気のない名作が他の作品に埋もれてしまうのを避けたいためだ。
読者選考があると、どうしても新規ユーザーの突破率が低くなってしまう。
全くない訳では無いが、読まれづらいのは事実だ。
その点ウェブコンはそれが無いため、誰にでも可能性があり、いい作品を書いた者が勝者になる。
1万作品という膨大な数だが、多数の出版社協力のもとで審査されるため、結果は最終選考まで2ヶ月ほどになる。
もちろん今年も参加する予定だ。
ただ、それには大きな課題が1つだけある。
それは、今投稿している作品で応募するかだ。
正直今書いている作品は、1次予選で落とされてしまう可能性が高いと考えている。
かと言って、今から新しい作品を書くにしても2ヶ月で10万文字を書けるかどうか分からない。
ただ10万文字書くだけなら1ヶ月あれば書けるが、ウェブコンの応募作品となれば訳が違う。
普段投稿している作品に関しては、ミスが発覚しても修正すればいいが、ウェブコンの場合提出してしまえばもう修正することが出来ない。
膨大な作品があるんだ。誤字脱字などを見つけてしまえば、余程興味を惹く内容でない限り、即落とされてしまうだろう。
そのため、改稿作業もいつもより数倍の時間をかける必要がある。
「どうしよっかな……」
頭を掻き、背もたれに体重をかけながら考える。
12月末の締切と睨み合うが結論が出ずにいた。
だいたい新作の構想が浮かばない場合は、今の作品を続けるしかない。
ならば今年は参加しないでおこうか。
いや、僅かな可能性でもそれに賭けたい。
だいたい受賞されるのは20作品くらいなんだ。そこまで気負う必要は無い。
去年のように気楽に書けばいいんだ。
そう思いたいのだが、もう書き始めて7年目になる。
いい加減何かの形で結果を残したい。
長く続ければ誰もが人気の作家になれる訳では無く、10年書いていても結果を残せずにいる人だっているんだ。
逆に1年も経たずに結果を出す人もいる。
しかしそんな人もごく僅かな話。俺には関係の無い話だ。
長時間画面を眺めていたせいか、目が霞んできた。
椅子から立ち上がり、ソファーに倒れ込む。
壁掛け時計の秒針の音だけが僅かに聞こえる。
そんな音でさえ自分を急かしているようで、苛立ってしまう。
もし、このまま結果を残すことも無く小説を書かなくなってしまったら、自分は今まで何をしてきたのかと後悔してしまいそうだ。
そんな事を考えていると、少しづつ意識が遠のいていくのを感じる。
始めはそれに抵抗していたが、やがてそんな気力もなくなってしまい、そのまま手放す。
────────
インターホンを鳴らしても反応がない。
ドアノブを回すと鍵が空いていた。
「お邪魔しまーす」
玄関の扉を開け中へと入っていく。
1週間くらい来てないだけで久しぶりに感じてしまう。
既に感覚が重症レベルだ。
リビングへ入っていくと、ソファーで寝ている幸樹の姿があった。出かけてた訳じゃないんだね。
日は少しづつ沈み始め、照明の着いていない部屋は薄暗かった。
その中で一際目立つ明かり。パソコンのモニターだ。
画面を覗くと、『ウェブ小説コンテスト』の文字が映し出されてた。
もうそんな時期なんだね。
私は参加したことないけど、過去に受賞された作品の殆どは、一度くらい名前を聞いたことのある作品ばかりだ。
プロもアマチュアも参加するため、勝ち進むのは難しいだろう。
私が応募した新人賞は毎年500人程度なので、人数だけでいえばかなり確率は高い。
ましてや応募される作品は、全てアマチュアのものだ。
そのため少しだけ受賞される自身はあった。
「幸樹も公募出せばいいのに……」
私が来ていることなど露知らず、幸樹は小さないびきをかいていた。
というか毎回鍵空いてるけど、危機感とかないのかな?
ちょっと不安になる。
幸樹は今回どの作品で応募するのかな?
今書いている作品を応募するのか、はたまた新しい作品を書くのか。
応援をしてあげたい反面、今の彼じゃ上に行けないのも事実。
圧倒的にスキルが足りない。
ふと本棚に目をやると、100冊ほどのライトノベルの横に小説の参考書があった。
適当に選んだものを手に取る。
そこには受験生の参考書並みの書き込みがされていた。
前はこんな本なかったのに……。
幸樹なりにちゃんと勉強してるんだね。
ちゃんと全てに目を通してある。
「これほどの膨大な量、いっぺんに覚えられるわけないじゃん」
寝ている幸樹にツッコミを入れた。
全部を丸暗記しようとしてるのが書き込みから見て取れる。
もう少し効率良くできるでしょ……。
そんな不器用なとこも幸樹らしいよね。
ただ、こんなに頑張ってる幸樹を応援したい。
「ねえ、起きてよ」
幸樹の肩を揺らす。
「……ん……絢香?」
目を細めながら幸樹はこちらを向く。
「うん、おはよ」
「今何時だ?」
携帯の時計を確認するともうすぐ18時を回ろうとしていた。
その画面を幸樹に見せる。
「ん、おっけー。確認できた」
幸樹は横腹を掻きながら上半身を起こす。
「それより私が居ることになんも思わないわけ?」
「いや……もう慣れたわ……」
寝起き特有の気分が沈んだような声で呟く。
幸樹はソファーから降りるとキッチンへと向かう。
「飲む?」
冷蔵庫の中から出されたのはビールだった。
いつもなら止めるのに珍しい。
「うん、貰おっかな」
珍しく瓶ビールだ。手渡された瓶を受け取った。
体温を奪うほど冷えており、容器から水滴が流れてくる。
栓抜きを受け取り蓋を開けると、中から爽やかな香りを放ち、液体は黄金のように輝いていた。
瓶を口に当て、喉に流していく。
普段瓶ビールを飲まないため飲み慣れない。
スッキリとした味わいが特徴的でとても飲みやすい。
「美味しいね、これ」
「そっか、それなら良かった」
幸樹はいつものテンションだが、何故か少し落ち込んでるように感じた。
「ねえ、なんかあったの?」
「別に何も無いよ」
「別に」って言う時は何かある。幸樹の口癖だ。
普段から言動から表情が読み取りやすい。
「ウェブコンの事?」
しばらく沈黙が続き、幸樹が瓶をそっと置いた。
「んー……まあそうかな?」
やっぱその事で悩んでたんだ。
というか毎年この時期になると、頭を悩ませている気がする。
「今の作品でエントリーするんじゃないの?」
「いや、どうしようか考えてる」
という事は、新しくウェブコン用の作品を書く事も考えてるんだ。
締切まで2ヶ月。決して間に合わない訳では無い。
ただ、しっかりと題材が決まったらの話だ。
小説は世の中に数え切れないほどある。
当然目新しさや、個性がないと見た事のある作品として切られてしまう可能性も少なくない。
「じゃあさ……」
私は思い切って提案してみる。
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