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第三章 騎士学園/騒乱編
127「童貞主人公妄想譚(尚、話は進まない模様)」
しおりを挟む「そう言えば、カイト、学園長からは何か聞いているか?」
「え? 学園長から?」
食事を取ってきたレイア、リリアナ、サラたちも席についてご飯を食べる。レイアは俺の隣に座ると、乙然そんなことを話してきた。
「ああ。今日、ランチの後『クラリオン学園騎士団』についての詳しい話をすると言っていたが、もしかして何か知っているかと思って聞いてみたんだ⋯⋯」
「ああ⋯⋯、うーん、俺も特に何も聞いてないな」
「そうか」
「でも、レイアは何でそう思ったんだ?」
「いや、お前はよく学園長と親しげに話しているからな。それで聞いてみたんだ」
「ふ~ん」
なるほど。確かに俺も特に気にせず、学園長と話す機会があると普通に話しているが、よく考えたらそれって生徒から見れば『特殊』だよな。日本でいえば『生徒が校長先生と気軽に話している』ってことだもんな。
ただ、おそらく今回の学園長の話は『かなり込み入った話』になると思われる。なんせ、正規の『クラリオン王国騎士団』に何の連絡もせず『クラリオン学園騎士団』を発表したのだから。
要は『事は動いた』ってことである。
********************
——クラリオン王国騎士学園/特別会議室
「(コンコン)⋯⋯失礼します」
「開いとるよ」
ランチを終えた後、俺たちは学園長から指示があった『特別会議室』へと足を運んだ。そこには、
「よくきたな、Aクラス⋯⋯『クラリオン学園騎士団』の者たちよ」
「ようこそ。とりあえず、空いている椅子に座りたまえ」
「「「「「なっ!? ア、アルフレッド・ヴェントレー騎士団長様っ!!!!」」」」」
そこには、学園長以外に現・クラリオン王国騎士団団長のアルフレッド・ヴェントレーと、
「さ、さ、急いで座って!」
「「「「「レ、レコ・キャスヴェリー先生っ!!!!」」」」」
クラリオン王国騎騎士団所属兼騎士学園魔法学担任のレコ・キャスヴェリーの姿があった。
「レ、レコ!」
「コラ! レコ先生ですよ、カイト・シュタイナー君!」
レコが先生っぽく注意をしてきた⋯⋯。まー実際先生ではあるのだが。
ただ、大会の時、よく側に来てタメ口で話していたこともあって、すごく『違和感』があるのだが、まあ、二人の時とは違う喋り方、しかも『教師っぽい喋り方』って⋯⋯⋯⋯興奮するよね。
やっぱ、レコも教師としての自覚をちゃんと持って⋯⋯、
「あ、レイア姫様、リリアナさん、サラさんはカイトに隣に座らないように。いえ、いっそのこと、男女別に別れて座るように。異論は認めません」
「⋯⋯」
何という『既視感』。
それにしてもレコも大会終了後から、レイア同様、俺に対して積極的である⋯⋯⋯⋯好意のアピールが。
ねー、これさー⋯⋯⋯⋯やっぱ俺、モテキだよね? 確定だよね?
『鈍感主人公タグ』なんて入ってないから、俺のこの判断、間違ってないよね? 最善手だよね?
いや、正直、気持ち良いよね! こんな美少女たちに『明確な好意』を向けられるのってさ!
もちろん、こんなモテキ⋯⋯⋯⋯俺、史上初めてであろうことは間違いない!
しかも、日本にいた時には周囲にレコやレイア、リリアナ、サラといった『美少女』なんて存在しなかったもの!
ていうか、周りに女性が存在するような環境じゃなかったもの!
ていうか、アレまだだもの!
そんな『童貞魔法使い(Lv40)』の俺に「なんということでしょう」⋯⋯⋯⋯日本でも見たことないような美少女がこぞって好意をアピールするというこの状況。
前世でそこまで『徳』を積んだ覚えはないが?
もしかして『これから徳を積まざるを得ない故の前払い』ってこと?
まあ、とりあえず、そんな美少女たちに「カイトは私のだぞっ!!」とか「わたくし、カイト様の良き妻となるため⋯⋯」とか「サラとお呼びくださいにゃ。あと妻ですにゃん」とか言われている⋯⋯この現状。
もう間違いないやん! これで勘違いとか言われたら、もはや詐欺ですやん!
やっべー! 異世界サイコー!
はっ! ま、待て!⋯⋯⋯⋯そうなるとだぞ?
これから、もしかして、この中の誰かと、こ、ここここ、こゆびと⋯⋯『恋人』になるってことも十分考えられるよね?
そ、そそそそ、そして、その恋人さんと、チ、チチチチ、チス⋯⋯とか⋯⋯あるんじゃないか! いや、あるでしょ、絶対っ! やったことないからわからんけどっ!(『薄い本』頼み)
するとですよ? さらに、その先となると⋯⋯⋯⋯⋯⋯ごくりっ!
い、いや、待てっ!
『異世界ハーレム方程式』に当てはめれば⋯⋯⋯⋯恋人は一人である必要もないのでわっ!
などと、カイトが『下世話で童貞臭い妄想』に浸っていると、
「どうした、カイト。悩ましい顔も素敵だな。大丈夫か?」
「え? お、おお、ドレイク⋯⋯」
俺の右隣に座ったドレイクから声を掛けられ⋯⋯、
ん? こいつ、いま何つった?
「カイト、お前は副団長なんだぞ! シャキッとしろ、シャキッと!」
「イ、イグナス!? お、おう⋯⋯」
「フン! まったく、ほっとけない奴め」
「⋯⋯あ、ああ、悪ぃ」
今度は俺の左隣に座っているイグナスから声を掛けられ⋯⋯、
ん? こいつも、いま何つった?
妄想で忙しかったおかげで気づかなかったが、俺の座席の両脇を固めているのは、右がドレイクで左がイグナスだった。
何だか、もの凄く意図的な座席配置に感じるのは気のせいだろうか?
いやいやいや、気のせいだよな⋯⋯ハッハッハ。
求めてませんからね、そういうの?
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