「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
105 / 145
第二章 騎士学園編

105「決勝トーナメント一回戦(15)」

しおりを挟む


「⋯⋯はい。父ベクター・シュタイナーはシュタイナー領にて領地運営をしており、母は専業主婦です。あと、父は元クラリオン王国騎士団団長で母ジェーンは副団長⋯⋯でした」
「「「「「は⋯⋯???????」」」」」

 カイトの発言に、リリアナだけでなく、生徒、教師、観客全員が⋯⋯⋯⋯固まった。

「も、もももも、もう一度⋯⋯聞きますっ! カイトの両親はどういった人物ですか?!」
「はい。父ベクター・シュタイナーはシュタイナー領にて領地運営をしており、母は専業主婦です。あと、父は元クラリオン王国騎士団団長で母ジェーンは副団長でした」
「「「「「えええええええええええーーーーー!!!!!!!!」」」」」

 リリアナが二度聞きしてやっと、リリアナ本人も周囲もカイトの発言を理解したと同時に、飛び出した『ビッグネーム』に悲鳴にも似た発狂まじりの歓声が上がると会場が大きく揺れた。

「ベ、ベクター・シュタイナー⋯⋯き、聞いたことありますわ! た、たしか、現・騎士団長アルフレッド・ヴェントレー様の前任だった方で『クラリオン王国騎士団最強時代』の⋯⋯最後の団長様。『二つ名』は『Mr.完璧ミスター・パーフェクト』⋯⋯っ!!!! そして、その妻であるジェーン・シュタイナーは⋯⋯『二つ名』を『惨禍の女王カラミティ・クイーン』という『騎士団史上最強』と言われた『女性上級魔法士』! そ、それがカイトのご両親⋯⋯。な、なんという⋯⋯血統⋯⋯っ!!!!」

 リリアナがカイトの発言に激しく動揺する。しかし、そんな中、そのリリアナ以上・・に熱量増し増し・・・・で熱弁を振るう男がいた。

「う、嘘だろっ!? ま、まさか⋯⋯あの⋯⋯『Mr.完璧ミスター・パーフェクト』がカイトの父親⋯⋯だって!?——かつて、騎士団最強時代を築いた騎士団長で現・学園長のハンニバル・シーザー様の後を引き継ぎ、その後のクラリオン騎士団を五大国に轟かせた立役者! 中心人物! そして、そのベクター様の妻であり、元騎士団副団長のジェーン・シュタイナー様が母親⋯⋯。は、はは、すげえ⋯⋯すごすぎるぜ。マジかよ⋯⋯、マジかよ、カイトォォォォォォォーーーーっ!!!! 今度、実家連れてけぇぇぇーーーー!!!! いや、マジで! マジでお願いしますぅぅぅーーーっ!!!!」

 カイトの両親を熱く饒舌に語ったのは、まさかのカート・マロンだった。カートは、ああ見えて騎士団の歴史に詳しい。というより、はっきり言うと『騎士団オタク』である。

 さらに、カイトの両親である『ベクター』と『ジェーン』の大ファンということもあって、このような発狂じみた状態となった。そして、そんな、カートの説明を聞いて周囲から様々な声が上がり始める。

「ま、まさか、あの、ベクター様とジェーン様のご子息だとは⋯⋯」
「うぉぉーー! マジか! 俺、惨禍の女王カラミティ・クイーン⋯⋯ジェーン様の大ファンなんですけどぉぉぉぉーーー!!!!」
「な、なんてこった!? あの二人の息子って⋯⋯⋯⋯そりゃ、強えーわけだわ」
「し、しかし⋯⋯かつての英雄・・であるお二人のご子息だなんて⋯⋯そんな『おめでたい話』をどうして国民である俺たちに一切知らされていないんだ?」
「バカ! できるわけねーだろっ! 今の騎士団の現状・・で! そもそも、今の騎士団を管轄しているのは、ベクター様を騎士団から追いやった張本人である、あの宰相・・様だぞ。そして、ベクター様が退団してからの十五年間、ベクター様の『栄光』や『ベクター様自身』を国民に知らせないようにしたのも宰相様だ。そりゃ、お二人の所在が俺たちに知らされるわけねーだろ!」
「え? そ、それじゃあ、今のカイト・シュタイナーの発言って⋯⋯⋯⋯やばくね?」
「ああ⋯⋯⋯⋯激ヤバだ」

 そんな周囲の騒ぎの中、リリアナはさらにカイトに質問を続ける。

「⋯⋯な、なるほど。カイト、あなたのその強さ⋯⋯両親から教えられたものなのですね?」

 観客も周囲もリリアナのように思っていたが

「⋯⋯違います」

 否定。

「違う⋯⋯だとっ!? で、では、誰に習ってそこまで強くなったのですか?」
「⋯⋯独学」
「ど、独学!? ど、どうやって、独学でそんなに強くなったのですか?!」
「独自の、魔力コントロールで、魔力、増やしました⋯⋯」
「ど、独自の魔力コントロールで⋯⋯魔力を増やした⋯⋯ですって?!」
「⋯⋯はい。両親には、五歳まで、剣術、体術、魔法を教わってましたが、二人を超えてしまったので、入学までの、五年間は、魔物討伐も、兼ねて、一人で森に入って、独自で、訓練、してました」
「⋯⋯なっ!?」
「「「「「へ⋯⋯????」」」」」

 リリアナ絶句。観客も絶句。それもそのはず、カイトの告白カミングアウトがあまりに『ツッコミどころ』が多すぎた為である。

「え? え? ご、五歳で元騎士団長と副団長の教えを受け、さらにその二人を超えた? しかも、その後、独自訓練で魔物討伐を⋯⋯単騎で?」
「⋯⋯はい」
「そ、そん⋯⋯な⋯⋯そんなことが⋯⋯」

 リリアナが驚くのも無理はなかった。魔物討伐は基本、騎士学園入学前・・・・・・・に行うことは許されてないからだ。理由はもちろん危険だからである。

 ただし、入学前に魔物討伐を認められるほどの実力を持つ子供⋯⋯例えばレイア姫のような実力者であれば入学前に魔物討伐に参加することもあるが、それでも集団参加・・・・での話である。

 しかし、カイトの場合は⋯⋯⋯⋯『単騎・・』。これが如何に異常かということが、リリアナの絶句につながる。そして、

「お、おい⋯⋯今のマジかよ?」
「いやマジだろ? だって、カイト・シュタイナーは今、あのリリアナ様の魅了魔法をかけられているんだぜ? ハッタリなんてつけねーだろ」
「てことは、やばすぎだろ? カイト・シュタイナー? 五歳の時点で、あの元騎士団長と副団長を超える強さなんて⋯⋯しかも、その後は独自訓練で単騎で魔物討伐とか⋯⋯意味わかんねーよ」

 生徒や観客もまた、カイトの告白カミングアウトに激しく動揺していた。無理もない。

「で、では、カイトのこの強さは、あなたが自分で生み出した独自の魔力コントロールによるものだと⋯⋯」
「⋯⋯はい」
「で、では! そ、その、カイト独自の魔力コントロール⋯⋯これがどういうものなのか⋯⋯教えなさい!」
「「「「「っ!!!!!!!!」」」」」

 リリアナがカイトに出した命令に観客が大きく反応。カイトの発言に注目が集まる。

「⋯⋯それは」
「それは?」
「それは⋯⋯⋯⋯教えることはできないですね」
「っ!? あ、あなた⋯⋯」
「とりあえず、試合⋯⋯終わらせますね?」
「え?」

 ニカッとイタズラな笑みを浮かべるカイト。そして、

 トン。

「か⋯⋯っ!?」

 ガク⋯⋯。

 カイトは横にいるリリアナの首筋に手刀を当てる。一瞬で意識を刈り取られたリリアナは、そのままストンと膝から崩れ倒れた。

「レフリー⋯⋯」
「えっ?! あ、え、えーと⋯⋯リリアナ選手、気絶。よって、カ、カイト・シュタイナー選手の勝利⋯⋯です」
「いやー、危なかったー。ギリギリのところで魔法解くことができてよかったですー(棒)」

 シーン⋯⋯。

「え? あ、えーと、だ、第六試合は⋯⋯リリアナ・ハルカラニ選手の相伝魔法を解いたカイト・シュタイナー選手の勝利⋯⋯でした。こ、これで⋯⋯決勝トーナメント一回戦はすべて終了⋯⋯です」
「ありがとうございましたー」

 レフリー、司会のフェリシア、その他周囲の戸惑いやざわつきを特に気に留めることなく、カイトは一言挨拶すると、そのまま舞台裏へスタスタ帰っていった。

 ざわ⋯⋯。

 ざわざわざわ⋯⋯。

 ざわざわざわざわ⋯⋯ざっわぁぁぁーーー!!!!

 こうして、周囲に大きな疑問と波紋を残して、決勝トーナメント一回戦が終了した。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

処理中です...