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第二章
133「過疎化ダンジョン凸り隊(2)」
しおりを挟む——琉球ダンジョン29階層/中層最深部
「よいしょー!」
「こらしょー!」
ゴスン⋯⋯グチャ! ゴスン⋯⋯グチャ! ゴスン⋯⋯グチャ!
ザシュ! ザシュ! ザシュ! ザシュ! ザシュ! ザシュ! ザシュ!
何やら大きく固いモノで押し潰す不快音と、何やら大きく鋭利な業物で肉を切り刻む不快音⋯⋯その二つが織りなす『不快音シンフォニー』を奏でるのは、見た目『中学1~2年生』に見える小柄な双子姉妹りんな、りんねの『愛宕シスターズ』によるもので、その手には自分たちの身長の倍近くある『巨大ハンマー』と『巨大鉈』があった。
ゴスン⋯⋯グチャ!
「お姉ちゃん11匹めー!」
ザシュ!
「りんねも今ので11匹めだもん!」
ダンジョン産アイテム武器『撲殺ハンマー』で魔物を屠りながら妹にマウントを取る姉の『愛宕りんな』。そんな姉りんなに対して、対抗意識を隠そうともせず前面に押し出すのはこちらもダンジョン産アイテム武器『裂殺大鉈』を振い、魔物を切り刻む妹の『愛宕りんね』。
幼さの残る見た目で無慈悲に魔物を虐殺するそのギャップある姿は、『過疎化ダンジョン凸り隊』において圧倒的人気を誇っており、そんな二人を観てファンから『撲殺幼女』『裂殺幼女』という二つ名がいつの間にか作られ、そして現在では完全に定着していた。
——————————————————
:今日も撲殺幼女りんな、裂殺幼女りんねが元気に繰り広げる惨殺絵図は俺の癒し
:ええぇ⋯⋯(ドン引き)
:ま、まぁ、惨殺シーンはともかく、二人が可愛く尊いのは事実であり真理
:法則
:理(ことわり)
:ああ、てぇてぇ
:ああ、てぇてぇ
:それにしても、琉球ダンジョンに出てくる魔物は本当、独特だよなぁ
:3メートルを超える巨大ヤドカリだったり、1メートル近い大きさのマングースの大群だったり⋯⋯
:あと、デカいコウモリもいたな
:コウモリって沖縄では割とどこにでもいるの?
:ああ、いるぞ
:ちな、俺は生まれも育ちも、何なら今も沖縄にいるが上の奴が言っていることは事実だぞ
:へー サンキュ
:サンキュ!
:んなこたぁどーでもいいんだよ! それよりもりんなちゃんとりんねちゃんのバーサーカー無双の可愛さについてコメントしろや!
:なんだとー! と言いたいところだが、その通りなのでノットギルティ
:なんだとー! と言いたいところだが、りんなりんねを愛でることが何よりも重要なのでノットギルティ
:ええぇ⋯⋯(ドン引き)
:↑ 何なの、さっきからこのドン引きニキはww
:ドン引きニキ、ちょっとジワるww
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
——————————————————
「うほー、さすがりんなとりんね! もはや二人は何かの教祖じゃんね!」
などと言いながら、二人を横目に『スキル:岩土招福』の技の一つ『礫百殲』という直径15センチ程度の無数の石を放ち、目の前のコウモリの魔物を蹂躙していくムードメーカーのともちー。
——————————————————
:俺はムードメーカーともちー推し!
:俺も
:おれも
:古参勢は割とともちー推しが多い
:わかる
:クランの中で皆いろいろと役割はあるが
盛り上げ役だけは話術センスと空気読みが
要求される高難度クエスト
:高難度クエストww でもわかる!
:ほんそれ
:故に、古参勢人気という流れは不可避
:うむ。原初から配信追ってる我ら古参勢には
ムードメーカーともちーの重要性がわかってしまう
結果、ともちー推しへと至る
:なーる
:あなーる
:ぐう聖
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
——————————————————
愛宕シスターズ、ともちーの戦闘で盛り上がる配信のチャット欄。そんな中、先頭に立って愚直に魔物を屠るのは『凸り隊』クランリーダーの越智大輔。
彼の使う武器もダンジョン産アイテム武器で、その名を『斬首剣大蛇』。剣の長さが1.5メートルと大剣なのも大きな特徴ではあるが、実はそれ以上に大きな特徴があり、それは剣自体の『不思議な材質』にある。
「ふっ⋯⋯!」
その彼が目の前の1メートル超のマングースの大群に対して大剣を振った。すると、その振りのスピードと力により剣がズズズ⋯⋯としなやかさを帯び、まるで生き物のように魔物の大群の首目掛けて絡みついていく。そして、
『『『『『ヘギャ⋯⋯っ!!!!!!!』』』』』
ブシュ!
10匹程度いたマングースの魔物の首が一斉に飛んだ。
——————————————————
:さすオチ
:さすオチ
:クランリーダーであり、凸り隊立法府であり、凸り隊オチ担当、
それがこの男⋯⋯越智大輔である
:黒ヒ◯危機一髪
:黒◯ゲ危機一髪
:↑ 伏字の場所が違うからバレバレな件ww
:確信犯で草
:とはいえ、やはりこの男の『斬首剣大蛇』はやばいな
:さすA級上位ランカー
:いやいや、越智さんって実力的にはもうすでにS級だって
:だな。他のA級上位ランカーに比べても越智さんは頭一つ抜けてるし
:んだんだ
:越智さんの本当の凄さは強さ以上にこのクランの
やんちゃ娘たちをまとめる手腕にあるとあれほど
:禿同
:禿同
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
——————————————————
「さて、いよいよ中層階層ボスか⋯⋯」
ついに、5人は29階層最奥⋯⋯中層階層ボスがいる部屋の入口近くまで来ていた。
「初陣はまかせて!」
「初陣はまかせて!」
「もう! バーサーカー二人に初陣まかせたら私たちの出番が無くなっちゃうじゃん!」
「ふふん。いいじゃない、ともちー。その分私たちはラクができ⋯⋯⋯⋯ん? あれは何?」
「人⋯⋯? いや、人型の⋯⋯魔物?」
「え? 魔物? あ、ホントだ。目の前にいる⋯⋯けど、人型の魔物って私初めて見た⋯⋯」
5人は中層階層ボスがいる部屋の扉の前に『何か』を発見して少し戸惑いを見せる。そんな中、
『オマエラ人間カ?』
その『何か』が4人に言葉をかけると、
「え? 喋った?!」
「へんちくりん魔物がしゃべったー!」
「へんちくりん魔物がしゃべったー!」
「え? これって⋯⋯まさか⋯⋯」
「喋る⋯⋯魔物⋯⋯?」
さらに5人は目の前の言葉を放った魔物に呆然とする。
しかし、そんな5人の反応を無機質な表情で見ていた『何か』がボソッと告げる。
『オマエラ人間ダナ。匂イデワカッタ。ダカラ⋯⋯全員コロス』
「え? 何?」
「今、たしか⋯⋯全員殺すって⋯⋯」
「すごい、おてて長いー!」
「すごい、おてて長⋯⋯」
ザシュッ!
「⋯⋯え?」
ブシュ⋯⋯ドスン。
突然、愛宕シスターズの妹りんねの左腕が宙に舞い地面に落ちる。
一瞬何が起こったのかわからなかった5人だったが、それが目の前の喋る魔物により斬り飛ばされたとわかった瞬間——、
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ~~~~!!!!!」
「「「「りんねぇぇぇぇ~~~~っ!!!!!」」」」
りんねの悲痛な叫びと、4人の悲鳴がダンジョンに響き渡った。
こうして『過疎化ダンジョン凸り隊』は、あまりに突然な『喋る魔物』の洗礼を受けることとなったのであった。
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