異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

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第二章

102「『英雄旅団』——新宿御苑ダンジョンへ参る!(1)」

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「⋯⋯着いたわね」

 今、俺と佐川、理恵たんは、新宿御苑ギルドビル前までやってきた。ていうか、小五郎さんに送ってもらった。小五郎さん、あざーっす!

 ということで、早速ビルの中に入ろうとした時、

「はいはい、ストーップ。君たち高校生⋯⋯?」

 と、ギルドの関係者っぽい人に声をかけられた。ていうか、

「あ、葛西さん!」
「ん? なんで俺の名前を⋯⋯ああー、君かぁ! この間の高校生!」
「はい!」

 オメガとして初めてダンジョンに入る時に出会ったお兄さん⋯⋯D級の葛西さんに声をかけられた。

「まだケガ治ってないんですか?」
「ん? ああ⋯⋯あともう少しってところだ。でも、ほとんど完治しているから来週には探索者シーカー活動に復帰予定だ」
「そうなんですね、おめでとうございます!」
「おう! で、そちらの二人は⋯⋯友達か?」
「はい。同じ学校の友達3人でクランを結成してダンジョン探索しようかと」
「ど、どうも。佐川って言います」
「初めまして、雨宮です」
「おーそうか。二人ともよろしく⋯⋯うん? え? ちょっと待て⋯⋯? あ、あんた、もしかして⋯⋯D級の雨宮 理恵か?!」
「? はい、そうですが⋯⋯」
「うぉぉーマジかぁー! すげぇ、すげぇ! 本物の、本物のクールビューティー理恵様だぁー!」

 突然、葛西さんのテンションが変な感じになった。

「ちょっ!? ちょっとやめてください! 人が見てますからぁ!」

 理恵たんが思わず顔を紅潮させながら膝をついて拝み始める葛西さんを必死に止めようとする。ていうか、理恵たん、やっぱすげー有名人なんだな! さすがチャンネル登録者数40万人超!

「あ、ありがとうございます! これ、一生大事にします!!」
「わ、わかりました、わかりましたから! もう⋯⋯それはやめてください!」

 その後——拝み屋葛西さんは理恵たんとのツーショット写真(もちろん葛西さんは膝をついた格好)と、理恵たんのサインを貰うと満足してその場を去っていった。

「す、すごいな⋯⋯雨宮」
「べ、別にっ?! あれはただのファンだし! タイプとかそういうんじゃないし⋯⋯っ!!」
「え? あ、いや、そういうこと⋯⋯言ってるわけじゃ⋯⋯」
「っ!? も、もう、うるさい! 佐川のおたんこなすっ!!」
「いや、おたんこなすって昭和かよ!?」
「⋯⋯」

 あれ~? なんだろう~⋯⋯このやりとり。タグに『ラブコメ』って入ってたっけ?(メタぁ)。

 そんな、主人公(※自称)おいてけぼりのラブコメの波動に当てられながら、俺たちはギルド内へと入っていった。ああああ⋯⋯どっかに『壁』売ってねぇかなぁぁぁ~!


 その後、俺たちは受付へ行き、Dストリーマー活動もするということで、Dストリーマー登録とDビジョンアプリの登録・インストールなど、前回オメガでやった一通りの登録を行った。

「クラン名『英雄旅団』⋯⋯登録完了しました。おめでとうございます!」
「「「ありがとうございます!」」」

 こうして、俺たちクラン⋯⋯『英雄旅団』は無事登録が完了した。

「それじゃあ、着替えたらダンジョン入口に集合ね」
「ああ」
「わかった」

 俺たちは一度『探索者シーカースーツ』に着替えるため更衣室へ。ちなみに探索者シーカースーツとは、端的にいうとパワードスーツみたいなものらしく二人に教えられた。⋯⋯ちなみにオメガの時はそういうのがあるとは知らなかった。

 まー知っててもオメガの時は『こだわりの衣装』を身につけない選択肢はなかったけどな!

 ちなみにパワードスーツは、グレーと黒で統一された少し地味なデザインではあるが『軽量・衝撃吸収・防刃』とそれなりの高い防御力もあるスーツのようで、主に新人ルーキー探索者シーカーが最初に身につけるものらしい。もちろんレンタルで。

 話によると、理恵たんも佐川もこのパワードスーツを使っているらしい。F級の佐川はいいとして、すでにD級でDストリーマーとしてもチャンネル登録者数40万人を超える理恵たんなら既製品ではなくもっと良いものが買えるんじゃないかと聞いてみたら、

「一応、考えてはいるんですけど⋯⋯でも、まだちょっと迷ってて⋯⋯」
「?」

 話によると、どうやら女性用の既製品ではない探索者シーカースーツは結構派手だったり、きわどかったりするらしい。もちろんギルドからレンタルしている既製品のパワードスーツよりも優れものであることは間違いない。

 しかし、理恵たん的にはきわどい探索者シーカースーツを着るのはかなり抵抗があるらしく、でも、できれば既製品よりも高い防御力を持つ探索者シーカースーツを身につけたい⋯⋯といった葛藤を繰り返しているらしい。

「とりあえず、現状は既製品のパワードスーツでも探索者シーカー活動はこなせているので、今のところ買う予定はないです」

 とのこと。ちなみに、以前助けたC級クラン『戦乙女ヴァルキュリー』たちは、ちゃんと探索者シーカースーツを身につけていた。もちろん、しっかり『きわどい』。

 たしかにあれを見ると、まだ現役JK理恵たんが恥ずかしがるのはもっともである。⋯⋯がしかし、個人的には理恵たんには是非『探索者シーカースーツ』を身につけて欲しい。実際、理恵たんのチャンネルのチャット欄では、

——————————————————

:クールビューティー理恵様! 是非! 是非に探索者シーカースーツのご一考を!
:理恵ちゃんだったら、絶対に探索者シーカースーツとか似合うのにな~(チラ、チラ)
:乙女剣聖のスキルを持つ理恵様なら、是非『金剛桜蘭』とか『蝶花天蘭』が似合うと思います!(フンス!)
:もしも欲しい探索者シーカースーツとかあったら言って欲しい! 投げ銭するからぁぁぁ!!!!

——————————————————

 と、視聴者から熱量増し増しのコメントが度々上がるらしい。

 うおぉぉ! もちろん俺だって望んでるぞぉぉ!!

 今後の理恵たんの心境の変化に期待しよう。


「では、行きましょうか」
「おう!」
「うん、行こう!」

 準備を終え、ダンジョン入口に集合した俺たちは、理恵たんの掛け声のもとクランとして初めてのダンジョン探索となる新宿御苑ダンジョンへと足を踏み入れた。
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