異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

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第一章

004「帰ってきた異世界転移者」

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「ここ⋯⋯は?」

 気がつくと、そこは俺がトラックに轢かれた現場だった。

「あれ? 俺⋯⋯生きて⋯⋯る?」

 意識がはっきりしてくると、目の前にはトラックがコンビニに突っ込んだ跡が見えた。

「も、もしかして⋯⋯異世界に転移する前に⋯⋯戻ったのか?」

 俺は急いで冷静になって状況を整理した。

 どうやら、俺はグシャビチョ女神によって元の世界に戻ったのだが、その戻った先は異世界に転移する前の、あの二学期の登校日の事故現場だった。

「君、大丈夫かっ!!」

 すると、サラリーマンの男性から声をかけられた。

「え? あ、はい⋯⋯」
「いや~運が良かったね! 君がさっき女子高生を庇おうと突き飛ばしたあと、トラックの運転手が急ハンドルを切ったみたいで、そのおかげで君にぶつかる直前にギリギリで君の横を通り抜けてコンビニに突っ込んだんだよ!!」

 と、サラリーマンが興奮して状況を説明してくれた。

 なるほど。そういうシナリオ・・・・に書き換わったのか。

「よ、よかった⋯⋯です」
「ああ、本当だよ。あ、ちょうど救急車が到着したぞ! おーい、こっちだー!」

 そう言って、サラリーマンは到着したばかりの救急隊員に声をかけた。

「君、大丈夫かい? 何かケガとかは?」
「な、無いです」
「さっき、事故を目撃した人に話を聞いた。とりあえず、精密検査を受けて欲しいからこの担架に乗せるから!」
「え?」

 そう言って、救急隊員の人は有無を言わさず、あっという間に俺を担架に乗せると救急車を走らせた。

 きゅ、急展開が⋯⋯過ぎるっ!?


********************


 救急隊員の手によって、救急車に詰め込まれた後、俺は近くの市立病院へと搬送され、一通りの検査を受けた。結果、

「特に異常はありませんでしたので、おかえり頂いて結構です」

 とのこと。

 というわけで、俺は病院を後にした。

 ちなみに、コンビニに突っ込んだトラック運転手も特に大きなケガなかったようでちょっとした打撲とかすり傷程度で済んだとのこと。とりあえず、あれだけの事故で死傷者が一人も出なかったのは不幸中の幸い⋯⋯といったところだろう。

「さて⋯⋯これからどうしよう?」

 時刻は11時。今から学校に行ったところで二学期の始業式は終わっている。それに、

「わざわざ学校に行って、佐川たちに会うのも嫌だし⋯⋯。ていうか、家にも帰らないと⋯⋯」

 普通は⋯⋯というか、異世界に飛ばされて戻ってくるなんて俺くらいなので『普通は』という発言もどうかという話だが、普通は元の世界に戻ったら家族に会いたいと思うのだろうが俺はそんな気持ちにはならなかった。むしろ、家に帰るのにとても抵抗がある。

「だってな~、あの頃(転移前)は引きこもって自分から家族と距離を取ってたからな~」

 異世界へ転移する前の俺は、部屋に引きこもり母親や妹たちの呼びかけに無下に突っぱねたり、無視したりしてだいぶ嫌な思いをさせてしまっていた⋯⋯ので、

「ぶっちゃけ、家に戻るのがしんどい」

 だって、俺の中ではこの事故の日から5年が経過しているわけで。しかし、この世界に戻った時系列は『事故前』⋯⋯つまり、引きこもっていた5年前なのだ。家族から距離を置き自殺を考えていたあの頃なのだ。

 時系列は引きこもり当時。でも俺の中では5年経過した世界。そんな俺の精神と世界には5年の断絶があるわけで。

 なので、俺の中では家族に対しては、ただただ申し訳なさしなかい。

 でも、当時俺からの風当たりは強かったと思う。少なくとも俺はそう思っている。それくらい酷い言葉を投げかけたのは5年前の今でも覚えている。

 な の で。

「か、帰りたくない⋯⋯。だって、どの面下げて会えばいいんだよ」

 正直、「このまま家に帰るのはしんどい。じゃあ、どうしよう⋯⋯」と考えたときだった。

「そうだ! 俺は帰ってきたこの元の世界で、やりたいことがあったじゃないか!」

 そう、俺は元の世界に戻ると決めたその日から、日本に戻ったらあることをする・・・・・・・と心に決めていたのだ。


 それは『ダンジョン探索者シーカー』になること。


「待てよ、今の時間なら⋯⋯」

 そうして、俺は持ってたスマホで調べようとした。すると、


 ブブブブブっ⋯⋯!


「うぉ?!」

 そのタイミングでマナモードにしていたスマホがブルったので俺は慌てて通話ボタンを押した。すると、

「タケルっ! タケルなのっ?!」
「っ!? か、母⋯⋯さん!」

 突然の電話は母さんからだった。

「あなた大丈夫なの?! さっき病院からタケルが事故に遭って病院に精密検査を受けに行ってるって電話があったんだけど⋯⋯」

 母さんがかなり慌てた様子で捲し立てる。

「う、うん。大丈夫。特に異常はないって、先生が⋯⋯」

 俺は5年ぶりの母さんの声にドキドキする。

「タケル? どうしたの?」
「え? 何が?」
「何か、緊張しているような⋯⋯喋り方だけど⋯⋯?」
「っ!? そ、そんなことないよ! ちょっと事故の影響でまだ少し動転しているだけで⋯⋯。あ、でも、別にフラフラしているとかそういうことじゃないから!」

 俺は慌てて母さんに心配かけまいと捲し立てる。

「そう? ならいいけど⋯⋯。あんたこれからどうするの? 学校に戻るの?」
「え? えーと⋯⋯うん」

 俺は迷った挙句、学校に行くということにした。さすがに「実はこれからダンジョンに行くんだー」なんて言えるわけないので。

「わかったわ。とにかく車に気をつけてね」
「わかったよ。じゃ」

 電話を終了した。

 5年ぶりに母さんと会話をしてドキドキした。今もまだ胸の鼓動は鳴り止まない。

「い、いきなりでビックリした~?! で、でも、母さん、いつもと変わらない感じ⋯⋯だったな」

 本来、5年前の今の俺は夏休みの約2ヶ月間ずっと引きこもっていたわけで。しかも家族に酷いことを言って拒絶していたわけで。なのに、それなのに、母さんは、普段と変わらない感じだった。

「⋯⋯ダンジョンで魔物に格闘術が使えるのか確認したら、ちゃんと家に戻ろう」
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