イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第四章

144「そして現在〜Sランクスターちゃんねる〜」

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——そして現在(第四章140話に戻る)

「Sランクスターズちゃんねる⋯⋯始まるって言ってるでしょ!」

 メイベルのいつもの『ツンデレ口上』から今日も始まった『Sランクスターズちゃんねる』。そして、さっきダンジョンで撮った動画をこれから3人で解説する。いわゆる『オーディオコメンタリー』である。

 ちなみに収録したダンジョン探索動画は画面上3人の頭上あたりに大きいワイプで流している。俺たち3人は上半身⋯⋯バストアップな感じで画面上に姿を出している。

 それにしてもチャンネル開始から早5ヶ月の現在⋯⋯まだまだ手探りではあるものの、最初に比べるとだいぶマシになってきたと思う。

 というのも、明凛は元々だが、俺とメイベルがカメラに向かって喋るのに慣れてきたこともあり、余裕が出てきたので今では3人のトークも軽快になり、カメラが回っていないときでも3人で和気藹々とするなどだいぶ仲良くなった。⋯⋯あ、もちろん、カメラマンのエリンさんも含めてだ。

 最初はクランのYo!Tubeチャンネルを作って配信活動をすると明凛に言われたときは最初どうなるかと思っていたが、蓋を開ければチャンネル的にも3人の関係性の構築にも大いに役立つ結果となった。

「ところで、ここだけど⋯⋯」

 と、メイベルが指摘したのは現在動画で流れている『関東S1/20階層』で索敵した魔物との戦闘画面だった。

「この魔物ってさ、20階層に出てくる魔物よりも強さがワンランク上の魔物の感じがするんだけど⋯⋯」

 ちなみに、メイベルが指摘した画面に映っている魔物は『暴君騎士タイランナイト』という人型で全身が黒い鎧を纏っている魔物だ。

「そうね。メイベルの言う通り、この魔物はちょっと20階層の魔物の中では別格の強さだったわね」

 画面上では『暴君騎士タイランナイト』に3人が苦戦してはいないものの、少し手こずっている様子が映っていた。

 ちなみに現在の俺たち3人のやりとりはライブ配信の中で行われている。なので、スーパーチャットのほうでは視聴者が俺たちのやりとりにコメントをくれたりしている。⋯⋯このように。

——————————————————

ゲスト1:たしかに、これまで観てきた20階層の魔物とは強さが違いますね
ゲスト32:うわっ⋯⋯。Sランクの3人の物理攻撃にもそこそこ耐えてんじゃん!?
ゲスト23:おいおい、しかも魔法攻撃も強力じゃね?
ゲスト4:これ、明らかにこの階層ではイレギュラーな魔物じゃねーか?
⋯⋯
⋯⋯

——————————————————

「一応、今回この暴君騎士タイランナイトは多少苦戦はしたもののまだ対応できる魔物でよかった。⋯⋯が、しかし、少し気になる点があるのよね」
「ん? 気になる点?」

 何だろう?

「まーソラは今回が初めてのSランクダンジョンだからわからないのも無理ないわ。ただ、これまで経験したSランクダンジョンの中でもこの関東S1はだいぶおかしいわね」
「何がおかしいんだ?」

「「魔物が強すぎる」」

「は?」

 俺は明凛とメイベルがハモるほど明確にそう言い切ったことに違和感を感じた。

「い、いや、別にSランクダンジョンなんだから魔物が強いのは当たり前じゃね?」

 そう。正直俺からしたら「Sランクダンジョンにいる魔物なんだから強いのは当たり前だろ?」と思っていたのだが違うのか?

「うーん、まあそうなんだけど⋯⋯でも実際はそうじゃないのよ」
「はぁ?」
「あーもう! 明凛っ!!」

 メイベルが俺の質問に答えようとしたものの、うまく言語化できないのかあっけなく明凛に説明を譲った。ていうか、これまで散々メイベルのポンコツぶりは見せられてきたので、今では何らそのリアクションに違和感はないのだが⋯⋯。

 まー本人は『何でもこなす万能型』を自負しているようなので、ついイニシアチブを取りたい感じなのだろう。そこがメイベルの可愛いとこでもあるし、俺や明凛だけでなく、視聴者も含めて万人から好かれる部分ではあるのだが。

「はいはい⋯⋯。えーとね、まず、おかしな点があるのは2点よ」
「2つも?」
「まず1つは、さっきメイベルと私が言った『魔物が強すぎる』というやつ。まー私たちもすべてSランクダンジョンに潜ったわけじゃないけど、でも、私とメイベルはS級探索者シーカーになって1年は経つけど、その中でもこの関東S1のダンジョンの魔物は1階層から強い魔物だったわ」
「えっ?! そうなのか!! でも、そんなこと俺に一言も言ってなかったんじゃ⋯⋯」
「それは⋯⋯⋯⋯それを言ったらソラ君がSランクダンジョンの探索活動に消極的になるんじゃないかと思って⋯⋯」
「え?」
「そうよ~ソラ? このことを言ったら、あんたがビビって私たちとのクラン結成やSランクダンジョンの探索活動を断るんじゃないかと思ったから言ってなかったのよ~、ニシシ⋯⋯」

 ここぞとばかりに煽ってくるメイベル。

「うるさい。ポンコツお姫様プリンセスは黙ってろ!」
「んまー! 何ですってぇぇ!? くぉのぉぉぉ~っ!!!!」

 そんな煽りに瞬時にクリティカルな反撃をすると『煽り耐性ゼロ』『瞬間湯沸かし器』の異名を持つメイベルが間にいる明凛を気にせず、俺に襲い掛かろうとした。

「コラ、メイベル」

 ガシッ!

 すると、すぐに体を捕まれ自由を奪われるメイベル。

「だってぇぇ~! ソラがムカつくこと言ったからぁ~!!」
「その前にあんたが煽ったんでしょ? いい加減煽り耐性つけなさいよ⋯⋯はぁ」
「ぐぬぬ⋯⋯」
「まったくだ」
「ソラ君、あんたもよ」
「え?」
「メイベルが煽り耐性ゼロこんなんなのは知っているんだから、もう少し言葉に気をつけなさい」
「ぐぬぬ⋯⋯な、何で俺まで」

——————————————————

ゲスト55:さすがの煽り耐性ゼロのメイベルたそ、健在である
ゲスト176:まったく何なんだ、この可愛い生き物は!
ゲスト394:明凛:姉 メイベル:妹 ソラ:末っ子長男 こういう構図か
ゲスト147:おい、新屋敷ソラ。そこ、代われ
⋯⋯
⋯⋯

——————————————————
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