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第四章
133「新たなる探索者集団《シーカー・クラン》(だが(仮)である!)」
しおりを挟む——S級ランカーになり、Sランクダンジョンに入れるようになってから半年が過ぎた
俺は今、関東S1の78階層にいた。一人で⋯⋯⋯⋯⋯⋯ではなく、
「ねぇ、ソラく~ん。もう今日はダンジョン探索は終わってもいいんじゃない? それより、お姉さんと楽しいことしようよ~」
「ちょっと、あんた! 真面目に戦いなさいよ、この中国雑技団オンナっ!」
「あら? ありがとう。私、中国雑技団好きよ、メイベル~」
「ああああ~、もうっ!! ああ言えばこう言う! ちょっと、ソラ! 何、ボサっとしてんのよ! あんたからも注意しなさいよ!」
わーわー! ギャーギャー!
「⋯⋯はぁ、どうしてこうなった」
現在、ソラの目の前では『中国雑技団オンナ』と呼ばれた探索者中国本部のギルドマスター『氷結女帝』の二つ名を持つ『王明凛』と、探索者ギルド総本部の副ギルドマスター『無垢なる執行人』と言われ恐れられている『メイベル・ホワイト』が舌戦を繰り広げていた。
ソラの言う通り、どうしてこうなったかというと、それはSランクダンジョンに通い始めて1ヶ月が過ぎた頃⋯⋯今から5ヶ月前まで遡る。
********************
——5ヶ月前
「たのもー!」
「ええっ?! わ、王明凛⋯⋯さんっ!!!!」
5ヶ月前、事務所に王明凛さんが突然やってきた。
「ど、どうしたんですか、突然!?」
「え? どうするも何も『探索者世界会議』のときに言ったじゃないか⋯⋯⋯⋯『じゃあ、私たちといろいろビジネス面で組みましょう!』って(※96話参照)」
「あ⋯⋯」
そういや、そんなこと言われてたな⋯⋯(96話確認オッケー!)。
「いや、でも、あれって、ただのリップサービスみたいなものかと⋯⋯」
「うふふ⋯⋯そんなわけないじゃない? 私、有言実行タイプだから」
——ロックオン!
あれ? 何か「ロックオン!」って言葉が聞こえたような⋯⋯。
「とにかく! あなた今、一人でしょ?」
「え? どうしてそれを?」
そう。俺は今、単独探索者として活動していた。ちなみに、唐沢と胡桃沢はほぼ毎日『乾坤一擲』と探索者活動をしている。
まー別に仲違いしたということではなく、「唐沢と胡桃沢はソラとは別でレベリングし、ソラは単独探索者で更なるレベルアップをしてくれ」と賢者からの指示だった。
実際、俺は単独探索者で活動するタイミングで、S級ランカーに引き上げてもらい、現在はSランクダンジョンで活動している。
ちなみに、SランクダンジョンはA級ランカー成り立てくらいではかなりしんどいダンジョンというのが第一印象だった。
「賢者から聞いたのよ。君自身には以前から興味があったからちょうどよかったわ。あ、ちなみに賢者からソラと一緒に探索者活動することはちゃんと了承を得ているから」
「う⋯⋯!『外堀埋め』が迅速すぎるっ!?」
王明凛の行動力に脱帽である。
「とにかく! これから一緒に探索者活動することになるけど、それ以外にも事業展開していくわよ!」
「事業展開?」
「そう! ビジネスよ、ビジネス! あなたたち『新進気鋭』は高校中退して、事務所立ち上げたばかりでしょ? だから、私がビジネスの先輩として『手取り足取り』教えて・あ・げ・るっ!!」
「(ドキッ!)」
「ん? あれ~? 今、ドキッとした?」
「えっ?! あ、いや、そんな⋯⋯ことは⋯⋯」
「本当かな~⋯⋯?」
「ち、近⋯⋯」
明凛さんが何かすごいぐいぐい来る。
あ、明凛さん、すごい良い香り⋯⋯。
俺は明凛さんに詰められ、あたふたした⋯⋯⋯⋯その時だった!
ドカーン!
突如、事務所の玄関が勢いよく開けられるや否や、
「コラァ~! 万年発情中国娘ぇぇ~~~~っ!!!!」
と、叫びながら部屋へと入ってきたのは、
「メ、メイベル・ホワイト⋯⋯さんっ?!」
探索者ギルドイギリス総本部副ギルドマスター、『無垢なる執行人』のメイベル・ホワイトさんだった。
********************
「あ、あのぅ~、どうして、メイベルさんがここへ?」
「何よ?! 居ちゃ悪いってわけ!」
「い、いやっ!? そんなことはありませんが⋯⋯。えーと、ではご用件は?」
「用件? そんなのそこの明凛と一緒よ。あんたと一緒にSランクダンジョンの探索をするために来たのよ」
「は? えっと⋯⋯もしかして、それって誰かに頼まれたんですか? 例えば、賢者とか⋯⋯」
「そんなんじゃないわよ? 私が来たいから来たの」
「は?」
「明凛がどうやら新屋敷ソラとSランクダンジョン探索するって情報をキャッチしたから、こうしちゃいられないと思って急いで日本に来たの! ね、すごいでしょ、私っ!!」
「え、あ、えーと⋯⋯つまり⋯⋯明凛さんの情報をキャッチして面白そうと思ったからきたってこと?」
「だから、そう言ってるじゃない」
「⋯⋯⋯⋯」
えー、どゆことー? 俺にどうしろとー?
「⋯⋯ソラ君」
「明凛さん?」
「もう、どうせなら⋯⋯⋯⋯メイベルも巻き込んで三人でビジネスを始めましょう」
「え? ええええええっ?!」
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