126 / 157
第三章
126「『乾坤一擲』の実力」
しおりを挟む「えーと⋯⋯千鶴さん。な、何でしょう⋯⋯?」
「君は私たちとは今日だけの帯同なんだっけ?」
「あ、はい。俺は明日からは単独でSランクダンジョンへ行きます」
「マジか! 単独でSランクダンジョンかよ!」
すると、さらに口悪先輩の獅子神さんが入ってきた。
「Sランクは初めて?」
「はい。とりあえず最初は上層で様子見ながら⋯⋯て感じで、ゆっくりやっていく予定です」
「そうね。そのほうがいいわ。一応、先輩として言っておくけど、Sランクダンジョンは上層からいきなりAランク魔物がうじゃうじゃ出てくるから気をつけな」
「は、はい、わかりました」
「おう、ソラ! あと、3層からいきなり灼熱エリアになるからな。しかも、その後の4層だと真逆の極寒エリアだ! だから、なるたけ耐熱・耐寒対策は両方しっかりやっとけよ!」
「はい、ありがとうございます。獅子神さん」
と、獅子神さんからもアドバイスをもらった。あと、
「ソラ君、ソラ君⋯⋯」
「え? あ、はい。何でしょう、ミズホさん⋯⋯」
「あとで写真一緒に撮って」
「えっ?! 写真ですか?」
「⋯⋯ダメ?」
「い、いえ、そんなことないです!」
「やった。これで友達に自慢できる。やった」
「じ、自慢⋯⋯ですか?」
「自慢。私の友達界隈でソラ君はホットトレンド。故に自慢」
「は、はあ⋯⋯」
それからはミズホさんが横についてきた。
何だか懐かれたようだ。
「へ~! ミズホが初対面の⋯⋯しかも年下とはいえ男の人に懐くなんて珍しい光景ね」
とは、美鶴さん。
「本当だ! さすがソラ君だね!」
よくわからないが、蓮二さんに感心された。
「ミズホが懐くなんて⋯⋯やっぱ、変わり者なんだな、ソラ!」
「⋯⋯は、はあ」
相変わらず、口の悪い返しを吐くのは獅子神さん。
そんな感じで地上階を進んでいると、1階層に降りる階段が見えてきた。
「さあ、それじゃあ1階層に降りるよ。これからは帯同として進むけど、基本最初は『新進気鋭』の3人は見物していてくれ」
「「「はい」」」
「うん。じゃあ、降りるよ」
いよいよ、本格的な帯同が始まった。
********************
「オラァァァァ~~~~っ!!!!」
ゴガガガガガガガガガガガガガガガっ!!!!
2階層に降りると、すぐに魔物と出くわし戦闘が始まった。
相手は、Bランク魔物でゴブリン上位種の『ゴブリンジェネラル』が3体。ちなみに、ゴブリンジェネラルの特徴としては『腕が4つ』あるというのと、魔法も使えるというところだ。
通常は、ゴブリンジェネラルの魔法を警戒しながら、隙を見て物理攻撃や魔法攻撃を仕掛ける⋯⋯といった『ヒットアンドアウェイ』が基本的な攻略方法である⋯⋯⋯⋯のだが、しかし、目の前では獅子神さんが拳一つでゴブリンジェネラルを圧倒していた。
ちなみに、ゴブリンジェネラルは1体が攻撃されている間、獅子神さんに魔法攻撃を仕掛けているのだが、その魔法攻撃は無効化されているようで獅子神さんは無傷だった。
「馬車馬システム、私が獅子神に『魔法無効化/上級』のバフ効果魔法施して獅子神が殴り倒す、馬車馬システム」
「そっ! これがウチらの基本スタイルさね」
とは、ミズホさんと千鶴さんの弁。
「でも、さすがにそれだと獅子神さんの負担が大きいのでは?」と聞こうとしたら、
「そもそも本人からそうしてくれって頼まれたんだよね。一応それだと獅子神の負担が大きいから大変だよと言ったんだけど、本人が『実戦こそ一番の訓練になる! だから負担とか関係ない! ぶつくさ言ってないで俺に戦わせろ!』ってね。だから、まー⋯⋯⋯⋯好きにさせてる感じ」
「へ、へ~⋯⋯なるほど~」
わ~獅子神さん、便利~。
「まあでも、あくまで獅子神一人で間に合う相手だけだけどね」
「そ、それって、獅子神さんにはゴブリンジェネラルは敵じゃないってことですか?!」
「まーそうだね」
「す、すごい⋯⋯。Bランク魔物を雑魚扱い⋯⋯」
唐沢と胡桃沢が獅子神さんの色々とデタラメな感じに唖然としていた。⋯⋯もちろん右に同じだ。
さて、そんなこんなで6層まで獅子神さん一人の『物理』だけでスイスイ進んでいった。
——7階層
「おう、蓮二! そろそろ、ここらで始めるか?」
「そうだね」
さっきまで先頭でまさに獅子奮迅の働きをしていた獅子神さんが、何やら蓮二さんに確認を取ると俺たちの元へ戻ってきた。
「よし! じゃあ、ここからは『新進気鋭』の3人が先頭に立ってやってみようか」
「ええっ!?」
「先頭⋯⋯ですか!」
「大丈夫。ちゃんとフォローするから。とりあえず、3人でできるだけやってみてごらん」
「「わ、わかりました!」」
「⋯⋯はい」
0
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。


はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる