イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第三章

101「いつもの二人/第二試合『王明凛VSメイベル・ホワイト』」

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「さあ! 女性探索者シーカー頂上決戦! 今年のこの因縁の二人に決着は着くのでしょうか! ちなみに試合の制限時間は今年も『5分』となっております。それでは、第二試合⋯⋯⋯⋯はじめぇぇ~~~っ!!!!」

 琴音が試合開始の宣言をするも、第一試合と同様、この二人もまた言葉のやり取りから始まった。

「何よ? また私に挑みに来たの、王明凛? もう、そろそろ実力の違いに気づいてもいいと思うのだけれど⋯⋯?」
「あら? あらあらあら⋯⋯メイベルお嬢様、これはこれは。以前の試合では決着がつかず引き分けでしたね。それなのに実力の違いと言われても⋯⋯」
「はん! ランキングは私のほうが上よ!」
「あ~~~~⋯⋯ランキングね~。うふふ⋯⋯そうですわね、ランキングでは・・・・・・・メイベルお嬢様が上ですもんね~。ランキングでは・・・・・・・!」
「何が言いたいわけっ?!」
「いえいえ、何も」
「嘘おっしゃい!!」
「嘘も何も⋯⋯⋯⋯私はただランキングが必ずしも実力差には直結しないという世間一般の話をしているだけですよ、メイベルお嬢様?」
「はぁ?! 何が世間一般よ! それに、その『メイベルお嬢様』って言い方やめなさいよ!」
「え? どうして~? あなたは本当にれっきとしたお嬢様でしょ? 間違ってないじゃない」
「あんたに言われるのがムカつくって言ってんのよ!」
「え~~~~? 私はメイベルのこと好きなのに~」
「そういうところがムカつくって⋯⋯⋯⋯⋯⋯言ってんのよっ!!」

 ババッ!

——瞬間、メイベルが後方に飛ぶと同時に、

聖なる射手ホーリー・アーチャーっ!!」

 メイベルの放った魔法は『特級魔法』の『聖なる射手ホーリー・アーチャー』。メイベルは数少ない特級魔法が使える探索者シーカーである。そんなメイベルの背後に無数の『魔力で作られた青白い矢』が発現すると一斉に王明凛へ射出した。

氷冷瞬壁アイス・ウォールっ!!」

 しかし、対する明凛もまた『特級魔法』の使い手。彼女はその特級魔法『聖氷隔壁アイス・バルクヘッド』はメイベルの攻撃がわかっていたかのように絶妙のタイミングで『氷の壁』を作り出す『聖氷隔壁アイス・バルクヘッド』を自身の体の周囲に展開。メイベルの放った無数の魔力の矢をすべて阻んだ。

「チッ! 相変わらず、あんたのその『聖氷隔壁アイス・バルクヘッド』⋯⋯固くてムカつくのよっ!!」
「お褒めいただき光栄です、メイベルお嬢様」
「だ・か・ら⋯⋯⋯⋯⋯⋯お嬢様って言うなぁぁ~~~っ!!!!!」

 次にメイベルは一気に距離を詰めてきた。

光剣フォトン・ソードっ!! てやぁぁぁぁぁぁ~~~っ!!!!」
「⋯⋯⋯⋯氷剣アイス・ソード!」

 ガキィィィィィィィィィィィィィィンンンン⋯⋯っ!!!!

 メイベルの光の剣による攻撃を、明凛は氷の剣を瞬時に展開してすばやく対応。

 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ⋯⋯っ!!!!

 二人の魔法の剣が激しくぶつかり合う。

「メイベルお嬢様。さすがの剣戟でございます」
「何、余裕ぶっこいてんのよ!」
「いえいえ、これでも精一杯凌いでいます。顔に出ないだけです」
「嘘つけーーーーーーーーっ!!!!!」

 ガキン!

 そう言って、メイベルが下方から光剣フォトン・ソードを振り上げると、明凛の氷剣アイス・ソードを持つ両腕が上がる。

「そこだぁぁぁ~~~っ!!!!!」

 メイベルがガラ空きの胴に光剣フォトン・ソードの突きを放つ。しかし、

 クルン。

 明凛はメイベルの光剣フォトン・ソードで下から打ち上げられた両腕のいきおいを利用して、なんと、その場で体を一回転させ、メイベルの突きを躱す。

「何っ?!」

 と、同時に、

「フッ⋯⋯!」
「っ!!」

 明凛が着地と同時に、突き技が失敗し無防備になったメイベルへ逆に突き技を繰り出した。

「こ、このぉぉぉ~~~っ!!!!」

 ギャリリリリリリリリリリ~~~~⋯⋯っ!!!!

 しかし、メイベルもまたその明凛の超速の突き技を光剣フォトン・ソードを使っていなす。

 ババッ!

 そして、両者がそのタイミングで同時に後方へと下がった。

「はぁぁぁぁぁ~~~~~! もう、何なの!? 何であんたは会うといちいちいちいち私に絡んでくんのよっ!!」
「ええっ!? そ、それは⋯⋯⋯⋯⋯⋯愛です(ポッ)」
「嘘つけ~っ!!」
「⋯⋯まーでも、メイベルさんを好きなのはたしかですよ」
「は、はぁぁ~?」
「だって、可愛いんだもん。メイベルってちょっとイジっただけでもすぐに反応するじゃない! そこがいいの~!」
「おんどりゃ~! おちょくっとんのかいっ!!」
「よっ! 煽り耐性⋯⋯『紙』っ!!」

 プチン。

 何か『切れた』音がした。

 そう、それはメイベルの血管が切れた音だった。

「だぁらっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~っ!!!!」

 血走った目をしたブチギレメイベルが光剣フォトン・ソードを消して、拳を構えて突っ込んできた。⋯⋯⋯⋯⋯⋯が、

 ガシっ!

「ほい、タイムアップだぞ。メイベル」
「っ?! ゲ、ゲオルグ・シェフチェンコ⋯⋯っ!!」
「っ!!」

 メイベルの拳が王明凛に届く直前で、ゲオルグ・シェフチェンコが入ってきてメイベルを止めた。

 実は、メイベルがブチ切れて王明凛に突っ込む直前、審判が「時間切れ。タイムアップ!」と宣告していた。しかしメイベルにはその声が届いていないことをゲオルグは判断すると瞬時に動いて止めに入ったのだった。

(あのキレたメイベルのスピードを簡単に止めるなんて⋯⋯。ゲオルグ・シェフチェンコ⋯⋯⋯⋯やはり『世界最強』は伊達じゃないわね)

「フッ⋯⋯」

 王明凛は微笑をこぼして舞台を降りていった。

「ちょ! ちょっと待ちなさいよ、王明凛っ!! あんたね~、いつもいつも⋯⋯!」

 そして、その王明凛の後ろから追いかけるメイベル。

 それは、毎年の腕試し大会で『よくある光景』であった。



『第二試合 王明凛VSメイベル・ホワイト/タイムアウト引き分け』
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