イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第三章

087「2004年の真相②」

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 この『並行世界線イフラインの地球』に転移してから三年が経過した頃『ある事件』が起きた。

 それは『転移者』による事件で、それが『殺し合いバトル・ロワイヤル』の引き金となった。

 まず、転移者は全部で七人いたが最初は皆日本の東京で暮らしていた。何だったら会ったりすることもあった。まーそんな感じで、別に転移者同士仲が悪かったということはなかったし、むしろ『唯一の同郷の者』ということで仲間意識は強かったと思う。

 だが、それは最初の一年くらいで⋯⋯⋯⋯次第に私たちにある共通した『願い』が頭を掠めるようになった。

——————————————————


「チート能力を使って無双したい」


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 それからというもの、私を含め全員が『レベリング』に執着していった。まるで「七人あいつらよりも強くなってやる!」と自分の中の何か・・に追い立てられるように⋯⋯。

 実際、そのおかげで強くなれはのは確かで、転移者七人全員が『探索者シーカー世界ランキングトップ10』に名を連ねていた。ちなみに、当時の世界ランキング第1位は私⋯⋯⋯⋯と言いたいところだがそれは違ってて、当時の『世界最強』は私よりも年上の30歳くらいの転移者の男で、とてもまじめで誠実な男だった。

 ちなみに私は次席⋯⋯⋯⋯世界ランキング第二位だ(ドヤァ)。

 その後、私も含めた残りの転移者たちは世界ランキング第一位を奪取すべく、さらに強くなることに執着するようになっていくのだが⋯⋯⋯⋯しかし、それがいつしか『おかしな方向』へと舵を切っていくこととなる。そのきっかけとなるのがそれから三年後のある事件だった。


 転移者による『転移者殺し』が起きたのだ。


********************


 動機は嫉妬によるものだった。

 その嫉妬とは、自分よりもランキング上位の転移者にずっと勝てずにいたことによるものだった。

 しかも、自分の実力で勝負を挑んだのではなく、急激な身体能力上昇や魔力上昇、さらには魔法・スキルの威力も上昇する『ある特別な魔道具によるドーピング』によってもたらされた『偽りの強さ』による犯行だった。

 同郷であるはずの転移者の『転移者殺し』。この『御法度』は当然許されるものではなく、我々は探索者シーカーでもあったので、その殺しをした転移者を探索者シーカーギルドから指名手配してもらった。しかし彼の持つ『恩寵ギフト』により、探索者シーカーギルドは彼を捕まえることができなかった。

 そんな中、転移者の中から行方をくらます者が三人現れた。結論から言うと、その三人は転移者を殺した犯人の仲間になった。

 そうして、その犯人は転移者三人と共にさらなる仲間を増やしていき、いつしかそいつらは『世界支配』を目論む組織へと発展していった。

 ここまで話せば察すると思うが、この組織を作り上げた転移者殺しの犯人が『おぼろ』の首領ドンであり、現在も生き残っている我々の時代の転移者『裁定者ジャッジメント』だ。



 残された私と世界ランキング1位の男は手を組むと、探索者シーカーギルドへ行き、私たちが『転移者』であることを話し、今その転移者らで作り上げた組織がこの世界を牛耳ろうと動いている旨を伝え、協力を仰いだ。

 ちなみに、その時その場にいたメンバーに倶利伽羅炎呪や不知火不師斗しらぬいふしと、そして、胡桃沢勝己や新屋敷健二・セーラたちの探索者集団シーカー・クラン『栄光』もいた。

 その後、私たちは世界の探索者シーカーたちと協力して『裁定者ジャッジメント』らの組織を潰していったが、最後に立ちはだかったのはもちろん三人の転移者とリーダーの『裁定者ジャッジメント』だった。

 世界ランキング1位の彼と私で何とか転移者三人を倒すことはできたが、しかし、急激に成長して強くなった『裁定者ジャッジメント』に私と世界ランキング第1位の彼を持ってしても倒すことができなかった。

 しかし、ここで探索者シーカーギルドが持っていた『魔道具』により一時的ではあるが、『裁定者ジャッジメント』の力の半分を封印することに成功。その結果、形成は逆転し彼をようやく捕まえるところまできたのだが⋯⋯⋯⋯それは叶わなかった。

 彼を捕まえようとした時、突如彼の前に『十二人の黒装束』が現れ、彼を連れ去ったのだ。

 我々の手から逃れた『裁定者ジャッジメント』は、その後『黒装束』らと新たなる組織を作った。それが秘密結社『おぼろ』である。


 こうして、七人いた転移者から始まり、全世界の探索者シーカーを巻き込んだこの事件は『2008年危機ショック』と呼ばれ、今でも壮絶な事件だったと語られている。
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