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第二章

072「緊急生ライブ配信②」

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「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~っ?!!!!!」


 会場にいたマスコミ全員が悲鳴のような怒号のような声を一斉に上げた。

「え、炎呪さん? どういう⋯⋯ことですか? い、今の言い方だと⋯⋯今回の『魔物暴走スタンピードを鎮圧したのは⋯⋯『新進気鋭アップスタート』のリーダー新屋敷ソラ君一人・・で⋯⋯という風に聞こえるのですが⋯⋯」

 記者①が恐る恐る尋ねる。

「ん? そうだよ? 新屋敷ソラ君一人で止めたんだよ?」
「⋯⋯き」
「き?」
「聞き間違いじゃなかったぁぁぁぁぁぁ~~~~~っ!!!!!!」

 記者①は再度発狂する。

「ど、どういうことですかっ!?『魔物暴走スタンピード』を一人で止めたってっ!!!!」
「それは字面通りに捉えていいのですかっ!!」

 記者①の質問を皮切りに、一斉に質問が投げかけられる。

「はい。何の比喩でも例えでもありません。そのままの意味です」

 そして、炎呪が質問に淡々と答えていく。

 いくつかの質問に答えたあと、さらに炎呪はソラの『魔物暴走スタンピード』鎮圧までの経緯を説明する。すると、

「ええっ!? 38階層にたった一人で残ってって⋯⋯⋯⋯なんて無謀な⋯⋯」
「いや、そうでもないぞ!? こうやって『魔物暴走スタンピード』を一人で鎮圧したということであれば、当然その時点で勝算があった上での判断だろう!」
「い、いや、でも、だからって、一人で『魔物暴走スタンピード』の中心に残るって、そんなのただのバカか、もしくは⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯圧倒的強者」


「「「「「っ!!!!!!!!!!!」」」」」


 一人の記者の発言に場が一瞬凍りつくが、すぐにまた記者同士でガヤガヤと言い合いがはじまった。

「お、おい、ちょっと待てっ!! じゃあ何か! 新屋敷ソラっていう16歳の未成年探索者シーカーが今回の『魔物暴走スタンピード』を『単独ソロ』で食い止められると判断できるだけの圧倒的な実力を持っているって言いたいのかっ?!」
「ああ、そうだよ! 実際結果がそう言ってるだろっ!!!!」
「なっ?! そ、そんなわけあるかっ!! あの⋯⋯あのイギリスのレヴィアス・アークシュルトでさえ、『魔物暴走スタンピード』を一人で食い止めたのだって20代になってからだぞ!」
「知ってるよ!」
「だったら! お前が言っていることは新屋敷ソラがまるで⋯⋯⋯⋯レヴィアス・アークシュルト以上の実力者と言っているようなもんなんだぞっ?!」
「ああ、そうだよ! 実際、結果が出ているじゃねーか! ていうか、そこまで言うんなら直接本人に聞けよっ?!」
「「「「「っ!!!!!!!!」」」」」

 そして、記者たちの視線が一斉にソラへと向けられた。

 ニカッ。

 記者たちの視線の先にいるソラが満面な笑顔を浮かべていた。


 守りたくない、その笑顔。


********************


——新屋敷ソラ視点

 炎呪からいきなり「ここで説明してね」と言われ来てみると、そこは記者会見会場のような場所⋯⋯⋯⋯いや『記者会見場』だった。

 これまで父さんやたぶん胡桃沢の親父さんの働きで、俺ができるだけ表に出ないようしていたと聞いていたが、今回の炎呪の『記者会見会場での説明』という指示はそれを『反故』にするようなものだ。

 おそらく、それだけ炎呪が俺の今回の判断は「良くない」と思っているのだろう。そのための『嫌がらせ』のように感じる。⋯⋯⋯⋯が、目的はそれだけじゃないな感じもするがな。

 炎呪は『見た目は子供中身は大人』というどっかの名探偵のような人物だが実際の年齢は60歳を超えている。つまり、炎呪は見た目にごまかされるが、実際はその中身同様かなり老獪な策士だ。

 なので、炎呪のその他の目的が何なのか正直読み取れない。

 ただ、俺自身も今回の炎呪の嫌がらせとしてのこの『記者会見』は都合がよかった・・・・・・・。理由は今後のことがあったからだ。

 元々「このチート能力があれば、この世界で『ラノベ主人公』のように活躍したい!」と考えていた俺は、まずは実力をつけるために単独探索者ソロ・シーカーとして動くことから始めた。⋯⋯ていうか、最初の頃は知り合いや友達の探索者シーカーなんていなかったから選択肢は『単独探索者ソロ・シーカー』しかなかったけどな(あれ? 目から汗が)。

 ちなみに、単独探索者ソロ・シーカーで活動しているときは周囲に気づかれないようにしていた。理由は⋯⋯そのほうがかっこいいからだ!

 しかし、その後唐沢と胡桃沢とクランを結成すると結果的に有名になってしまった。

 正直⋯⋯「世間に騒がれたいという気持ちがあったのか?」と尋ねられれば「はい」と答える。ただし、自分が思っていたよりもかなり早い段階でこんなことになったので少々ビビった。

 ただ、それは別に『早かった』というだけで、別に『想定外』ということではない。むしろ『想定内』だ。そして、俺は考えた。


「せっかく『時の人』になったのであれば、このアドバンテージを活かしたい」と。


 しかし「このアドバンテージをどうやって活かすか?」と考えたときまったく答えが出てこなかったので俺はこの件については一時保留としていた。

 そんなときに降って湧いたのが『魔物暴走スタンピード』だった。

 もちろん、最初は「ボーナスステージレベリングやー!」程度にしか考えていなかったが、『魔物暴走スタンピード』鎮圧後、炎呪の嫌がらせでこんな『記者会見会場』で話す羽目になったのだが、俺はここで以前一時保留にしていた『時の人となったアドバンテージを活かす』というのをこの記者会見で活かそうと発想を転換した。


「よし! どうせなら記者会見これを利用してスーパー有名人にでもなるかっ!!」
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