イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第二章

051「大騒ぎ」

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「おおお! あれは⋯⋯新屋敷ソラくんだっ!!」

 学校の校門まで行くと、テレビカメラとレポーターっぽい人がいっぱいた。マスコミの人たちだろう。そんなマスコミの人たちは俺を見つけると一斉に寄ってきた。

「おはよう! 君、新屋敷ソラ君だよね! 唐沢君と胡桃沢さんとは友達なのかな~?!」
「唐沢君と胡桃沢さんとは高校からのお友達なんですかっ?!」
「唐沢君と胡桃沢さんは付き合っているんですかっ?!」
「胡桃沢さんはモデルのあの胡桃沢星蘭さんですよね!? どういったご関係ですかっ?!」
「胡桃沢星蘭さんのお父様は、かの有名なKZインダストリーの胡桃沢勝己さんですよね! 唐沢君はお会いになったことはありますかっ?!」

 おおお⋯⋯これがマスコミの突撃取材か。

 まさか、生きてる間に突撃取材を受ける立場になるとは思っていなかった俺は一瞬感動したが、すぐに「うぜぇ~」となった。だって、全然質問が終わらないもの。すると、

 ザザザ⋯⋯!

 数名の黒服がマスコミをばらけさせ、俺が校舎に入れるよう道を作ってくれた。

「な、何ですか、あなたたちはっ!? 私たちは許可をとってここで取材しているのよ!!」

 強気な性格っぽい女性アナウンサーがその黒服たちに文句を言う。しかし、

「我々は『公安』の者です。あと、いくら許可をもらったと言っても彼らは高校生です。自重してください」
「そ、そんなの、そんなの政府の横暴よっ!?」

 それでも、尚も噛み付くレポーター。しかし、

「公安はその許可を取った者よりも権限は上になります。よって、それ以上邪魔をするのならその許可を強制取消とし、以降この場での取材は禁止とします。それでも抵抗しますか?」

『公安』を名乗る黒服の人は語気を強めて警告をする。

「ふ、ふん! 何よ、威張っちゃって!」

 レポーターは不貞腐れながらもさすがにこれ以上は食い下がれないと判断し、黒服の指示を受け入れ身を引いた。同時にそれを見た他のマスコミも彼女に合わせ引く。

「さ、ソラ君。校舎の中へ」
「あ、ありがとうございます」

 そ、それにしても『公安』って⋯⋯⋯⋯何か、かなり大事になってません?」

(※なってます)


********************


「あ、ソラ君!」
「おはよう」
「ソラ、待ってたぞ!」

 教室に入るなり、胡桃沢と唐沢に声をかけられると腕をホールドされ教室から連れ出された。

「お、おい! いきなり何だよっ?!」
「今、教室に入ってもクラスメートからやたら話しかけられてまともに話ができないの!」
「おう! だからいつもランチで使っている屋上に行こうと思ってよ!」

 そう言って、二人に腕を引っ張られながら屋上へと移動した。



「ふー、何だか大変なことになってるわね⋯⋯」

 胡桃沢は屋上から校門を見ながらそう呟く。校門のほうではまだマスコミが張り付いていた。

「胡桃沢はモデルやってんだからマスコミの対応とか問題ないだろ?」

 と、唐沢が言うと、

「バカ言わないでよ! モデルの仕事とマスコミ対応なんてまったく別物よ! まーたしかにたまに取材とかあるけど、モデルがマスコミ相手にしゃべることなんてほとんどないわよ!!」
「ふ~ん、そういうものなんか」
「ていうか、モデルの仕事も最近は断ってるし! それよりも探索者シーカーとして強くなりたいからレベリング優先にしてるし!」

 そう、胡桃沢はモデルの仕事を辞めたわけではないが、ほとんどやっていないらしい。聞くと「本当は辞めるって言ったんだけど、事務所に仕事はしばらく休んでいいけど残って欲しいって言われたから⋯⋯それで仕方なく籍は置いている状態なの。一応事務所にはこれまでいろいろとよくしてもらっていたし⋯⋯」とのことだった。

 まー、胡桃沢もまさか探索者シーカーにすぐになれると思っていなかっただけに突然なことだっただろうし、探索者集団シーカー・クランを結成してからは俺の『恩寵ギフト』の共有もできるようになったため、予想よりもかなり早いスピードで成長し、今のような大騒ぎになる程強くなったわけで。

 つまり、元はと言えば、俺が胡桃沢のモデルの仕事を潰してしまったと言えるのかもしれない。とはいえ、胡桃沢は前に、

「モデルは知り合いに誘われたからやっただけで自分の意思じゃないし⋯⋯まー楽しかったし、良い経験にもなったけど⋯⋯でも『やりがい』みたいものはなかったから⋯⋯。でも、探索者シーカー活動は違うわ。めっちゃ楽しいし、強くなりたいもの!」

 と、瞳をキラキラさせながら言っていた。それを聞いた当時、少し安心したのは懐かしい話だ。

「さて⋯⋯これからだけど、どうすっかだな」
「どうすっか⋯⋯って、何かすることがあるの?」

 唐沢の言葉に胡桃沢が反応する。そして俺は、

「学校を辞める⋯⋯⋯⋯って話か?」

 と、唐沢に逆に尋ねた。

「お? さすがわかっていたか、ソラ」

 そう言うと、唐沢が話を始めた。

「今、俺たちの状況は『注目の新人ルーキー探索者シーカー』ということでマスコミに取り上げられるほどになった。それはそれでありがたいことではあるけど、でも実際学校がこんなんだと勉強なんてまともにできないだろ? まーマスコミが俺たちに興味が無くなれば収まるだろうけど⋯⋯でも⋯⋯」
「でも?」

 胡桃沢が話が途切れるタイミングで聞き返す。

「ソラはこの程度・・・・でレベリングを終わらせるなんて考えてないだろ?」
「! まー⋯⋯そうだな」
「ということは⋯⋯だ、一緒に探索者集団シーカー・クランとして活動している俺たちももっと強くなっていくだろうし、それはしばらくは終わらないだろ? てことは、マスコミから追われるのは強くなり続けるかぎり続くってことだ」
「! た、たしかに⋯⋯唐沢の言う通りね」
「ああ、そうだな。逆に言えば、マスコミに追い続けられるのが当たり前になって初めて、一流の探索者集団シーカー・クランと言われるのかもしれないな」
「おお、ソラ! 確かにそうかもな!」
「ちょっと、かっこいいわね⋯⋯ソレっ!」

 そう言って、三人は二カッと笑う。
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