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第二章

044「誕生!『新進気鋭《アップスタート》」

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「おっ! 来たわね~⋯⋯『新進気鋭アップスタート』のみんなっ!!」
「「「お、おはようございます、琴音さんっ!!」」」

 俺たちは探索者集団シーカー・クラン名が決まったあとすぐにギルド本部に行ってクラン名の登録をした。

 そして、それからさらに二日後の今日⋯⋯⋯⋯いよいよ、三人でダンジョンに潜る日がやってきた。

「いよいよ、今日からね、ソラ君! 初めての『探索者集団シーカー・クラン』の活動⋯⋯」
「は、はい。まさか、この日がこんなに早く来るなんて思っていなかったので⋯⋯⋯⋯嬉しいです」
「うんうん、そうよね! わかるわよ、ソラ君! お姉さんも嬉しいわ~!」

 そう言って、琴音がソラの頭を捕まえて自分の胸へとムギュウしようとしていた。⋯⋯⋯⋯が、

「ス、ストーーーーーーーップ!!! ストップです、琴音さん!! いきなり何やってるんですかぁぁ!!!!」
「⋯⋯⋯⋯チッ、気づかれたか」
「当たり前でしょ! まったく⋯⋯琴音さんはそうやって隙あらばムギュウするんだから! ソラ君へのムギュウ禁止です!」
「じょ、冗談よ冗談! それよりも二人は初ダンジョンね。頑張れっ!!」
「「は、はいっ!!」」
「まー、ソラ君がいるから大丈夫だと思うけど⋯⋯それでも気をつけるようにね。あと、ソラ君も油断大敵よ?」
「はい、ありがとうございます」
「うん! それじゃーいってらっしゃい!」

 そう言って、琴音さんが俺たち三人を元気よくダンジョン入口へと案内してくれた。

「よーし、じゃあいくか」
「「おー!!」」

 こうして、探索者集団シーカー・クラン新進気鋭アップスタート』としての初めてのダンジョン探索が始まった。


********************


 関東C24のCランクダンジョンに入って1時間後——俺たちは20階層にいた。

「う、嘘でしょ? な、何よ、これ? なんで⋯⋯」

 胡桃沢は目の前の現象に理解が追いついていない様子。

「あ、あれ? 俺たち今日初めてダンジョンに入ったんだよね~? なのに⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 そう言って、一度ゴクリと唾を飲み込むと、

「「なんで、一日で俺たち(私たち)ここまで強くなってんだよ(のよ)ぉぉぉ~~~!!!!」」

——————————————————

名前:唐沢利樹

レベル:15

魔法:<初級>ファイヤバレット/サンダーバレット
スキル:<初級>身体強化/縮地

——————————————————

——————————————————

名前:胡桃沢星蘭

レベル:13

魔法:<初級>ファイヤバレット/ソードウィンド/コールドブレス
スキル:<初級>身体強化/縮地/

——————————————————

 二人は。お互いのステータスを見ながら、いつものようにハモり気味に俺にツッコミを入れる。

 うむ。気持ち良いくらいに息ぴったりだな⋯⋯二人とも。

「まー、単純に俺がいることで魔物を狩るスピードが早いからってことだな。なんせ、俺、D級ランカーだし!(フフン)」

 と言って、ソラが鼻高々に胸を張り、そんなセリフを吐いた。

 ちなみに、単独探索者ソロ・シーカーとは違って、探索者集団シーカー・クランで魔物を倒すと魔物経験値は『人数分』で振り分けられる(100なら34・33・33って感じだ。端数はクランリーダーに振り分けられるっぽい)。

「ばっきゃろー! お前がD級ランカーなわけあるかぁぁーーーっ!!!!」
「そうよ! D級ランカー程度・・なら、いくらここがF級御用達ダンジョンの中間層とはいえ、あんな拳一つでパーンって魔物を破裂させる倒し方できるわけないじゃないっ!!!!」
「「寝言は寝て言えぇぇぇぇ~~っ!!!!」」
「ええええ⋯⋯」

 何か、思ってたのと違う理由で怒られた。

⋯⋯解せぬ。



「それにしても、まさか今日一日で関東C24の20階層まで来るなんて⋯⋯。これじゃ、まるで一流探索者シーカーみたいじゃねーか」
みたい・・・⋯⋯⋯⋯じゃなくて実際そんな感じよね、今の私たちのレベリング速度って⋯⋯」

 と、唐沢の発言に対して、胡桃沢が冷静に回答する。

「まーソラが魔物をワンパンで仕留めるからこその、この異常な成長速度なんだろうな⋯⋯」

 そう言って、二人が俺をジーと見つめる。

「何⋯⋯?」
「いや、ソラも一人でレベルアップしている時は俺たちと同じような感覚だったんだよな?」
「まーそうだな。とはいえ比べる人がいなかったからこんなもんなのかな⋯⋯とも思っていたけどな」
「⋯⋯そうね。たしかに単独探索者ソロ・シーカーだと比べる人がいないから成長スピードの早い・遅いなんて案外気づきにくいかもね⋯⋯」

 と、唐沢と胡桃沢にそんな話をしていると、

 ピコーン!
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