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第二章

036「レア物③」

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 大森林の奥へと進む道すがら、魔物が何度もソラを襲ってきたがすべて瞬殺・・だった。

「Cランクダンジョン16階層⋯⋯いまだ瞬殺。今の自分のこのレベル62って探索者シーカーランクでいったらどのくらいになるんだろうな?」

 他の先輩探索者シーカーとほぼ接点のないソラには自分の強さがいまいちよくわかっていなかった。現時点でもまだ苦戦を強いられたことがないソラは「少なくともC級ランカーの中でも上のほうくらいにはなるんじゃないかな?」と推察していた。

探索者シーカーランクも気になるところだが、それ以上に気になるのは『体内魔力』なんだよな~」

 そう、ソラは唐沢が忠告したような『魔力切れ』を一度も起こしたことがなかった。一応、これまで何度か魔力の上限を確かめようと『全力ぶっぱ』で魔力が尽きるまで放ってみたがそれでも尽きることがなかった。

 そして、ソラは改めて『答え』を導き出した。

「魔力は底なし⋯⋯ということでオーケー?」

 ソラは、少なくとも1日通して魔法をぶっ放しても尽きることがないのであれば「それはもう魔力底なしと判断していいのでは?」という結論に達した。

「まー今後、魔力消費の大きい中級魔法とか上級魔法を獲得できたらその都度確かめてみよう。もしかすると、そこで上限がわかるかもしれない」

 ということで、とりあえず現状、初級魔法程度では『魔力は気にしない』ということで決着がついた。


********************


 それからソラは魔物を狩っていき、奥へ奥へと進んでいくと、

「ん? なんだ、あれは?⋯⋯⋯⋯⋯⋯扉?」

 そこには全長10メートルほどの『大きな石の扉』があった。

「いや、この階層のスケール感⋯⋯間違ってなくね?」

 その大きな扉には紋様というか絵が刻まれていた。その絵は、

「蜂?」

 そう、扉には『蜂が天上の光に向かって螺旋状に登っていく様子』が描かれていた。

「え? え? ま、まさか、まさか⋯⋯だよね? レア物って突然出現するものだったよね? まさか『扉の中にいる・・・・・とかないよね? それだと、もはやレア物じゃなくてダンジョンボスみたいな扱いなんですが?」

 とはいえ、ソラは「まーそれはそれで助かるのだが⋯⋯」ということでその扉に手をかけた。すると、

 カッ!

「うっ?!」

 ソラが手を触れた瞬間、扉が眩い光を放つ。その光に一瞬目が眩むソラ。そして、

「⋯⋯え? ここは?」

 目を開けると、何やら部屋のような場所にいた。直径で約20メートル、天井も20メートルとかなり高いし広い。そして、後ろに目をやると、さっき見たその大きな扉が目に入った。

「なるほど。部屋の中に強制転移させられた⋯⋯てわけか」

 ソラが現状把握したところで、ふと目の前に気にsなるものを見つける。

「おいおいおい⋯⋯何だよ、あれ? あれって、まさか⋯⋯」

 ソラは嫌な予感がした。そして、その予感は見事的中する。

 目の前にあったもの。それは、

 ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ!!!!!!

「蜂の巣かよぉぉ~~~~~~っ!!!!!!!!!!」

 直径5メートルほどの『蜂の巣』で、ソラが蜂の巣と認識したタイミングで、そこから大量の虹色の蜂が現れた⋯⋯レア物『クイックビー』である。その数なんと数十体⋯⋯現時点で20以上は確認できる。

「おいおいおい! これって、まるでレア物のモンスターボックスじゃねーか!?」

 モンスターボックス——ダンジョンもののゲームでよくある罠・トラップ。スイッチとなる石を踏むとか、部屋に侵入するなどトリガーとなる行動をするとそのきっかけで強制転移され、その転移された場所には大量の魔物がいるというもの。生きては帰れないレベルの強烈なトラップの一つ。

 一応、ソラは後ろにある大きな扉を押してみたが当然ビクともしなかった。あと拳や剣で叩いてみてもダメージを与えている感触が感じられない。

「なるほど。『非破壊オブジェクト』みたいなもんか⋯⋯ますますゲームだな」

 扉の破壊が無理だとわかったソラは一度大きく深呼吸をした。

「⋯⋯上等だ。ちょうどこっちは体内魔力の天井を知りたかったところだ。こうなりゃ、とことんここで試してやる。覚悟しろよ、蜂っ子ぉぉぉ~~~~~~っ!!!!!!!!」

 逃げられない空間に大量の魔物⋯⋯突然のモンスターボックストラップに陥り、絶体絶命となったソラだったが、その顔にはニチャァと黒い笑顔が張り付いていた。



 こうして『ソラVSクイックビー大群』の戦いの火蓋が切って落とされた。
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