イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
上 下
34 / 157
第二章

034「レア物①」

しおりを挟む


「レア物?」

 いつものようにダンジョン関東B6へと行く前にギルド本部に用事があったので足を運ぶと、ちょうど琴音さんを見かけたので挨拶をした。すると開口一番「ソラ君! ちょっといい?」と言いながら結構な勢いで飛んできて、

「レア物って知ってる?」

 と唐突に聞かれた。

「レア物?」
「うん。あのね、レア物っていうのはね⋯⋯」

 そう言って、琴音さんがレア物について説明を始めた。

——————————————————

『レア物』

・ダンジョン内で稀に出現する魔物のこと。出現する確率が異常に低いので滅多に遭遇しない
・レア物は虹色に輝いているので一目でわかる
・レア物を倒すとレアアイテムを落とすが、その中にはレアな魔法書やスキル書などもある
・レア物の特徴を軸に『高火力系』『高防御系』『高敏捷系』と三種類に分類されている

『高火力系』—— 遭遇率0.1%未満。レア中のレア。ドロップするレア度も強さも三種類の中ではぶっちぎりのトップ。ただし、遭遇率が低い上に遭遇したら返り討ちにされる可能性が非常に高いと言われる⋯⋯つまり普通に強い魔物でもあるので、S・A級以外の下の探索者シーカーたちからは人気がない。というか『出会いたくない魔物』と言われている

『高防御系』—— 遭遇率3%未満。レア物中2番目のレア度。ドロップするレア度も強さもトップには及ばないものの探索者シーカーの中でも数が少ない『治癒系』『防御系(バフ・デバフ含む)』のレアアイテムやレアな魔法書・スキル書が出てくるので、遭遇率が低く、且つ、強い魔物である『高火力系』よりも『高防御系』のほうが人気が高い

『高敏捷系』—— 遭遇率5%未満。レア物の中では割と遭遇できる魔物。レア物の中で一番遭遇率も高く、且つ、低探索者シーカー(ギリギリD級ランカー程度)でも倒せる程度の魔物ということもあり、現実的に一番の人気の高いレア物。ただし、たまにA級でも苦戦するほどのレア物が出現することも。レア物の中で唯一レア度と魔物の強さに『幅』があるのが特徴(A級~E級)。

——————————————————

「滅多に遭遇しない魔物⋯⋯ですか」
「そう! 元々は『レアな魔物』って呼ばれてたんだけど、いつしか『レア物』って略称で呼ばれるようになったわ。ちなみに、そのレア物って虹色に光ってるのよ」
「虹色? 何かいかにもって感じですね」
「うん。だから出てきたら一目でわかるわよ。でね? 実は今ソラ君が通っている関東B6ってレア物の出現頻度の高いダンジョンなのね」
「へーそうなんですか」
「うん。でね、そのレア物の中でギルド的に欲しい『レアなスキル書』をドロップするのがいるの」
「え? レアな⋯⋯スキル書?」
「うん。そのスキル書のスキルは『魔力洗浄マナクリーン』っていうスキルなの」
「⋯⋯魔力洗浄マナクリーン?」
「そのスキルの効果は『体内魔力のよどみを解消する』というものなのね⋯⋯」
「体内魔力の⋯⋯澱みを解消⋯⋯?」

 ん? 意味がわからないぞ? 体内魔力の澱み? どゆこと?

「あはは⋯⋯ごめん、ごめん。スキル名と効果を聞いたくらいじゃわからないわよね」

 と、「ごめーん」という仕草をする琴音さん。可愛い。⋯⋯などと思っていたら急に怪しげな笑みを浮かべながら話の本題へと入っていった。

「フフフ⋯⋯実はね? この体内魔力の澱みが解消されたらすごいことになるのよ⋯⋯」
「は、はあ⋯⋯」

 ずいぶん、勿体ぶってるな。でも、琴音さんのそういう仕草も⋯⋯⋯⋯いいね(グッ!)。

「聞いて驚きなさい、ソラ君! この体内魔力の澱み⋯⋯これを解消するとぉぉ~~⋯⋯⋯⋯デデデデデ⋯⋯⋯⋯デデン(※セルフ演出)! 誰でも魔法やスキルを100%・・・・獲得できるようになりまーす!」
「え? ええええええええええええええっ?!」

 なっ?! そ、それって、

「そう! つまり、誰でも探索者シーカーになることができるってことでーーすっ!!!!」
「そ、そんなスキルが、あるんですね⋯⋯」
「ちなみに、そのレア物に関しては100%確実にそのスキル書をドロップするの。だから、もしそのレア物に遭遇して『魔力洗浄マナクリーン』のスキルをゲットしたらギルドに報告して欲しいんだっ!!」

 と、上目遣いで懇願してきた。

 あざとかわいいあざとい。

「で、でも、それを報告したらスキルを獲得した俺に何かさせるってことですよね? ていうか、まず間違いなく『探索者シーカー希望者』を全員魔法とスキルをゲットさせて探索者シーカーにさせようって魂胆ですよね?」
「あ、バレた?」
「はあ⋯⋯わかりますよ、それくらい」
「でも、ちゃんと『協力金』出すわよ? 一人に付き『10万円』ほど」
「え? 一人に付き10万⋯⋯⋯⋯ですかっ?!」

 ほほぉ~?(ニチャァ)

「ただし、ギルドとしては誰でも探索者シーカーにさせたいとは思っていないわ。むしろ、逆よ」
「逆?」
「そ! もし、このスキルをゲットして誰でも意図的に探索者シーカーにさせられる環境ができれば、ギルドとしては『人選』にかなりの重きを置きたいと考えているの」

 琴音さんの話では、誰もがなれるものではない『探索者シーカー』という職業につけた者たちは、その後の傾向として『調子に乗って一般人や低級探索者シーカーを馬鹿にする傾向が多い』らしく、そのため、ギルドとしては『探索者シーカー』になる者の人選を厳しくしたいらしい。

 そして、ゆくゆくは『ギルド側が求める探索者シーカー探索者シーカー希望者に教育させるシステムを作りたい』というのが目的の本丸とのこと。

 なので、『魔力洗浄マナクリーン』をゲットしてギルドに協力してもらえれば、一人につき10万円支払うくらいギルドからしたら『安い買い物』なのだそうだ。

「もちろん、ソラ君の予定を最優先に考えるし、仮にお願いすることになっても月1回程度よ。もちろんソラ君が稼ぎたいのであれば回数を増やすことにこちらとしては歓迎はしても困ることはないわ。まーいずれにしてもソラ君の探索活動に支障が出ない程度の協力だから、そこだけは安心して!」
「わ、わかりました。それなら、もしそのレア物に遭遇してスキルをゲットしたら報告しますね」
「本当?! ありがとう!!」
「ちなみに、その『魔力洗浄マナクリーン』のスキル書を落とすレア物ってどういう魔物なんですか?」
「そのレア物の名前は『クイックビー』。虹色に光る大型蜂の魔物よ」

 琴音さんの説明によると、このクイックビーという魔物は大型蜂という魔物で、体長が3メートルある蜂らしい。しかも、このクイックビーは『高敏捷系』でありながら体当たりで突っ込んで攻撃をするらしく、その一撃を食らうとC級ランカーでも体力を半分近く削られるとのこと。

 おまけに、蜂なので毒針を持っているのだが、それを無数に・・・飛ばすらしい。ちなみに体長3メートルの図体のくせして、その飛ばす針は一本15センチほどの小ささでそれが数百飛んでくるとのこと。

 尚、一本でも刺さったら致命傷になり、下手すると死ぬらしい。少なくとも数本突き刺さったら命は確実にないとのこと。⋯⋯なかなかのハードモードでは?

「レア物って言葉だけ聞くとラッキーな魔物って思われるのが多いけど、それはあくまでB級以上のランカーくらいからね。むしろレア物はダンジョン内で強い部類に入る魔物だから、出会ってもまるで歯が立たない探索者シーカーも大勢いるわ。ただ、今回のこのクイックビーは『高敏捷系』でA~E級と強さに幅はあるけどまだ倒しやすいレア物になるわ」
「⋯⋯わかりました。とりあえず遭遇したら頑張ってみます」
「よろしくね。あ、でも、別にギルドからの命令とかそんなんじゃないから。ソラ君の都合優先でいいから!」

 話では、俺以外の他の有力な探索者シーカー探索者集団シーカー・クランにも依頼しているらしい。ちなみに、初めてこの依頼をしたのは10年前らしく、それ以降一度もそのレア物『クイックビー』は出現していないらしい。

 レア物の中では割と遭遇しやすい『高敏捷系』にしては「遭遇率悪くね?」と思って、そのことを琴音さんに尋ねたら、

「そうなの。10年前より以前は割と遭遇率は高かったんだけどね。もしかしたら10年前から『生態』が変わったかもしれないって言われているわね⋯⋯」

 なるほど。その可能性はあるかもしれない。

 でも、もし、本当にそのレア物の生態が変わったのが原因なら遭遇はあまり期待できないかもな。

「わかりました。とりあえずできるだけのことはやってみます」
「ありがとう! よろしくね、ソラ君!」

 こうして、俺はそのレア物の捜索⋯⋯『クイックビー捜索』もダンジョン活動のかたわら始めた。ていうか、

「本当にこんな魔物がいてスキルをゲットしたらまず間違いなく使うよな~⋯⋯唐沢と胡桃沢に」

 そう。もしこの『魔力洗浄マナクリーン』をゲットできたら、ギルドには俺個人の希望として唐沢と胡桃沢には面接なしで『魔力洗浄マナクリーン』を使うことを認めさせるつもりだ。⋯⋯ていうか『決定事項』だ。もし、それを断るならギルドには協力しないつもりだ。

「ま、いずれにしても『魔力洗浄マナクリーン』をゲットしてからの話⋯⋯だけどな」

 とはいえ、心の中では二人が探索者シーカーになれれば探索者集団シーカー・クランを結成したいという夢が実現できるので、正直何としてでもこのスキルをゲットしたい。

「かなり厳しいかもしれないが⋯⋯」

 と、言いつつも俺は心の中でメラメラとやる気の炎を燃え上げていた(ボッ!)。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...