異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

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【第二章 ハズレモノ旺盛編】

049「ご主人様登場」

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「ま、まさか⋯⋯あのリーゼが後ろ・・を取られるなんて⋯⋯」
「う、嘘⋯⋯? 私が⋯⋯後ろを取られるだなん⋯⋯て⋯⋯」

 俺が桃色ツインテールちゃんの咄嗟の攻撃をかわした上、尚且つ、後ろを取ったことに周囲のみんなが驚いていた。

 ちなみに、セインはその様子をニヤニヤと眺めている。⋯⋯あ、こいつ、こうなることを予想していたな? やっぱ、こいつ『食えないヤロー』認定だな。気をつけよう。

 俺がセインの評価を『食えないヤロー』として注意しようと考えていると、

「おい⋯⋯いい加減、離せ」
「え?」

 桃色ツインテールちゃんの言葉に一瞬『?』が浮かんだが、

「あ!⋯⋯し、失礼しました」

 そう言って、俺はさっきからずっと桃色ツインテールちゃんの両肩を掴んでいたことに気づき、慌てて離す。

 すると、桃色ツインテールちゃんがクルッと俺の方に向き合うと、

「私の名は『リーゼロッテ・ジオガルド』。ジオガルド公爵家の娘⋯⋯」
「ジオ⋯⋯ガルド?」

 はて? どっかで聞いたことあるような⋯⋯?

「エイジ・クサカベ⋯⋯⋯⋯決闘よっ!!」
「え?」
「お、おいっ!? 待て、リーゼロッテ!」

 すると、珍しく少し焦った様子で間に入ってきたのは、

「⋯⋯ケイティ先生」
「リーゼロッテ。それはさすがに洒落・・にならん。⋯⋯ダメだ」

 ケイティ先生は真剣な顔でリーゼロッテを止める。

「どうしてですか?」
「わかるだろ?! お前は『四大公爵T4』なんだぞ!!」
「⋯⋯⋯⋯」

 リーゼロッテはケイティ先生の言葉に口をつぐむ。

「気持ちはわかるが『平民』と『四大公爵』が決闘となるのは聞いたことがない。それに、そうなるといろいろな所、人に影響を及ぼしかねん。よって、その『決闘』は却下⋯⋯」
「お待ちください、ケイティ先生!」
「っ?!⋯⋯⋯⋯セイン⋯⋯クリストファー⋯⋯」

 今度はケイティ先生とリーゼロッテの間にセインが乱入・・してきた。

「先生の言っていることはわかりました。では、『決闘以外』のやり方ではどうですか?」
「何?」
「あくまで『手合わせ』ということでどうでしょう?⋯⋯しかも『正式な場』で」
「⋯⋯何を考えている、セイン・クリストファー」
「今度、城から『救世主様たちの実力試し』の一貫として『模擬戦』をする場がありますよね?」
「っ!?⋯⋯なるほど、そういうことか」
「はい。現在の救世主様がエイジが減って六人となりましたので、『模擬戦』ではこの学園の代表者六人との対戦となります。そこで、エキビジョンマッチということで『リーゼロッテVSエイジ・クサカベ』ということで組んでみてはいかがですか?」
「ほう?⋯⋯それは面白そうだな」

 ケイティ先生がセインの提案にニチャァと笑って乗っかった・・・・・

「そういったわけだ、エイジ。⋯⋯楽しみにしているぞ」
「いや、チョロすぎだろ、先生あんたっ!!!!」

 マズイ。俺の都合はまったく無視して話が進んでいる。

 危機感を抱いた俺は、ここで何か上手いこと言って、二人が画策する『エキジビジョンマッチ』を断る・もしくは有耶無耶にすることはできないか考えていると、

「ちょっと待ったーーーっ!!!!」

 突然、遠くのほうから『今朝ぶりの声』が響いた。

「その話、ちょっと待ってもらいますよ! セイン様、ケイティ先生!」

 この場の『異様な空気』にまったく怯むことなく特攻してきたのは、我が主人あるじ⋯⋯ジョルジオ・マッケラン伯爵、その人である!

「ご主人様ぁぁぁーーーっ!!!!」

 俺はジョルジオの登場に全力で感謝の意を込めて叫んだ。


********************


「少し、おかしくないですか、セイン様」

 ジョルジオがそう言って、身分的には上であるはずのセイン・クリストファーに『異』を申し立てる。

「あと、ケイティ先生も面白がって何やっているんですか!」

 さらに、ジョルジオはケイティ先生にも注意をする。

 え? 何、このイケメン? 抱かれてもいいぞ!

 そんな、まさかのジョルジオの登場に驚いたものの、俺の言葉を代弁してくれるかのようなセリフでセインとケイティ先生にツッコミを入れてくれる。⋯⋯頼もしい。しかし、

「ジョルジオ・マッケラン。なぜ、貴様がこの場にしゃしゃり出てきた?」

 セインが突如『冷めた目とトーン』でジョルジオに迫る。

「それは、私がエイジの主人だからです!」
「「「「「え? えええええええええっ!??????」」」」」

 そう言って、ジョルジオが腰に手を当てドヤァ~とすると、周囲はおろか、セインでさえもジョルジオの言葉に驚きの表情を見せた。

「そ、それは、本当かい?⋯⋯⋯⋯エイジ?」
「ああ、本当だ。昨日から俺はジョルジオ様の子分だ!」

 俺は、ジョルジオの頼もしさに『乗っかろう』と決意し、ここぞとばかりにセインの質問に堂々と答える。⋯⋯ていうか、公爵であるセインには『様付け』しないで、セインよりも身分の低い伯爵であるジョルジオに『様付け』するという、何とも異様な光景が広がっていた。

「そうか。ジョルジオの言っていることは本当⋯⋯なのか⋯⋯」
「ああ、そうだ。主人のジョルジオ様もああ言ってるし、俺だって『手合わせ』だの『模擬戦』だのは参加する気はない! だから、ここは諦めてく⋯⋯」
「「ふむ。だったら丁度いい」」
「え?」

「丁度いい」だと?

 しかも、セインとケイティ先生がハモりながら?

 あれ? あれ?

 何とも嫌な予感が⋯⋯。
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