70 / 75
第六十八話 流刑囚
しおりを挟む
ウインザー城からドーバーの岬へとクロムウエルは連行された。
道中、彼女は何度も命乞いをしたが、受け入れられることはなかった。
その様子を見て、アーサーの親衛隊士のガイは哀れとは思わなかった。戦いを挑み、負けたのだから自業自得だとガイは思った。
ドーバーの岬からクロムウエルは小船に乗せられ、海に放たれる。この小船にはとある魔術がかけられている。
それは海流にのり、戻ってこないように外海まで渡るように推進力がこめられているのである。
アヴァロン島からある程度離れるとこの島を守る十二個の渦の一つが見える。
アテナの首飾りの一つだ。
ほとんどの流刑囚はこの渦に飲み込まれて、死んでしまう。
クロムウエルの目にはこの渦が聞いていたよりも小さいように思えた。
小船は運良く、渦と渦の間を抜け、南に流れていった。
アテナの首飾りから逃れられたものの、このまま海に漂っていては飢え死にするのは目に見えている。
小船には数日分の水と食料が積まれているが、それが無くなったらおしまいだ。
死にたくない、死にたくない、死にたくない……
虚ろな目でクロムウエルはブツブツと呟いた。
五日ほど経過し、水と食料はほとんどつきかけていた。
小船は凪いだ冬の海を漂うだけだ。
「死ぬのは嫌だ。あの悪魔を殺したい。アーサーを殺したい。やつを同じ目にあわせたい」
誰もいない海にクロムウエルはそう叫んだ。
「へえ、君死にたくないんだ」
突如、少年の声がした。
青い髪の美しい少年が向かいに腰掛けていた。
背中にはキラキラと輝く蝶の羽根が生えていた。
この異様な空気を漂わせる少年を見て、クロムウエルは悪魔だと思った。
「僕の言うことを聞くなら、生き延びる事ができるよ」
少年の口から甘美な言葉が放たれる。
「な、何をすればいい?」
クロムウエルは言った。
それはわらにもすがる気持ちだった。
少年は立ち上がり、着ていた白い服を脱ぎ捨てる。
その股間にはとんでもなく醜悪で逞しいものが生えていた。それはそそり立っていた。
「それじゃあ奉仕してもらおうか。君らが悪魔と呼び、蔑んでいたものに奉仕するのだ。そうすれば生かしてやろう」
少年はその見た目にはんして、異様すぎる大きさのものをクロムウエルの顔につきつけた。
死にたくないクロムウエルはそれをためらいつつ、口にくわえた。
稚拙すぎる舌技で奉仕をはじめる。
「どうだい、悪魔のものの味は。さあ僕を楽しませるんだ。それがお前らの贖罪なのさ」
少年はぐいっとクロムウエルの黒髪をつかむと喉奥にその硬い棒を打ちつけた。
クロムウエルは何度も胃液を吐いたが、彼は止めなかった。
どれだけ奉仕を続けたかクロムウエルはわからなかった。気がつけば夜になっていた。
「さあ、もういいだろう。こいつを飲め!!」
蝶の悪魔の肉棒から大量の粘液が吐き出された。
それを口から吐き出そうとクロムウエルは試みたが、強い力で頬をつかまれ、一滴残さず飲まされた。
やっと開放されたクロムウエルは涙を流し、少年を見た。少年はどういうわけか青年になっていた。
その股間のおぞましいもの以外はクロムウエルが見たこともない程の美しい青年であった。
「それは特別製でね。君を変えてくれるのだよ」
美青年は言った。
その言葉のあと、クロムウエルの身体中に耐え難い痛みがはしった。全身の骨が折れ、筋肉が切断されるような痛みだった。
痛みで気絶し、痛みで目を覚ます。それを何度か繰り返すと嘘のように痛みが消えた。
そしてクロムウエルは自身の身体が変化しているのに気が付いた。
乳房は手のひらにおさまらないほどふくらみ、尻も丸く大きくなっていた。腹部は自分でも驚くほど細くなっている。
水面を見ると黒髪は長くつやのあるものになり、目鼻立ちはくっきりとした美しいものに変わっていた。
聖杯教の経典にある悪魔が好むという身体になっていた。
「お前を淫魔に変えた。もうお前は精液以外では命を保てない身体だ。その代わりいくつか特技を与えた。そいつでお前が忌み嫌う男の精液を貪り食い、生きるのだな。さあ、復讐でもなんでもはたすがいい」
蝶の青年はそう言うと空に向かって飛び立った。すぐに夜空に消えて言った。
それから三日ほど漂流し、淫魔となったクロムウエルの目に海岸がみえた。
しかし、クロムウエルにはほとんど体力が残っていなかった。
ここまで来て死ぬのかと思ったとき、彼女は日焼けした腕に抱きかかえられたことに気がついた。
クロムウエルは漁師に助けられ、彼の住む漁村につれて帰られた。
クロムウエルはアヴァロン王国で初めて外国にたどり着いた人物となった。
その漁師はとても優しい男だった。
彼の言葉はまるでわからなかったが、お湯で身体を拭いてくれたり、食べやすいお粥などを作ってくれた。
親身になり、看病してくれた。
ただ、人間の食べ物を食べても美味しいとも思わないし、体力も回復しなかった。
ある夜、クロムウエルは漁師の寝床に忍びこみ、彼の肉棒を咥えた。
漁師は何か理由のわからない言葉を言って、抵抗したがやがてクロムウエルの口からもたらされる快感に逆らわなくなった。
漁師はクロムウエルの口と秘所に何度も精液を注ぎこんだ。
注ぎ込まれるたびにクロムウエルは力がみなぎる思いがした。
実際、あれだけあった乾きがすっかり消えていた。
自分はあの蝶の悪魔の言う通り、男の精液を貪る淫魔になってしまったのだと痛感した。
悪魔と呼び、嫌悪した者の精液を飲まなければ命を保てない。そんな惨めな存在になり、何度も自殺を考えた。
だが、アーサーへの恨みがそれを止めさせた。
やがてクロムウエルは男と交わることに快感を覚えるようになっていった。
自分と一度でも交わったものは逃れられなくなるということにも気がついた。
クロムウエルは誓った。
この国の言葉を覚え、権力者に取り入り、アーサーに復讐をするのだと。
淫魔となった自分ならできるとクロムウエルは思った。
道中、彼女は何度も命乞いをしたが、受け入れられることはなかった。
その様子を見て、アーサーの親衛隊士のガイは哀れとは思わなかった。戦いを挑み、負けたのだから自業自得だとガイは思った。
ドーバーの岬からクロムウエルは小船に乗せられ、海に放たれる。この小船にはとある魔術がかけられている。
それは海流にのり、戻ってこないように外海まで渡るように推進力がこめられているのである。
アヴァロン島からある程度離れるとこの島を守る十二個の渦の一つが見える。
アテナの首飾りの一つだ。
ほとんどの流刑囚はこの渦に飲み込まれて、死んでしまう。
クロムウエルの目にはこの渦が聞いていたよりも小さいように思えた。
小船は運良く、渦と渦の間を抜け、南に流れていった。
アテナの首飾りから逃れられたものの、このまま海に漂っていては飢え死にするのは目に見えている。
小船には数日分の水と食料が積まれているが、それが無くなったらおしまいだ。
死にたくない、死にたくない、死にたくない……
虚ろな目でクロムウエルはブツブツと呟いた。
五日ほど経過し、水と食料はほとんどつきかけていた。
小船は凪いだ冬の海を漂うだけだ。
「死ぬのは嫌だ。あの悪魔を殺したい。アーサーを殺したい。やつを同じ目にあわせたい」
誰もいない海にクロムウエルはそう叫んだ。
「へえ、君死にたくないんだ」
突如、少年の声がした。
青い髪の美しい少年が向かいに腰掛けていた。
背中にはキラキラと輝く蝶の羽根が生えていた。
この異様な空気を漂わせる少年を見て、クロムウエルは悪魔だと思った。
「僕の言うことを聞くなら、生き延びる事ができるよ」
少年の口から甘美な言葉が放たれる。
「な、何をすればいい?」
クロムウエルは言った。
それはわらにもすがる気持ちだった。
少年は立ち上がり、着ていた白い服を脱ぎ捨てる。
その股間にはとんでもなく醜悪で逞しいものが生えていた。それはそそり立っていた。
「それじゃあ奉仕してもらおうか。君らが悪魔と呼び、蔑んでいたものに奉仕するのだ。そうすれば生かしてやろう」
少年はその見た目にはんして、異様すぎる大きさのものをクロムウエルの顔につきつけた。
死にたくないクロムウエルはそれをためらいつつ、口にくわえた。
稚拙すぎる舌技で奉仕をはじめる。
「どうだい、悪魔のものの味は。さあ僕を楽しませるんだ。それがお前らの贖罪なのさ」
少年はぐいっとクロムウエルの黒髪をつかむと喉奥にその硬い棒を打ちつけた。
クロムウエルは何度も胃液を吐いたが、彼は止めなかった。
どれだけ奉仕を続けたかクロムウエルはわからなかった。気がつけば夜になっていた。
「さあ、もういいだろう。こいつを飲め!!」
蝶の悪魔の肉棒から大量の粘液が吐き出された。
それを口から吐き出そうとクロムウエルは試みたが、強い力で頬をつかまれ、一滴残さず飲まされた。
やっと開放されたクロムウエルは涙を流し、少年を見た。少年はどういうわけか青年になっていた。
その股間のおぞましいもの以外はクロムウエルが見たこともない程の美しい青年であった。
「それは特別製でね。君を変えてくれるのだよ」
美青年は言った。
その言葉のあと、クロムウエルの身体中に耐え難い痛みがはしった。全身の骨が折れ、筋肉が切断されるような痛みだった。
痛みで気絶し、痛みで目を覚ます。それを何度か繰り返すと嘘のように痛みが消えた。
そしてクロムウエルは自身の身体が変化しているのに気が付いた。
乳房は手のひらにおさまらないほどふくらみ、尻も丸く大きくなっていた。腹部は自分でも驚くほど細くなっている。
水面を見ると黒髪は長くつやのあるものになり、目鼻立ちはくっきりとした美しいものに変わっていた。
聖杯教の経典にある悪魔が好むという身体になっていた。
「お前を淫魔に変えた。もうお前は精液以外では命を保てない身体だ。その代わりいくつか特技を与えた。そいつでお前が忌み嫌う男の精液を貪り食い、生きるのだな。さあ、復讐でもなんでもはたすがいい」
蝶の青年はそう言うと空に向かって飛び立った。すぐに夜空に消えて言った。
それから三日ほど漂流し、淫魔となったクロムウエルの目に海岸がみえた。
しかし、クロムウエルにはほとんど体力が残っていなかった。
ここまで来て死ぬのかと思ったとき、彼女は日焼けした腕に抱きかかえられたことに気がついた。
クロムウエルは漁師に助けられ、彼の住む漁村につれて帰られた。
クロムウエルはアヴァロン王国で初めて外国にたどり着いた人物となった。
その漁師はとても優しい男だった。
彼の言葉はまるでわからなかったが、お湯で身体を拭いてくれたり、食べやすいお粥などを作ってくれた。
親身になり、看病してくれた。
ただ、人間の食べ物を食べても美味しいとも思わないし、体力も回復しなかった。
ある夜、クロムウエルは漁師の寝床に忍びこみ、彼の肉棒を咥えた。
漁師は何か理由のわからない言葉を言って、抵抗したがやがてクロムウエルの口からもたらされる快感に逆らわなくなった。
漁師はクロムウエルの口と秘所に何度も精液を注ぎこんだ。
注ぎ込まれるたびにクロムウエルは力がみなぎる思いがした。
実際、あれだけあった乾きがすっかり消えていた。
自分はあの蝶の悪魔の言う通り、男の精液を貪る淫魔になってしまったのだと痛感した。
悪魔と呼び、嫌悪した者の精液を飲まなければ命を保てない。そんな惨めな存在になり、何度も自殺を考えた。
だが、アーサーへの恨みがそれを止めさせた。
やがてクロムウエルは男と交わることに快感を覚えるようになっていった。
自分と一度でも交わったものは逃れられなくなるということにも気がついた。
クロムウエルは誓った。
この国の言葉を覚え、権力者に取り入り、アーサーに復讐をするのだと。
淫魔となった自分ならできるとクロムウエルは思った。
40
お気に入りに追加
612
あなたにおすすめの小説
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う
月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる