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第六十六話 アーサー、王位を譲られる
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無事に女教皇モルガンらを救出した僕たちはペレネルの勧めで二階の居住区で休むことになった。
言われてみれば、疲労がかなりたまっている。眠くてたまらない。
休みなくこのバルカン砦にやってきて、ついてからは戦いっぱなしだった。
窓から外を見ると冬の夜が明けようとしていた。
僕はペレネルの言葉に甘えて、休むことにした。
アヤメは涼しそうな顔をしているがクロネははばかることなくあくびをしていた。クロネは猫娘だからね。
装飾品の殆どない部屋のベッドで僕は横になる。
身体は眠りを欲しているのに頭が妙に冴えてしまっている。
それは何故かというとあの混沌王モリアーティのことだ。
たぶんだけど、彼も生前は僕と同じ弱者男性だったのだろう。女性に相手にされないだけでなく、男というだけで蔑まされ、馬鹿にされ、犯罪者扱いされたのだ。
電車なんかに乗っていいるときは僕は両手でつり革を持っている。痴漢に間違えられたら、男というだけで犯罪者として逮捕されるからだ。
僕も前の世界ではまるで女性に相手にされなかった。
だから異世界もののアニメやコミック、ライトノベルにはまった。フィクションだけが逃げ道だった。
逃げて何が悪い。
クロネに出会わなければ、今でもそうしていただろう。
この女だらけのアヴァロン王国にきて、巨大な力を得た混沌王は異性に復讐を誓ったのだろう。
誰だって存在そのものを否定されたら、恨みたくもなるものだ。
それはあの魔者たちも同じだろう。
彼らも産まれた瞬間、罪人として幽界送りにされるのだから。
幽界の魔素と呼ばれる空気中のエネルギーを長く浴びると人はあの様な魔者になるとマーリンは言っていた。
男は悪魔だから、あの様な姿になるのだと聖女主義者は言っていたという。
自分たちでその様にしむけておいてだ。
だから魔者となった男たちは真珠騎士団の女たちを犯したのだ。
まるで鶏が先か卵が先かみたいな話だ。
僕があれこれ考えていると背後から柔らかい感触が背中に感じる。
僕を背中から誰かが抱きしめている。
この柑橘系の香りに褐色の肌はアルだ。
「アルなのかい?」
「はい、我が君。何か思い悩んでいたご様子なので……」
「そうかい、ありがとう。もっと強く抱きしめてくれないか」
「かしこまりました、我が君」
アルは僕に密着する。温かい肌の感触に包まれると不思議と心が落ち着く。
落ち着いた瞬間に僕は思い出したかのように眠気におそわれる。
「アル、お願いだ。僕が起きるまでずっとこうしていてくれ……」
「はい、アルタイルは我が君を離しません」
アルの言葉を聞き、僕は安心して眠りについた。
昼過ぎに起きた僕たちは干し肉と黒パンという簡単な食事をすませ、バルカン砦にのこる遺体処理を手伝う。いくら冬場とはいえ、遺体をそのままにしておいては伝染病の原因などになりかねない。
遺体処理は丸一日かかった。
その日も僕はアルに抱かれて眠りについた。
彼女に抱かれているとどこか若くして亡くなっな母さんを思いだす。外見は全然違うけど。
「アル、好きだよ」
僕はアルに大人のキスをする。
面と向かって好きというのはクロネとアルぐらいかな。
「私も我が君が大好きです」
この日もアルに強く抱きしめてもらって眠りについた。
翌早朝に僕たちは戦艦ウロボロスに転移した。
ペレネル・フラメルと教皇モルガンも同行する。
「速い速い!!」
甲板に出たモルガンは子どものようにはしゃいでいる。
僕とアヤメはその様子を眺めていた。
「アーサー、大丈夫か?」
アヤメは僕に訊いた。
きっとふさぎ込むでいた僕を彼女なりに気づかってくれているのだろう。
本当にアヤメは頼りになるな。
「うん、もう大丈夫だよ」
僕をアヤメに答えた。
アルのおかげでずいぶん心が楽になった。
アルの温かさが僕をたすけてくれた。
恨みの連鎖はとこかで断ち切らないといけないな。
僕はそう思った。
戦艦ウロボロスはテムズ川を逆流する。
戦艦ウロボロスはウインザー城近くに停泊する。
ベアトリクスとはここで一時別れる。
ベアトリクスは戦艦ウロボロスの艦長だから、基本的にはこの船にいるんだよね。
ペレネルはウインザー城にいるニコラ・フラメルの元に赴いた。
久しぶりの再会を祝うのだという。
僕はクロネ、アル、リオ、アヤメさらに救出した教皇モルガンを連だって王宮キャメロットに向かう。
僕たちの帰還を最初に出迎えてくれたのはランスロット家の執事ロッテンマイヤーさんだ。
僕たちは応接用の広間に通された。
モルガンとギネビアは再会を喜び、抱きあった。
そして美人姉妹は僕の左右の頬にそれぞれキスをした。
依頼教皇救出作戦を達成しました。
レベルが八十に上がりました。
称号「救護者」「聖ニニアン島の開放者」「航海士」を獲得しました。
アルタイル・パーシバルの好感度が百になりました。
教皇モルガンの好感度が九十九になりました。
女王ギネビアの好感度が九十九になりました。
「アーサー、時期を見てあなたに王位を譲りたいと思います」
ギネビア女王は僕に左から抱きつく。
「余も同意じゃ。聖杯教の原理主義者が一層された今、反対するものはいないじゃろう」
教皇モルガンはそう言い、ブチュッとキスをした。
「姉上ずるい」
手探りで僕の顔を探しあて、ギネビアもキスをした。
どうやらこれが今回のご褒美らしい。
ううんっとアヤメが咳払いし、クロネがジト目で見ていた。
この年の秋の収穫が終わったころ、戴冠式が行われることになった。
空気から作られた肥料とそれまで禁止されていた農薬が解禁されたことにより、この年は過去に類をみない豊作であった。
言われてみれば、疲労がかなりたまっている。眠くてたまらない。
休みなくこのバルカン砦にやってきて、ついてからは戦いっぱなしだった。
窓から外を見ると冬の夜が明けようとしていた。
僕はペレネルの言葉に甘えて、休むことにした。
アヤメは涼しそうな顔をしているがクロネははばかることなくあくびをしていた。クロネは猫娘だからね。
装飾品の殆どない部屋のベッドで僕は横になる。
身体は眠りを欲しているのに頭が妙に冴えてしまっている。
それは何故かというとあの混沌王モリアーティのことだ。
たぶんだけど、彼も生前は僕と同じ弱者男性だったのだろう。女性に相手にされないだけでなく、男というだけで蔑まされ、馬鹿にされ、犯罪者扱いされたのだ。
電車なんかに乗っていいるときは僕は両手でつり革を持っている。痴漢に間違えられたら、男というだけで犯罪者として逮捕されるからだ。
僕も前の世界ではまるで女性に相手にされなかった。
だから異世界もののアニメやコミック、ライトノベルにはまった。フィクションだけが逃げ道だった。
逃げて何が悪い。
クロネに出会わなければ、今でもそうしていただろう。
この女だらけのアヴァロン王国にきて、巨大な力を得た混沌王は異性に復讐を誓ったのだろう。
誰だって存在そのものを否定されたら、恨みたくもなるものだ。
それはあの魔者たちも同じだろう。
彼らも産まれた瞬間、罪人として幽界送りにされるのだから。
幽界の魔素と呼ばれる空気中のエネルギーを長く浴びると人はあの様な魔者になるとマーリンは言っていた。
男は悪魔だから、あの様な姿になるのだと聖女主義者は言っていたという。
自分たちでその様にしむけておいてだ。
だから魔者となった男たちは真珠騎士団の女たちを犯したのだ。
まるで鶏が先か卵が先かみたいな話だ。
僕があれこれ考えていると背後から柔らかい感触が背中に感じる。
僕を背中から誰かが抱きしめている。
この柑橘系の香りに褐色の肌はアルだ。
「アルなのかい?」
「はい、我が君。何か思い悩んでいたご様子なので……」
「そうかい、ありがとう。もっと強く抱きしめてくれないか」
「かしこまりました、我が君」
アルは僕に密着する。温かい肌の感触に包まれると不思議と心が落ち着く。
落ち着いた瞬間に僕は思い出したかのように眠気におそわれる。
「アル、お願いだ。僕が起きるまでずっとこうしていてくれ……」
「はい、アルタイルは我が君を離しません」
アルの言葉を聞き、僕は安心して眠りについた。
昼過ぎに起きた僕たちは干し肉と黒パンという簡単な食事をすませ、バルカン砦にのこる遺体処理を手伝う。いくら冬場とはいえ、遺体をそのままにしておいては伝染病の原因などになりかねない。
遺体処理は丸一日かかった。
その日も僕はアルに抱かれて眠りについた。
彼女に抱かれているとどこか若くして亡くなっな母さんを思いだす。外見は全然違うけど。
「アル、好きだよ」
僕はアルに大人のキスをする。
面と向かって好きというのはクロネとアルぐらいかな。
「私も我が君が大好きです」
この日もアルに強く抱きしめてもらって眠りについた。
翌早朝に僕たちは戦艦ウロボロスに転移した。
ペレネル・フラメルと教皇モルガンも同行する。
「速い速い!!」
甲板に出たモルガンは子どものようにはしゃいでいる。
僕とアヤメはその様子を眺めていた。
「アーサー、大丈夫か?」
アヤメは僕に訊いた。
きっとふさぎ込むでいた僕を彼女なりに気づかってくれているのだろう。
本当にアヤメは頼りになるな。
「うん、もう大丈夫だよ」
僕をアヤメに答えた。
アルのおかげでずいぶん心が楽になった。
アルの温かさが僕をたすけてくれた。
恨みの連鎖はとこかで断ち切らないといけないな。
僕はそう思った。
戦艦ウロボロスはテムズ川を逆流する。
戦艦ウロボロスはウインザー城近くに停泊する。
ベアトリクスとはここで一時別れる。
ベアトリクスは戦艦ウロボロスの艦長だから、基本的にはこの船にいるんだよね。
ペレネルはウインザー城にいるニコラ・フラメルの元に赴いた。
久しぶりの再会を祝うのだという。
僕はクロネ、アル、リオ、アヤメさらに救出した教皇モルガンを連だって王宮キャメロットに向かう。
僕たちの帰還を最初に出迎えてくれたのはランスロット家の執事ロッテンマイヤーさんだ。
僕たちは応接用の広間に通された。
モルガンとギネビアは再会を喜び、抱きあった。
そして美人姉妹は僕の左右の頬にそれぞれキスをした。
依頼教皇救出作戦を達成しました。
レベルが八十に上がりました。
称号「救護者」「聖ニニアン島の開放者」「航海士」を獲得しました。
アルタイル・パーシバルの好感度が百になりました。
教皇モルガンの好感度が九十九になりました。
女王ギネビアの好感度が九十九になりました。
「アーサー、時期を見てあなたに王位を譲りたいと思います」
ギネビア女王は僕に左から抱きつく。
「余も同意じゃ。聖杯教の原理主義者が一層された今、反対するものはいないじゃろう」
教皇モルガンはそう言い、ブチュッとキスをした。
「姉上ずるい」
手探りで僕の顔を探しあて、ギネビアもキスをした。
どうやらこれが今回のご褒美らしい。
ううんっとアヤメが咳払いし、クロネがジト目で見ていた。
この年の秋の収穫が終わったころ、戴冠式が行われることになった。
空気から作られた肥料とそれまで禁止されていた農薬が解禁されたことにより、この年は過去に類をみない豊作であった。
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