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第五十話 北風と太陽
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武術大会というのは魅力的だ。
かつての少年漫画ではどんなストーリーでも武術大会が開かれていた。
僕はそれらを手に汗握って読んだものだ。
それにね、このアヴァロンでは娯楽は乏しいのよ。
清貧であることをよしとする教会のもと、国民は生活をつつましくすることを強制されているのよね。
僕の手を握り、ギネビアが念話で話しかける。
エンタメ好きのオタクとしては、その生活はつらいな。
「武術大会か、腕がなるわ」
右の拳を左手で握り、ロムは言った。
「あら、負けませんよ」
不敵な笑みをアルタイルは浮かべる。
「それにはもう一つの理由もありますよね」
あることを思いついた僕はアヤメの秀麗な顔を見る。
アヤメは楽しそうに僕の顔を見る。
「それは教会側の人たちに僕たちの方が楽しそうと思わせることです」
僕は考えながら言った。
規制と規則ばかりの教会側の人たちはきっと窮屈な生活を送っているだろう。
その人たちに僕たちとの生活のほうが楽しそうと思わせれば、寝返る人たちがでてくるのではないか。
直接の戦闘で勝てたとしても、国力低下はまぬがれない。そんなのは意味がない。
できるだけ戦わずに教会に勝たないとね。
あのときの女の子のような子を増やすわけにはいかない。
最終的に武力衝突はさけられなくとも、被害は最小限にとどめたい。
「そうです。内乱なんてのは馬鹿らしいですからね」
アヤメは言った。
ここでふと疑問がわいた。
外国という存在だ。
この世界には国はアヴァロンしかないのだろうか?
今のところ確認されておりません。
アヴァロン王国の外海は常に荒れていて、我々の航海技術では渡れません。
そしてその外海を越えてきたのはウーサー王だけです。
ギネビアが念話で言う。
ということは戦艦ウロボロスなら海を越えられるということか。
「アーサー、あなたはこの国の宰相なのです。この国を捨てないでください」
声にだしてギネビアは言う。
その通りだ。僕は愛する人たちを捨てて、海をわたるなんてことはできない。
最低でも教会の勢力を僕たちの方が上回らないと海をわたるなんてことはできないな。
「それでいつ行いますか?」
いつでも準備万端という口調でロムは言う。
「そうだな、一月後ではどうかな」
アヤメが提案する。
「分かりました、腕がなりますね。我が君、応援してくださいね」
アルタイルはやる気まんまんだ。
「あっ私も応援してください。絶対優勝してます」
ロムが腕をぐっと曲げて力こぶを見せる。
「残念だが、君はよくて準優勝だ」
アヤメが自信たっぷりに口を開く。
まさかアヤメも参加するのか?
「優勝は私がするからだ」
ふふっと形の言い唇のはしをあげ、アヤメは微笑む。
すでにバチバチと火花が散っている。
「これは楽しみだわ。誰がでるかはわらわに選ばせてもらうわ」
楽しそうにギネビアが言った。
それから数日後、武術大会の開催がギネビアの名によって国中に宣言された。
この大会にでるのはクロネ、シーア、アルタイル、リリィ、ユリコ、ヒメノ、ベアトリクス、サラ、ロム、リオ、アヤメの十一人である。
大会はトーナメント戦で行われるということだ。
そしてその大会に女教皇モルガンも招待された。
アヤメの話では女教皇モルガンは貴賓席で戦いを観戦するとのことであった。
まさか敵の首領とこんなところで会うとは思わなかた。
さらに一月が過ぎ、武術大会当日となった。
この一月の間、王都では武術大会の話題で持ちきりだった。
口を開けば誰が優勝するかの話題ばかりだ。
本命はアヤメ・ランスロットであり対抗はリリィ・ガラハタットであった。
山の王と呼ばれた黄金鹿を撃ち殺したクロネを推す声もある。
魚人退治のベアトリクスと言う人もいれば、黒騎士アルタイル、告死鳥殺しのロムもありえると人は言った。
野外の闘技場には約一万人が入っている。
残暑もおさまりかけたこのアヴァロン王国でもっとも熱い場所になっていた。
真夏に逆戻りしたようだと僕は思った。
僕はギネビアの手をとり、用意された貴賓席に向かう。
その席にはすでに魔術師マーリンとモードレッドが座っていた。モードレッドは闘技場を見ずにマーリンの横顔だけを見ている。
「さあこちらへ」
僕はギネビアを座席に誘導する。
ギネビアは優雅に腰かける。
「ごきげんようギネビア」
ギネビアそっくりの声が聞こえる。
僕が振り向くとそこには数人の侍女を従えた黄金の法衣を着た女性がいた。
僕はその女性の顔を見て驚きを隠せなかった。
ギネビアにそっくりなのだ。
いや、そっくりだけどちょっと違う。
ギネビアがほっそりとした清楚な美女に対してこちらの女性はむっちりとしたグラマラスな体をしている。
ギネビアがどこか儚げな印象があるのに対してこちらの女性は生命力に満ち溢れている感じがする。ゆさゆさと揺れる巨乳が魅力的だ。
と目の前の法衣を着た女性の巨乳に見とれていると手の甲をギネビアにつねられた。
いたたたっ……。
「あれは我が姉のモルガンですわ」
ギネビアはそう紹介した。
そうか、この豪華な服をきた豊満美女が宿敵たる女教皇モルガンなのか。
しかし今知ったがそのモルガンがギネビアの姉だとしたらかなりやりにくいな。
「そなたがアーサー公かえ。余はモルガンであるぞ。苦しゅうない」
僕はこれほどまでに高飛車な自己紹介を受けたのは始めてだ。
これだけでもそのモルガンという人間の人となりが分かる。そしてあきらかに人を見下した目で僕を見ている。
前の世界で学生時代に何度も向けられた目だ。嫌な記憶が甦る。
「さあ倪下こちらに」
侍女がそのモルガン女教皇を席へと誘導する。
貴賓席の中央に僕とギネビアが座り、右側がモルガン女教皇たちで左側に魔術師マーリンとモードレッドが座っている。
「悪魔の子が二人も、汚らわしい」
モルガン女教皇の侍女の小声が聞こえる。
僕がその声の方を見ると侍女は黙った。
直ぐに歓声が聞こえ、僕の意識はそちらに向けられた。
闘技場にクロネとユリコが入ってきたのだ。
第一試合のカードはクロネ対ユリコであった。
かつての少年漫画ではどんなストーリーでも武術大会が開かれていた。
僕はそれらを手に汗握って読んだものだ。
それにね、このアヴァロンでは娯楽は乏しいのよ。
清貧であることをよしとする教会のもと、国民は生活をつつましくすることを強制されているのよね。
僕の手を握り、ギネビアが念話で話しかける。
エンタメ好きのオタクとしては、その生活はつらいな。
「武術大会か、腕がなるわ」
右の拳を左手で握り、ロムは言った。
「あら、負けませんよ」
不敵な笑みをアルタイルは浮かべる。
「それにはもう一つの理由もありますよね」
あることを思いついた僕はアヤメの秀麗な顔を見る。
アヤメは楽しそうに僕の顔を見る。
「それは教会側の人たちに僕たちの方が楽しそうと思わせることです」
僕は考えながら言った。
規制と規則ばかりの教会側の人たちはきっと窮屈な生活を送っているだろう。
その人たちに僕たちとの生活のほうが楽しそうと思わせれば、寝返る人たちがでてくるのではないか。
直接の戦闘で勝てたとしても、国力低下はまぬがれない。そんなのは意味がない。
できるだけ戦わずに教会に勝たないとね。
あのときの女の子のような子を増やすわけにはいかない。
最終的に武力衝突はさけられなくとも、被害は最小限にとどめたい。
「そうです。内乱なんてのは馬鹿らしいですからね」
アヤメは言った。
ここでふと疑問がわいた。
外国という存在だ。
この世界には国はアヴァロンしかないのだろうか?
今のところ確認されておりません。
アヴァロン王国の外海は常に荒れていて、我々の航海技術では渡れません。
そしてその外海を越えてきたのはウーサー王だけです。
ギネビアが念話で言う。
ということは戦艦ウロボロスなら海を越えられるということか。
「アーサー、あなたはこの国の宰相なのです。この国を捨てないでください」
声にだしてギネビアは言う。
その通りだ。僕は愛する人たちを捨てて、海をわたるなんてことはできない。
最低でも教会の勢力を僕たちの方が上回らないと海をわたるなんてことはできないな。
「それでいつ行いますか?」
いつでも準備万端という口調でロムは言う。
「そうだな、一月後ではどうかな」
アヤメが提案する。
「分かりました、腕がなりますね。我が君、応援してくださいね」
アルタイルはやる気まんまんだ。
「あっ私も応援してください。絶対優勝してます」
ロムが腕をぐっと曲げて力こぶを見せる。
「残念だが、君はよくて準優勝だ」
アヤメが自信たっぷりに口を開く。
まさかアヤメも参加するのか?
「優勝は私がするからだ」
ふふっと形の言い唇のはしをあげ、アヤメは微笑む。
すでにバチバチと火花が散っている。
「これは楽しみだわ。誰がでるかはわらわに選ばせてもらうわ」
楽しそうにギネビアが言った。
それから数日後、武術大会の開催がギネビアの名によって国中に宣言された。
この大会にでるのはクロネ、シーア、アルタイル、リリィ、ユリコ、ヒメノ、ベアトリクス、サラ、ロム、リオ、アヤメの十一人である。
大会はトーナメント戦で行われるということだ。
そしてその大会に女教皇モルガンも招待された。
アヤメの話では女教皇モルガンは貴賓席で戦いを観戦するとのことであった。
まさか敵の首領とこんなところで会うとは思わなかた。
さらに一月が過ぎ、武術大会当日となった。
この一月の間、王都では武術大会の話題で持ちきりだった。
口を開けば誰が優勝するかの話題ばかりだ。
本命はアヤメ・ランスロットであり対抗はリリィ・ガラハタットであった。
山の王と呼ばれた黄金鹿を撃ち殺したクロネを推す声もある。
魚人退治のベアトリクスと言う人もいれば、黒騎士アルタイル、告死鳥殺しのロムもありえると人は言った。
野外の闘技場には約一万人が入っている。
残暑もおさまりかけたこのアヴァロン王国でもっとも熱い場所になっていた。
真夏に逆戻りしたようだと僕は思った。
僕はギネビアの手をとり、用意された貴賓席に向かう。
その席にはすでに魔術師マーリンとモードレッドが座っていた。モードレッドは闘技場を見ずにマーリンの横顔だけを見ている。
「さあこちらへ」
僕はギネビアを座席に誘導する。
ギネビアは優雅に腰かける。
「ごきげんようギネビア」
ギネビアそっくりの声が聞こえる。
僕が振り向くとそこには数人の侍女を従えた黄金の法衣を着た女性がいた。
僕はその女性の顔を見て驚きを隠せなかった。
ギネビアにそっくりなのだ。
いや、そっくりだけどちょっと違う。
ギネビアがほっそりとした清楚な美女に対してこちらの女性はむっちりとしたグラマラスな体をしている。
ギネビアがどこか儚げな印象があるのに対してこちらの女性は生命力に満ち溢れている感じがする。ゆさゆさと揺れる巨乳が魅力的だ。
と目の前の法衣を着た女性の巨乳に見とれていると手の甲をギネビアにつねられた。
いたたたっ……。
「あれは我が姉のモルガンですわ」
ギネビアはそう紹介した。
そうか、この豪華な服をきた豊満美女が宿敵たる女教皇モルガンなのか。
しかし今知ったがそのモルガンがギネビアの姉だとしたらかなりやりにくいな。
「そなたがアーサー公かえ。余はモルガンであるぞ。苦しゅうない」
僕はこれほどまでに高飛車な自己紹介を受けたのは始めてだ。
これだけでもそのモルガンという人間の人となりが分かる。そしてあきらかに人を見下した目で僕を見ている。
前の世界で学生時代に何度も向けられた目だ。嫌な記憶が甦る。
「さあ倪下こちらに」
侍女がそのモルガン女教皇を席へと誘導する。
貴賓席の中央に僕とギネビアが座り、右側がモルガン女教皇たちで左側に魔術師マーリンとモードレッドが座っている。
「悪魔の子が二人も、汚らわしい」
モルガン女教皇の侍女の小声が聞こえる。
僕がその声の方を見ると侍女は黙った。
直ぐに歓声が聞こえ、僕の意識はそちらに向けられた。
闘技場にクロネとユリコが入ってきたのだ。
第一試合のカードはクロネ対ユリコであった。
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