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第四十四話 幽界からの脱出
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目蓋を開けて最初に視界に入ってきたのはアヤメ・ランスロットの秀麗な顔であった。
その顔の後ろに黒い空が広がっている。
空気はどこか湿っていて、カビ臭い。
「アーサー殿、大丈夫か?」
アヤメ・ランスロットに抱き起こされる。
彼女からは華のようないい匂いがするので、それで覚醒することができた。
「ええ、大丈夫ですよ」
僕はアヤメの手を借りて立ち上がる。
「陛下、アーサー殿が気づかれました」
アヤメの手を握り、ギネビアは良かったと言った。
「ここは……」
僕は周囲を見渡す。
そこは見渡すかぎり荒涼とした大地が広がっていた。草木はなく、土と岩だけしかない。
空は黒く、月も星もない。
真っ暗な闇に吸い込まれそうな、そんな世界が広がっていた。
わずかに見える光でどうにか周囲を見ることができる。
ホタルのような物体がアヤメの周りをまわっている。
「これは私が使う精霊だよ」
アヤメは言った。
「アーサー、わらわたちは幽界に飛ばされたようです」
ギネビアは言った。
そこはいわゆる魔界のようなところだと前にマーリンに聞いたことがある。
教会は生まれた男子をこの幽界に追放しているということだ。
教会はどうしてここまで男子をうらむのだろうか?
世界を滅ばしたのが男だからとかマリアガンヌが言っていたが、そういうことだろうか。
この荒れ果てた大地に放り込まれた男子はその身を魔者に変えて生き延びるのだという。
僕も緑の小鬼や豚鬼のような怪物になるのだろうか?
「きっと聖剣エクスカリバーが守ってくれるはずです」
僕の手をとり、ギネビアは言った。
そうだ、聖剣エクスカリバーの転移能力を使えばウロボロスに帰ることができる。
僕はさっそく聖剣エクスカリバーの転移能力を発動させようとしたが、うまくいかなかった。
この場所では転移できません。幽界からは出口を使用しないと転移はできません。
警告の文字が流れる。
そうは問屋が下ろしてくれないようだ。
「転移できない……」
僕はアヤメに言った。
「ここでは時空が安定していないので無理なのでしょう。どこか時空が安定する場所を探さないと」
アヤメが言い、手のひらを前にだす。
「精霊よ、わたくしたちを導いておくれ」
そうアヤメが唱えるとふわり浮かぶホタルのような光はゆっくりと進みだす。
「精霊が導いてくれます。これについて来てください」
アヤメが言った。
東西南北のわからないこの世界で、アヤメが使う精霊だけが頼りだ。
僕たちはこの光についていくことにした。
緊急依頼幽界からの脱出が発生しました。
視界にテキストが流れる。
僕たちは光の精霊について歩いていく。
少し歩いて、僕は思い出した。
帰るのはできないが、呼ぶことはできないだろうか?
こんなときにオリオンがいてくれたら、ものすごく助かる。
「仲間を呼べるかもしれせん。やってみます」
僕はアヤメに言い、召喚術を使う。
召喚術をクリックしたと同時にクロネの声が脳内に響く。
お兄ちゃん、やっとつながったよ。
お兄ちゃんが呼んでくれたら、そっちにいけるよ。ロムも行きたがってるから、呼んであげてよ。それとオリオンのことも話したいんだ。
言葉で説明するより、実際に見てもらったほうがいいかな。
お兄ちゃん、僕とロム、オリオンを呼んでよ。
クロネは遠隔念話を使っているのだろう。
大好きなクロネの声が聞けて心が落ち着く。
僕は召喚術のスキルを使いクロネ、ロム、オリオンを呼び寄せる。
目の前に三つの魔法陣が出現し、三人の女性があらわれた。
おかしいぞ。
クロネとロムは人間体だけどオリオンは馬のはずだ。
だけどあらわれた三人は全員人間の姿をしている。
見覚えのない女性がまじっている。
短い金髪の背の高い女性だ。
ハリウッド女優なみの美貌で、青い瞳で僕のことを見ている。
「お兄ちゃん、オリオンも人間だったんだよ」
たたっと僕に駆け寄り、クロネは抱きつく。
「この姿でお目にかかるのははじめてですね、ご主人様。私もロム同様人獣だったんです。馬の姿でドンレミ村で隠れ住んでいたのです」
形の良い胸に手をあてて、オリオンは言った。
これはけっこうな驚きだ。
頼れる愛馬が人間だったなんて。
それにめちゃくちゃ美人だ。
これは嬉しいぞ。
おっとオリオンの美貌に喜んでいる場合じゃない。
僕たちはこの世界から脱出しないといけない。
「こちらがアーサーの仲間ですか?」
ギネビアが尋ねる。
「そうだよ、僕の頼れる仲間さ」
僕はギネビアにそう紹介した。
「これより先、皆様の助けなしにはこの幽界は脱出できないでしょう。なにとぞ、よろしくお願いいたします」
スカートの両端をつまみ、ギネビアはお辞儀をした。
アヤメの視界を通して、ロムとオリオンの姿はわかるはずだ。彼女らが人獣であっても分け隔てなく接している。これが女王というものなのか。
「女王陛下、必ずあなた様がたをもとの世界に戻してさしあげます」
ロムが豊満な胸に手をあてて、そう言った。
オリオンを新たに仲間にくわえ、僕たちは光の精霊の後に続いて歩きだす。
体感だけど三十分ほど歩いただろうか。
凶悪な空気をまとった城壁が見えてきた。
視界のマップには悪魔城とかかれている。
その名前にふさわしい禍々しい城であった。
光の精霊がアヤメの耳元を舞う。
「どうやらあの城の一番上にゲートがあるようです」
冷静にアヤメが言った。
ということはあの恐ろしい姿をした城に入り、最上階まで行かないといけないのか。
生半可な道のりではすまないだろう。
だけど行くしかない。
城門をくぐり、重い扉を開き、城の玄関にあたる大広間にでる。
「あはんっ……ぐほっ……はあっはあっ……」
大広間の奥で女性の苦しそうな声がする。
「や、やめてくれ。もう中に出さないでくれ……あはんっ……はあっはあっ……げほっげほっ……」
僕が見たのは四つん這いになり、口とお尻を魔者に犯されているマリアガンヌであった。
マリアガンヌは口と股間から大量の白い粘液を吐き出していた。
その顔の後ろに黒い空が広がっている。
空気はどこか湿っていて、カビ臭い。
「アーサー殿、大丈夫か?」
アヤメ・ランスロットに抱き起こされる。
彼女からは華のようないい匂いがするので、それで覚醒することができた。
「ええ、大丈夫ですよ」
僕はアヤメの手を借りて立ち上がる。
「陛下、アーサー殿が気づかれました」
アヤメの手を握り、ギネビアは良かったと言った。
「ここは……」
僕は周囲を見渡す。
そこは見渡すかぎり荒涼とした大地が広がっていた。草木はなく、土と岩だけしかない。
空は黒く、月も星もない。
真っ暗な闇に吸い込まれそうな、そんな世界が広がっていた。
わずかに見える光でどうにか周囲を見ることができる。
ホタルのような物体がアヤメの周りをまわっている。
「これは私が使う精霊だよ」
アヤメは言った。
「アーサー、わらわたちは幽界に飛ばされたようです」
ギネビアは言った。
そこはいわゆる魔界のようなところだと前にマーリンに聞いたことがある。
教会は生まれた男子をこの幽界に追放しているということだ。
教会はどうしてここまで男子をうらむのだろうか?
世界を滅ばしたのが男だからとかマリアガンヌが言っていたが、そういうことだろうか。
この荒れ果てた大地に放り込まれた男子はその身を魔者に変えて生き延びるのだという。
僕も緑の小鬼や豚鬼のような怪物になるのだろうか?
「きっと聖剣エクスカリバーが守ってくれるはずです」
僕の手をとり、ギネビアは言った。
そうだ、聖剣エクスカリバーの転移能力を使えばウロボロスに帰ることができる。
僕はさっそく聖剣エクスカリバーの転移能力を発動させようとしたが、うまくいかなかった。
この場所では転移できません。幽界からは出口を使用しないと転移はできません。
警告の文字が流れる。
そうは問屋が下ろしてくれないようだ。
「転移できない……」
僕はアヤメに言った。
「ここでは時空が安定していないので無理なのでしょう。どこか時空が安定する場所を探さないと」
アヤメが言い、手のひらを前にだす。
「精霊よ、わたくしたちを導いておくれ」
そうアヤメが唱えるとふわり浮かぶホタルのような光はゆっくりと進みだす。
「精霊が導いてくれます。これについて来てください」
アヤメが言った。
東西南北のわからないこの世界で、アヤメが使う精霊だけが頼りだ。
僕たちはこの光についていくことにした。
緊急依頼幽界からの脱出が発生しました。
視界にテキストが流れる。
僕たちは光の精霊について歩いていく。
少し歩いて、僕は思い出した。
帰るのはできないが、呼ぶことはできないだろうか?
こんなときにオリオンがいてくれたら、ものすごく助かる。
「仲間を呼べるかもしれせん。やってみます」
僕はアヤメに言い、召喚術を使う。
召喚術をクリックしたと同時にクロネの声が脳内に響く。
お兄ちゃん、やっとつながったよ。
お兄ちゃんが呼んでくれたら、そっちにいけるよ。ロムも行きたがってるから、呼んであげてよ。それとオリオンのことも話したいんだ。
言葉で説明するより、実際に見てもらったほうがいいかな。
お兄ちゃん、僕とロム、オリオンを呼んでよ。
クロネは遠隔念話を使っているのだろう。
大好きなクロネの声が聞けて心が落ち着く。
僕は召喚術のスキルを使いクロネ、ロム、オリオンを呼び寄せる。
目の前に三つの魔法陣が出現し、三人の女性があらわれた。
おかしいぞ。
クロネとロムは人間体だけどオリオンは馬のはずだ。
だけどあらわれた三人は全員人間の姿をしている。
見覚えのない女性がまじっている。
短い金髪の背の高い女性だ。
ハリウッド女優なみの美貌で、青い瞳で僕のことを見ている。
「お兄ちゃん、オリオンも人間だったんだよ」
たたっと僕に駆け寄り、クロネは抱きつく。
「この姿でお目にかかるのははじめてですね、ご主人様。私もロム同様人獣だったんです。馬の姿でドンレミ村で隠れ住んでいたのです」
形の良い胸に手をあてて、オリオンは言った。
これはけっこうな驚きだ。
頼れる愛馬が人間だったなんて。
それにめちゃくちゃ美人だ。
これは嬉しいぞ。
おっとオリオンの美貌に喜んでいる場合じゃない。
僕たちはこの世界から脱出しないといけない。
「こちらがアーサーの仲間ですか?」
ギネビアが尋ねる。
「そうだよ、僕の頼れる仲間さ」
僕はギネビアにそう紹介した。
「これより先、皆様の助けなしにはこの幽界は脱出できないでしょう。なにとぞ、よろしくお願いいたします」
スカートの両端をつまみ、ギネビアはお辞儀をした。
アヤメの視界を通して、ロムとオリオンの姿はわかるはずだ。彼女らが人獣であっても分け隔てなく接している。これが女王というものなのか。
「女王陛下、必ずあなた様がたをもとの世界に戻してさしあげます」
ロムが豊満な胸に手をあてて、そう言った。
オリオンを新たに仲間にくわえ、僕たちは光の精霊の後に続いて歩きだす。
体感だけど三十分ほど歩いただろうか。
凶悪な空気をまとった城壁が見えてきた。
視界のマップには悪魔城とかかれている。
その名前にふさわしい禍々しい城であった。
光の精霊がアヤメの耳元を舞う。
「どうやらあの城の一番上にゲートがあるようです」
冷静にアヤメが言った。
ということはあの恐ろしい姿をした城に入り、最上階まで行かないといけないのか。
生半可な道のりではすまないだろう。
だけど行くしかない。
城門をくぐり、重い扉を開き、城の玄関にあたる大広間にでる。
「あはんっ……ぐほっ……はあっはあっ……」
大広間の奥で女性の苦しそうな声がする。
「や、やめてくれ。もう中に出さないでくれ……あはんっ……はあっはあっ……げほっげほっ……」
僕が見たのは四つん這いになり、口とお尻を魔者に犯されているマリアガンヌであった。
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