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第三十八話 獣の騎士
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リーズ城の応接間に僕たちは姉さんに呼び出された。
「あなたたちに我が家宝を進呈しようと思ってね」
ヒメノ姉さんはそう言うと配下の騎士になにやら持ってこさせた。
姉さんの部下は皆、黒衣である。姉さんほどではないが、全員が幻影魔法の使い手でもある。それ故、幻影騎士団と呼ばれている。
ヒメノ姉さんが持ってきたのは、漆黒のマントであった。裏地が血のように赤い。
家宝というのはこのマントのことだろうか?
くれるのは嬉しいけど、夏場にマントは暑すぎないかな。
「その心配はご無用だよ」
にこりと姉さんは微笑む。
姉さんはマントを羽織ってみせる。
うわっ、これはかっこいいぞ。僕の中二心がうずいてくる。
「我が君、あれはきっと魔銀糸が織り込まれたものでは……」
アルタイルが言った。
魔銀か。ファンタジー世界では定番の鉱物だね。
それをマントに織り込むなんて、そんな技術があるのか。
「論より証拠だね。弟よ、着てみな」
ヒメノ姉さんは僕にその魔銀糸であまれたマントを肩にかける
「すごい、肩にかけただけなのに外れない。それに涼しい」
肩に羽織っただけなのにまったくずれない。それにひんやりと冷たい。
これは驚きだ。
「この魔銀糸を紡いだマントは耐熱性、耐寒性さらに魔法防御力もある便利なものなんだ」
自慢気に姉さんは胸を反らす。
姉さんが自慢するだけのことはある代物だ。
「僕は風魔法があるからいいや。アルタイル着なよ」
クロネはアルタイルに譲る。
本当はクロネは背が低いのでマントがずってしまうのが嫌なようだ。
僕にだけ、念話で教えてくれた。
「では遠慮なく」
そう言うと、アルタイルは魔銀糸を紡いだマントを羽織る。さらに僕がカーナボンの城下町で買ってあげた羽根つきのつば広帽子をかぶる。
「おおっ」
僕は思わず感嘆の声を上げる。
背が高く、スタイルのいいアルタイルにそれらはすごく似合っている。昔読んだ小説の主人公である吸血鬼ハンターみたいだ。
「アルタイル、すごく似合っている」
僕は素直に褒める。
アルタイルは褐色の肌の頬を赤く染めた。
「わ、我が君がそう言われるなら、私はこの衣装でずっといます」
アルタイルは言った。
黒騎士アルタイルの誕生の瞬間である。
王都キャメロットへは僕とクロネ、ヒメノ姉さん、アルタイルの計四人で行くことになった。
王都へはこのリーズ城から南に馬で二日の距離だという。
旅支度を整えた僕たちは王都へ向けて旅立つ。
すでにヒメノ姉さんが手紙で近衛騎士団別名は金剛騎士団団長であるアヤメ・ランスロットに来訪を告げているという。
「アヤメはアヴァロンでもっとも正しい騎士と呼ばれている。少人数で話し合いにきた私たちを騙し討ちするような人物じゃないよ」
と姉さんはそのアヤメ・ランスロットなる人物をそう評した。
「私も噂で聞いたことがあります。ランスロット卿はもっとも信義を大切にされる方だとか」
馬上のアルタイルがそう言った。
どうやら姉さんはそのアヤメ・ランスロットと友人だあるようだ。
馬で街道を南下し、夜営をする。
夜営用のテントは二つ持ってきたのに皆、僕と寝たがったので一つのテントでかたまって寝た。右を見ても左を見ても美女ばかりなのでウハウハであった。
朝になり、僕たちはさらに街道を南に馬で行く。正午前にはトレント川が見えてきた。
川幅三十メートルほどのけっこう大きな川だ。
このトレント川の河口付近でベアトリクスがウロボロスをとめて待機している。
いざ危険が迫ったとき、聖剣エクスカリバーの能力で戦艦ウロボロスに撤退する手はずだ。
できればそうならずに王家の人たちを味方にできればいいな。
「我が君、橋が見えてきましたよ」
アルタイルが南を指差す。
このトレント川にかかる橋を越えれば王都キャメロットはすぐだとヒメノ姉さんは説明した。
ここまでは何の障害もなかった。
このまま無事に王都にたどりつければいいなと思っていたら、猛スピードで何者かが接近してくる。
視界のマップに赤い点がこちらに近づいてくるのが見てとれる。
あっという間にそれは僕たちの目の前にあらわれた。
それは猫科の猛獣であった。かなり巨大だ。全身は二メートルはあると思われる。真っ黒な毛でその身体はおおわれている。
おそらくだけど種類的には黒豹だと思われた。
僕たちはそれぞれの武器をとり、臨戦態勢になる。
「ガルウウウッ」
黒豹は凶悪なうなり声をあげる。
殺気にみちた金色の瞳で僕たちを見ている。
「おまえがアーサーなのか?」
その黒豹は人の言葉を話した。
「気をつけて、奴は魔獣よ」
僕の左横に馬をよせ、姉さんが言う。
円月刀を抜いたアルタイルが僕の右側を守る。
お兄ちゃん、言葉を話す獣を魔獣っていうんだよ。もしかすると獣人族の可能性もあるよ。
念話でクロネが話しかける。
僕も短剣の柄に手をかけ、身構える。
鑑定スキルで相手のステータスを読んでみる。
名無し 獣人族レベル65
特技 鉄の爪 鉄の牙 飛翔 咆哮とある。魔力は無いに等しいが体力は僕よりもはるかに高い。
掛け値なしに強敵であるといえる。
「アーサーよ、私を仲間にしないか?」
魔獣が口を開き、そう言った。
それは思ってもみない提案であった。
まさか魔獣から味方にならないかと提案されるとは。ちなみに好感度は二十と少しだ。
黒豹は二本足で立ち上がる。
みるみるうちに姿が変化した。
かなり背の高い、美女に変身した。
アルタイルよりも黒い肌をした、瞳の大きな美女だ。しかも真っ裸であった。
胸もお尻もびっくりするほど大きいのにウエストはキュッとしまっている。
癖の強い黒髪は背中までの長さがある。
その黒髪がみるみるうちに伸びて、乳房と股間をおおった。
僕の陣営ではベアトリクスのスタイルに近いグラマーだ。。
「私は見てのとおり、魔獣の血を引いている。故に名を与えられていない。アーサー、おまえが噂通りの人間なら私に名をくれないか?」
腰に手をあて、黒い肌の美女は言った。
「あなたたちに我が家宝を進呈しようと思ってね」
ヒメノ姉さんはそう言うと配下の騎士になにやら持ってこさせた。
姉さんの部下は皆、黒衣である。姉さんほどではないが、全員が幻影魔法の使い手でもある。それ故、幻影騎士団と呼ばれている。
ヒメノ姉さんが持ってきたのは、漆黒のマントであった。裏地が血のように赤い。
家宝というのはこのマントのことだろうか?
くれるのは嬉しいけど、夏場にマントは暑すぎないかな。
「その心配はご無用だよ」
にこりと姉さんは微笑む。
姉さんはマントを羽織ってみせる。
うわっ、これはかっこいいぞ。僕の中二心がうずいてくる。
「我が君、あれはきっと魔銀糸が織り込まれたものでは……」
アルタイルが言った。
魔銀か。ファンタジー世界では定番の鉱物だね。
それをマントに織り込むなんて、そんな技術があるのか。
「論より証拠だね。弟よ、着てみな」
ヒメノ姉さんは僕にその魔銀糸であまれたマントを肩にかける
「すごい、肩にかけただけなのに外れない。それに涼しい」
肩に羽織っただけなのにまったくずれない。それにひんやりと冷たい。
これは驚きだ。
「この魔銀糸を紡いだマントは耐熱性、耐寒性さらに魔法防御力もある便利なものなんだ」
自慢気に姉さんは胸を反らす。
姉さんが自慢するだけのことはある代物だ。
「僕は風魔法があるからいいや。アルタイル着なよ」
クロネはアルタイルに譲る。
本当はクロネは背が低いのでマントがずってしまうのが嫌なようだ。
僕にだけ、念話で教えてくれた。
「では遠慮なく」
そう言うと、アルタイルは魔銀糸を紡いだマントを羽織る。さらに僕がカーナボンの城下町で買ってあげた羽根つきのつば広帽子をかぶる。
「おおっ」
僕は思わず感嘆の声を上げる。
背が高く、スタイルのいいアルタイルにそれらはすごく似合っている。昔読んだ小説の主人公である吸血鬼ハンターみたいだ。
「アルタイル、すごく似合っている」
僕は素直に褒める。
アルタイルは褐色の肌の頬を赤く染めた。
「わ、我が君がそう言われるなら、私はこの衣装でずっといます」
アルタイルは言った。
黒騎士アルタイルの誕生の瞬間である。
王都キャメロットへは僕とクロネ、ヒメノ姉さん、アルタイルの計四人で行くことになった。
王都へはこのリーズ城から南に馬で二日の距離だという。
旅支度を整えた僕たちは王都へ向けて旅立つ。
すでにヒメノ姉さんが手紙で近衛騎士団別名は金剛騎士団団長であるアヤメ・ランスロットに来訪を告げているという。
「アヤメはアヴァロンでもっとも正しい騎士と呼ばれている。少人数で話し合いにきた私たちを騙し討ちするような人物じゃないよ」
と姉さんはそのアヤメ・ランスロットなる人物をそう評した。
「私も噂で聞いたことがあります。ランスロット卿はもっとも信義を大切にされる方だとか」
馬上のアルタイルがそう言った。
どうやら姉さんはそのアヤメ・ランスロットと友人だあるようだ。
馬で街道を南下し、夜営をする。
夜営用のテントは二つ持ってきたのに皆、僕と寝たがったので一つのテントでかたまって寝た。右を見ても左を見ても美女ばかりなのでウハウハであった。
朝になり、僕たちはさらに街道を南に馬で行く。正午前にはトレント川が見えてきた。
川幅三十メートルほどのけっこう大きな川だ。
このトレント川の河口付近でベアトリクスがウロボロスをとめて待機している。
いざ危険が迫ったとき、聖剣エクスカリバーの能力で戦艦ウロボロスに撤退する手はずだ。
できればそうならずに王家の人たちを味方にできればいいな。
「我が君、橋が見えてきましたよ」
アルタイルが南を指差す。
このトレント川にかかる橋を越えれば王都キャメロットはすぐだとヒメノ姉さんは説明した。
ここまでは何の障害もなかった。
このまま無事に王都にたどりつければいいなと思っていたら、猛スピードで何者かが接近してくる。
視界のマップに赤い点がこちらに近づいてくるのが見てとれる。
あっという間にそれは僕たちの目の前にあらわれた。
それは猫科の猛獣であった。かなり巨大だ。全身は二メートルはあると思われる。真っ黒な毛でその身体はおおわれている。
おそらくだけど種類的には黒豹だと思われた。
僕たちはそれぞれの武器をとり、臨戦態勢になる。
「ガルウウウッ」
黒豹は凶悪なうなり声をあげる。
殺気にみちた金色の瞳で僕たちを見ている。
「おまえがアーサーなのか?」
その黒豹は人の言葉を話した。
「気をつけて、奴は魔獣よ」
僕の左横に馬をよせ、姉さんが言う。
円月刀を抜いたアルタイルが僕の右側を守る。
お兄ちゃん、言葉を話す獣を魔獣っていうんだよ。もしかすると獣人族の可能性もあるよ。
念話でクロネが話しかける。
僕も短剣の柄に手をかけ、身構える。
鑑定スキルで相手のステータスを読んでみる。
名無し 獣人族レベル65
特技 鉄の爪 鉄の牙 飛翔 咆哮とある。魔力は無いに等しいが体力は僕よりもはるかに高い。
掛け値なしに強敵であるといえる。
「アーサーよ、私を仲間にしないか?」
魔獣が口を開き、そう言った。
それは思ってもみない提案であった。
まさか魔獣から味方にならないかと提案されるとは。ちなみに好感度は二十と少しだ。
黒豹は二本足で立ち上がる。
みるみるうちに姿が変化した。
かなり背の高い、美女に変身した。
アルタイルよりも黒い肌をした、瞳の大きな美女だ。しかも真っ裸であった。
胸もお尻もびっくりするほど大きいのにウエストはキュッとしまっている。
癖の強い黒髪は背中までの長さがある。
その黒髪がみるみるうちに伸びて、乳房と股間をおおった。
僕の陣営ではベアトリクスのスタイルに近いグラマーだ。。
「私は見てのとおり、魔獣の血を引いている。故に名を与えられていない。アーサー、おまえが噂通りの人間なら私に名をくれないか?」
腰に手をあて、黒い肌の美女は言った。
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