35 / 75
第三十四話 聖杯教徒との戦い
しおりを挟む信号が変わるのを待つ歩行者の群れ
この信号を渡りきるまでの一分足らずの間
私たちみんなの目的は同じ
「横断歩道を渡って向こう側へ行くこと」
ただそれだけの一致に喜びを覚えるのは
私の心が弱っているからか
その先は、人それぞれ
真っすぐ進む人
右へ行く人
左へ行く人
すぐに散り散りになる
散ったあと、またさっきの場所にできる
信号が変わるのを待つ歩行者の群れ
繰り返される光景
変わらない
けれどそこにいる「人間」は
変わり続ける
目も合わせない関係
けれどもしかしたら隣の人は
いつもネット上で話している
あの人かもね
人生はまるで交差点
一生、直接話すことがないであろう
人々の背中に
勝手に思いを重ねて
ファンになってみたり
勝手に裏切られたような
気分になってみたり
「なんとなく、貴方と私は
横断歩道を渡りきったあとも
一緒に、真っすぐ
この道を歩くんだと思っていたよ」
右へ向かい 遠くなる背中
何の関係もない
ただひととき一緒にいただけ
なのにチクリと刺さるものを感じて
変だね
数多く存在する
「終わってしまう淡い関係」
地球や宇宙から見れば
「クラスメイト」のままで終わった
あの人との関係も
ただひととき
信号が変わるのを一緒に待った
あの人との数十秒も
大差ないのかもね
百年、二年、三十秒
あの「ひととき」が流れている間に
手を繋げなかった
声をかけられなかった
「またね」とすら言えなかった
遠くなる背中
一緒に信号を待っていても
一緒に電車やバスに乗っていても
同じレストランで同じものを食べていても
この縁は、私の心に打ち消される
「所詮他人」
心が遠い
目も合わせられない
見るのは背中ばかり
そんな中時々
見ず知らずの人から声をかけられる
「どこから来たの?」
「いい天気だね」
私はドキッとして
こわばった顔で小さく言葉を返す
届いたかなぁ
もったいないことをしたな
私も「あっち」の人間になりたいのに
本音を言えば
誰彼構わず手を差し出して
握手を求めたい
言葉を交わしたい
でもどうしようもなく人が怖い
おかしいな
思いの交差点
幾度となく、繰り返した
また誰かと一緒に
信号が変わるのを待つ
「みんなどこに行くの?」
けど空を見上げて
そこに雨雲や太陽や星がいてくれて
時々
安心感や心地良さが沸き上がってくる
そうだ……
これから先、「私」や「誰か」が
真っすぐ進もうと
右へ行こうと
左へ行こうと
私たちは心の中で
唯一変わらない
同じ思いを持って
同じ道を歩んでいる
「自分らしく生きたい」と
だから他の何が違ったっていいや
時に肩がぶつかって
しかめっ面したり
されたりしても
おこがましいけど許してよね
心の中で同じ道を歩んでいるなら
きっとまたどこかで
必ず出会う
私たち、何度 肩並べただろう
何度同じ道を通って
違う行き先を選んだだろう
目も合わせず
記憶すらない
淡い関係
けど
どれだけたくさんの人と知り合ったって
言葉を交わしたって
多くの仲間や敵を作ったって
その数、きっとたかが知れている
地球の80%
回しているのは
回っているのは
目も合わせず
記憶すらない
「淡い関係」
「誰かが笑っていますように」
「誰かの願いが叶いますように」
「誰かが幸せでありますように」
一生出会わず
関わることもないかもしれない
どこかの「貴方」へ……
今日も思いが交差する
「袖触り合うも多生の縁」
この信号を渡りきるまでの一分足らずの間
私たちみんなの目的は同じ
「横断歩道を渡って向こう側へ行くこと」
ただそれだけの一致に喜びを覚えるのは
私の心が弱っているからか
その先は、人それぞれ
真っすぐ進む人
右へ行く人
左へ行く人
すぐに散り散りになる
散ったあと、またさっきの場所にできる
信号が変わるのを待つ歩行者の群れ
繰り返される光景
変わらない
けれどそこにいる「人間」は
変わり続ける
目も合わせない関係
けれどもしかしたら隣の人は
いつもネット上で話している
あの人かもね
人生はまるで交差点
一生、直接話すことがないであろう
人々の背中に
勝手に思いを重ねて
ファンになってみたり
勝手に裏切られたような
気分になってみたり
「なんとなく、貴方と私は
横断歩道を渡りきったあとも
一緒に、真っすぐ
この道を歩くんだと思っていたよ」
右へ向かい 遠くなる背中
何の関係もない
ただひととき一緒にいただけ
なのにチクリと刺さるものを感じて
変だね
数多く存在する
「終わってしまう淡い関係」
地球や宇宙から見れば
「クラスメイト」のままで終わった
あの人との関係も
ただひととき
信号が変わるのを一緒に待った
あの人との数十秒も
大差ないのかもね
百年、二年、三十秒
あの「ひととき」が流れている間に
手を繋げなかった
声をかけられなかった
「またね」とすら言えなかった
遠くなる背中
一緒に信号を待っていても
一緒に電車やバスに乗っていても
同じレストランで同じものを食べていても
この縁は、私の心に打ち消される
「所詮他人」
心が遠い
目も合わせられない
見るのは背中ばかり
そんな中時々
見ず知らずの人から声をかけられる
「どこから来たの?」
「いい天気だね」
私はドキッとして
こわばった顔で小さく言葉を返す
届いたかなぁ
もったいないことをしたな
私も「あっち」の人間になりたいのに
本音を言えば
誰彼構わず手を差し出して
握手を求めたい
言葉を交わしたい
でもどうしようもなく人が怖い
おかしいな
思いの交差点
幾度となく、繰り返した
また誰かと一緒に
信号が変わるのを待つ
「みんなどこに行くの?」
けど空を見上げて
そこに雨雲や太陽や星がいてくれて
時々
安心感や心地良さが沸き上がってくる
そうだ……
これから先、「私」や「誰か」が
真っすぐ進もうと
右へ行こうと
左へ行こうと
私たちは心の中で
唯一変わらない
同じ思いを持って
同じ道を歩んでいる
「自分らしく生きたい」と
だから他の何が違ったっていいや
時に肩がぶつかって
しかめっ面したり
されたりしても
おこがましいけど許してよね
心の中で同じ道を歩んでいるなら
きっとまたどこかで
必ず出会う
私たち、何度 肩並べただろう
何度同じ道を通って
違う行き先を選んだだろう
目も合わせず
記憶すらない
淡い関係
けど
どれだけたくさんの人と知り合ったって
言葉を交わしたって
多くの仲間や敵を作ったって
その数、きっとたかが知れている
地球の80%
回しているのは
回っているのは
目も合わせず
記憶すらない
「淡い関係」
「誰かが笑っていますように」
「誰かの願いが叶いますように」
「誰かが幸せでありますように」
一生出会わず
関わることもないかもしれない
どこかの「貴方」へ……
今日も思いが交差する
「袖触り合うも多生の縁」
12
お気に入りに追加
614
あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
.
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる