上 下
31 / 75

第三十話 聖剣エクスカリバー

しおりを挟む
カプセルから出てきた煙はひんやりとしていた。冷凍カプセルからでた空気だから冷たいのだろうか。

煙が晴れると中の様子がはっきりと視認することができた。

「人がいる」
ヒメノ・ケイが口を押さえて、カプセルの中身を凝視する。
アルタイルは震えながら、姉さんに抱きついている。もしかしてこの二人仲がいいのかな。

ここにいる皆がカプセルの中を見つめている。

カプセルの中には女性が眠っていた。
その豊満な胸に長剣を乗せ、それを両手で握り眠っている。
銀色の髪をしたとんでもない美女であった。
ピッチリとした肌に吸い付くようなデザインの服を着ている。パイロットスーツというかプラグスーツというかそんなデザインの服だ。
あまりにも体に張りついているので、体のラインがまるわかりだ。
胸もお尻も大きいのに下腹部だけはぼくの頭ぐらいの細さだ。
理想的すぎてどこか人間離れしている。
リリィは人形のようにかわいいが、このカプセルの女性は人形そのものの美しさだ。
きれいだが、人間味はない。

そのカプセルの女性がゆっくりと目蓋を開ける。
瞳の色は銀色であった。
「はじめまして、私はヴィヴィアンと申します。前のユーザーである宇佐美うさみ義明よしあき少将よりこのウロボロスの管理をまかされていました」
カプセルの女性は機械的な声でそう言った。
寝たままの姿で空中に浮かび、その後、床に立つ。
「あなたを新しいユーザーとするために遺伝子登録をいたします」
銀髪美女はムチムチの体を揺らしながら僕に近づき、突然キスをした。
ゆっくりと冷たい舌で僕の口腔内をなめた。

「遺伝子登録完了しました。これより朝倉王太を新しいユーザーといたします。神聖ヨルムンガンド帝国第八艦隊所属戦艦ウロボロスの指揮権は朝倉王太に委譲されました」
機械的かつ事務的にヴィヴィアンは言った。

言葉の意味から察するにこの艦艇は戦艦ウロボロスというそうだ。そしてその所有権が僕に移ったようだ。

「宇佐美義明少将から伝言を預かっております。アヴァロンの人たちを幸せにしてほしい。以上であります。また次の所有者にこの聖剣エクスカリバーを譲るようにとのことです。どうぞお受けとりください」
ヴィヴィアンは剣の刀身を持ち、僕に柄をむける。
僕はその柄を両手で握る。
ついに僕も聖剣をこの手にするのか。
しかもエクスカリバーなんて聖剣の中の聖剣ではないか。

称号「海軍提督」「戦艦ウロボロスの艦長」「聖剣に認められし者」を獲得しました。
聖剣エクスカリバーの効果により特技スキル転移を獲得しました。
転移地は七ヵ所設定できます。
視界に文字が並んでは消えていく。

「最後にアヴァロンを平和に導くことを約束してくれますか?」
ヴィヴィアンは言った。
銀色の瞳で僕をじっと見つめる。
この質問だけは感情がこめられているような気がする。

「もちろんだよ。僕はこの異世界で女の子と仲良くなりたくてやって来たんだから」
僕ははっきりと答えた。
これは変わらない。
変えてはいけない僕の目的ログラインだ。
異世界アヴァロンの女の子たちとイチャイチャラブラブでエッチなことをするのが僕の生きる目的なんだからね。

にこりとヴィヴィアンはきれいな笑みを浮かべる。
「それでは人格を元のベアトリクス・ユーウェインに戻します。過ぎ去りし王からのメッセージはこれにて終了いたします。未来の王よ、彼女のこともお願いします」
そう言うとヴィヴィアンは目蓋を閉じる。
がくりとヴィヴィアンは倒れる。
僕は彼女を抱き止める。
ムチムチの体はしっかりと肉がつまり、柔らかい。


「ふあーあ」
僕の腕の中で彼女は再び目を覚ました。

「あっ私を起こしてくれたのはあなたね。ありがとう提督アドミラル
チュッと彼女は僕にキスをした。
「私はウーサー君の百人の花嫁の一人でベアトリクスっていうの。よろしくね提督」
むぎゅーと僕を抱きしめて、ベアトリクスは言った。瞳の色がいつの間にか緑色になっていた。

「あ、あなたあの百人の花嫁の一人だったの!!」
驚愕の表情でリリィが言った。
たしか前に百人の花嫁に憧れていると言っていたな。

「うん、そうよ。ウーサー君とこの船で異世界にやって来たんだよ」
先ほどのヴィヴィアンとは違いにこにこと感情豊かにベアトリクスは笑っている。

「一つ聞きたい。神聖ヨルムンガンド帝国とはあの南極大陸にできた新興国のことか?」
ユリコは訊いた。

「うん、そうだよ。私がいたころは建国百年はたっていたよ。世界の半分を支配した機械帝国なんだよ」
さらりと当たり前かのようにベアトリクスは言った。
うーん、情報が多すぎて頭が痛くなってきた。

時系列を整理するとユリコが前世で死ぬ直前に第三次世界大戦がおきた。その時に南極大陸で新しくできたのがウーサーやベアトリクスがいたヨルムンガンド帝国だということか。
そして何らかの出来事があってウーサーたちはこの戦艦ウロボロスごとこの異世界にやってきた。それがアヴァロンの歴史では百四十年以上前ということなのか。
僕はそれをユリコたちに説明した。

アルタイルは目をまわしていて、ヒメノは頭をおさえている。
リリィはちんぷんかんぷんだわと理解するのをあきらめたようだ。
「さすが私の提督だわ。ほとんどその通りよ」
ベアトリクスは推定Jカップのおっぱいに僕の顔を押しあてる。あまりの肉圧に窒息しそうだ。でも気持ちいい。

「と、とりあえずこの船はアーサーのものになったのね。それに王権の象徴でもある聖剣エクスカリバーを手にいれたなんてこれはすごいことね」
ユリコは感激している。

「そうよ、私とこのウロボロスはもう提督のものよ。どこへでもつれていってあげるわね」
ベアトリクスはかわいいウインクをしてさらに僕の顔におっぱいを押しあてた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです

卯ノ花
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

女男の世界

キョウキョウ
ライト文芸
 仕事の帰りに通るいつもの道、いつもと同じ時間に歩いてると背後から何かの気配。気づいた時には脇腹を刺されて生涯を閉じてしまった佐藤優。  再び目を開いたとき、彼の身体は何故か若返っていた。学生時代に戻っていた。しかも、記憶にある世界とは違う、極端に男性が少なく女性が多い歪な世界。  男女比が異なる世界で違った常識、全く別の知識に四苦八苦する優。  彼は、この価値観の違うこの世界でどう生きていくだろうか。 ※過去に小説家になろう等で公開していたものと同じ内容です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...