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第十八話 ガラハット辺境伯の憂鬱

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アルタイルが近づいてくるのは、視界のマップの反応であらかじめわかっていた。
僕にとってアルタイルは頼れる仲間だ。その戦闘力といい、忠誠心といい申し分ない。
アルタイルの好感度は99だ。そして調教済みになっている。

「アーサー様!!」
鉄槍を両手にもち、シーアは御者台を飛び降りる。
僕とアルタイルのあいだに割ってはいる。
そうか、失念していた。
シーアにとってアルタイルは村の平和を脅かした憎い敵だ。
アルタイルの盗賊たちはすでに恭順の意をあらわしていて、僕の味方になっている。
きっとシーアは頭ではわかっていても体が反応してしまっているのだろう。

「アーサー様、お下がりください!!」
鉄槍の先をアルタイルに向け、シーアは僕に言う。
仕方なくアルタイルは騎馬で数歩下がる。

「シーア、彼女は味方だ。前にも話したがアルタイルとその部下はもう僕の味方だ」
僕はシーアの目を見て言う。
「ですが、アーサー様。こいつらは私たちの村々から貴重な財貨を奪ったものたちです」
殺気をはらんだ瞳でシーアはなおもアルタイルをにらんでいる。
「シーア、分かってくれ。彼女も大事な僕の仲間だ。仲良くしてくれとまでは言わない。同行だけでも認めてくれないか」
僕はシーアを説得する。
これは考えてもいなかったことだ。
異世界でかわいい女の子やセクシーなお姉さんとエッチなことをしたいと行動してきたが、彼女たちの横のつながりまでは考えていなかった。

「シーア、お願いだ。アルタイルと行動を共にすることを許して欲しい」
僕は特技スキル交渉術を使う。魅了がデフォルトであるのでその効果は異性相手にはかなり高いはず。そしてこの異世界アヴァロンには異性しかいない。

「分かりました……」
しぶしぶシーアは下がり、武器をおさめる。黙って御者台に戻る。好感度が78に下がっているな。
「お兄ちゃん、女同士は難しいんだよ。ハーレムキングの課題だね」
何故かクロネはニヤニヤしている。
「ああっそうだな」
僕は答えた。
クロネの言うとおりだ。これから僕と行動を共にする人間が増えたら、必ずおこる問題だ。

「行動を共にすることを認めてくださり、ありがとうございます」
にこやかにアルタイルは答えた。
エキゾチック美女の笑顔もいいものだ。
アルタイルの好感度は99で変化はない。
サーシャとザンザはこの様子を恐る恐る見ていた。
「もてる男はつらいね、お兄ちゃん」
クロネがそう茶化す。

アルタイルを仲間に加えた僕たちは進路を西に向ける。
丸一日街道を西に向かい、次に北に二日進むと目的地であるコンウィ城に到着できるとサーシャが説明してくれた。

夜になり、僕たちは街道の片隅にある小屋で休むことにした。
この街道に設置され小屋はかつてウーサー王の時代につくられた制度の名残だと言う。
聖賢王ウーサーは王国の街道を整備し、旅人や行商人のために自由に使える小屋をいくつも設置したのだとシーアは語った。

小屋で簡単な夕食をとり、今日は休もうと思っていたらアルタイルがうれしい報告をしてくれた。
「少し行ったところに温泉が湧いています」
とアルタイルは言った。
ということはお風呂に入れるぞ。
クロネを誘ったが、断られた。
クロネのお風呂嫌いはどうにかしないと。
当然のようにシーアは断る。
サーシャとザンザは同行を申し出たので、許可した。
僕たちは、さっそくアルタイルの道案内で森の奥に進む。
湯気がのぼる温泉池が見える。

僕たちはその温泉池に入る。
はーやはりお風呂は気持ちいい。クロネにもこの気持ちよさを分かって欲しいのにね。
お風呂のお湯を楽しんでいるとアルタイルが僕にまたがる。
左からサーシャが抱きつき、右からザンザが抱きつく。
そうそう、こういうのだよ、僕がやりたいのは。
「ねえ、我が君。このシャーウッドの森から南に行くとケイ伯爵がおさめる地なのですよ。さらに南に行くと王国の直轄領に入り、そして王都キャメロットに行けるのよ」
そう簡単な地理の説明をしてくれた。
そのあと、僕はアルタイルと大人のキスをする。
サーシャとザンザを特技スキルゴールドフィンガーで天国に誘う。
お湯の温もりと相まって、彼女らは顔を赤くしてぼうっとしている。
どうやら調教済みだと絶頂への達し方が速いようだ。
さらにお湯の中で僕はアルタイルと愛し合う。
「アーサー様♡♡この身はすべてアーサー様の物です♡♡こらからもご一緒させてください♡♡アーサー様の愛で子宮からだが満たされる♡♡」
一つになりながら、アルタイルはあらためて忠誠を誓ってくれた。
僕は全力でアルタイルの中に愛情を注ぎ込んだ。一つになった気持ち良さが全身を駆け巡る。
はー憧れていたお風呂エッチを堪能できたな。
この森の温泉が、気にいったよ。いつか僕の領地にしてやろう。

お風呂で気持ち良くなった僕たちは小屋でぐっすりと眠った。


僕たちはさらに北に馬を進め、ついにコンウィ城にたどり着いた。
サーシャとザンザが取り次ぎに城に入る。
しばらくすると二人は戻ってきた。
「ガラハット辺境伯がお会いになられるとのことです」
サーシャが言った。
「お一人で来てくださいとのことです」
とこれはザンザだ。
アルタイルとシーアが心配そうに僕を見ている。
「大丈夫だよ、何かあれば僕が駆けつけるから」
クロネが頼もしいことを言ってくれた。

僕はサーシャとザンザに案内され、コンウィ城の大広間に通された。
「私どもはここまでです」
ドアを開き、サーシャが言う。
「どうぞ、お入りください」
ザンザが頭を下げる。


僕がその大広間に入ると豪華な椅子に一人の金髪美少女が足を組んで座っている。
金髪の巻き毛に青い瞳をもっている。キラキラしていて、美しい瞳だ。
まるでフランス人形みたいだなとこれは僕の第一印象だ。
「おまえが募兵を断ったアーサーか」
分かりやすい上から目線でその美少女は言う。
「はい、そうです」
僕はきっぱりと言った。

「おまえ、男なのだな」
ガラハット辺境伯は立ち上がる。
背はそれほど高かないな。百五十センチメートルほどか。ちっちゃくてかわいいな。

ガラハット辺境伯は椅子から立ち上がり、なんと僕の方にダッシュして抱きついた。
「男の人が来てくれて助かったわ。もうリリィ、人の上になんか立ちたくないのよ」
宝石のような青い瞳で、リリィ・ガラハット辺境伯は僕を見つめて、そう言った。
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