上 下
18 / 75

第十八話 ガラハット辺境伯の憂鬱

しおりを挟む
アルタイルが近づいてくるのは、視界のマップの反応であらかじめわかっていた。
僕にとってアルタイルは頼れる仲間だ。その戦闘力といい、忠誠心といい申し分ない。
アルタイルの好感度は99だ。そして調教済みになっている。

「アーサー様!!」
鉄槍を両手にもち、シーアは御者台を飛び降りる。
僕とアルタイルのあいだに割ってはいる。
そうか、失念していた。
シーアにとってアルタイルは村の平和を脅かした憎い敵だ。
アルタイルの盗賊たちはすでに恭順の意をあらわしていて、僕の味方になっている。
きっとシーアは頭ではわかっていても体が反応してしまっているのだろう。

「アーサー様、お下がりください!!」
鉄槍の先をアルタイルに向け、シーアは僕に言う。
仕方なくアルタイルは騎馬で数歩下がる。

「シーア、彼女は味方だ。前にも話したがアルタイルとその部下はもう僕の味方だ」
僕はシーアの目を見て言う。
「ですが、アーサー様。こいつらは私たちの村々から貴重な財貨を奪ったものたちです」
殺気をはらんだ瞳でシーアはなおもアルタイルをにらんでいる。
「シーア、分かってくれ。彼女も大事な僕の仲間だ。仲良くしてくれとまでは言わない。同行だけでも認めてくれないか」
僕はシーアを説得する。
これは考えてもいなかったことだ。
異世界でかわいい女の子やセクシーなお姉さんとエッチなことをしたいと行動してきたが、彼女たちの横のつながりまでは考えていなかった。

「シーア、お願いだ。アルタイルと行動を共にすることを許して欲しい」
僕は特技スキル交渉術を使う。魅了がデフォルトであるのでその効果は異性相手にはかなり高いはず。そしてこの異世界アヴァロンには異性しかいない。

「分かりました……」
しぶしぶシーアは下がり、武器をおさめる。黙って御者台に戻る。好感度が78に下がっているな。
「お兄ちゃん、女同士は難しいんだよ。ハーレムキングの課題だね」
何故かクロネはニヤニヤしている。
「ああっそうだな」
僕は答えた。
クロネの言うとおりだ。これから僕と行動を共にする人間が増えたら、必ずおこる問題だ。

「行動を共にすることを認めてくださり、ありがとうございます」
にこやかにアルタイルは答えた。
エキゾチック美女の笑顔もいいものだ。
アルタイルの好感度は99で変化はない。
サーシャとザンザはこの様子を恐る恐る見ていた。
「もてる男はつらいね、お兄ちゃん」
クロネがそう茶化す。

アルタイルを仲間に加えた僕たちは進路を西に向ける。
丸一日街道を西に向かい、次に北に二日進むと目的地であるコンウィ城に到着できるとサーシャが説明してくれた。

夜になり、僕たちは街道の片隅にある小屋で休むことにした。
この街道に設置され小屋はかつてウーサー王の時代につくられた制度の名残だと言う。
聖賢王ウーサーは王国の街道を整備し、旅人や行商人のために自由に使える小屋をいくつも設置したのだとシーアは語った。

小屋で簡単な夕食をとり、今日は休もうと思っていたらアルタイルがうれしい報告をしてくれた。
「少し行ったところに温泉が湧いています」
とアルタイルは言った。
ということはお風呂に入れるぞ。
クロネを誘ったが、断られた。
クロネのお風呂嫌いはどうにかしないと。
当然のようにシーアは断る。
サーシャとザンザは同行を申し出たので、許可した。
僕たちは、さっそくアルタイルの道案内で森の奥に進む。
湯気がのぼる温泉池が見える。

僕たちはその温泉池に入る。
はーやはりお風呂は気持ちいい。クロネにもこの気持ちよさを分かって欲しいのにね。
お風呂のお湯を楽しんでいるとアルタイルが僕にまたがる。
左からサーシャが抱きつき、右からザンザが抱きつく。
そうそう、こういうのだよ、僕がやりたいのは。
「ねえ、我が君。このシャーウッドの森から南に行くとケイ伯爵がおさめる地なのですよ。さらに南に行くと王国の直轄領に入り、そして王都キャメロットに行けるのよ」
そう簡単な地理の説明をしてくれた。
そのあと、僕はアルタイルと大人のキスをする。
サーシャとザンザを特技スキルゴールドフィンガーで天国に誘う。
お湯の温もりと相まって、彼女らは顔を赤くしてぼうっとしている。
どうやら調教済みだと絶頂への達し方が速いようだ。
さらにお湯の中で僕はアルタイルと愛し合う。
「アーサー様♡♡この身はすべてアーサー様の物です♡♡こらからもご一緒させてください♡♡アーサー様の愛で子宮からだが満たされる♡♡」
一つになりながら、アルタイルはあらためて忠誠を誓ってくれた。
僕は全力でアルタイルの中に愛情を注ぎ込んだ。一つになった気持ち良さが全身を駆け巡る。
はー憧れていたお風呂エッチを堪能できたな。
この森の温泉が、気にいったよ。いつか僕の領地にしてやろう。

お風呂で気持ち良くなった僕たちは小屋でぐっすりと眠った。


僕たちはさらに北に馬を進め、ついにコンウィ城にたどり着いた。
サーシャとザンザが取り次ぎに城に入る。
しばらくすると二人は戻ってきた。
「ガラハット辺境伯がお会いになられるとのことです」
サーシャが言った。
「お一人で来てくださいとのことです」
とこれはザンザだ。
アルタイルとシーアが心配そうに僕を見ている。
「大丈夫だよ、何かあれば僕が駆けつけるから」
クロネが頼もしいことを言ってくれた。

僕はサーシャとザンザに案内され、コンウィ城の大広間に通された。
「私どもはここまでです」
ドアを開き、サーシャが言う。
「どうぞ、お入りください」
ザンザが頭を下げる。


僕がその大広間に入ると豪華な椅子に一人の金髪美少女が足を組んで座っている。
金髪の巻き毛に青い瞳をもっている。キラキラしていて、美しい瞳だ。
まるでフランス人形みたいだなとこれは僕の第一印象だ。
「おまえが募兵を断ったアーサーか」
分かりやすい上から目線でその美少女は言う。
「はい、そうです」
僕はきっぱりと言った。

「おまえ、男なのだな」
ガラハット辺境伯は立ち上がる。
背はそれほど高かないな。百五十センチメートルほどか。ちっちゃくてかわいいな。

ガラハット辺境伯は椅子から立ち上がり、なんと僕の方にダッシュして抱きついた。
「男の人が来てくれて助かったわ。もうリリィ、人の上になんか立ちたくないのよ」
宝石のような青い瞳で、リリィ・ガラハット辺境伯は僕を見つめて、そう言った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

女男の世界

キョウキョウ
ライト文芸
 仕事の帰りに通るいつもの道、いつもと同じ時間に歩いてると背後から何かの気配。気づいた時には脇腹を刺されて生涯を閉じてしまった佐藤優。  再び目を開いたとき、彼の身体は何故か若返っていた。学生時代に戻っていた。しかも、記憶にある世界とは違う、極端に男性が少なく女性が多い歪な世界。  男女比が異なる世界で違った常識、全く別の知識に四苦八苦する優。  彼は、この価値観の違うこの世界でどう生きていくだろうか。 ※過去に小説家になろう等で公開していたものと同じ内容です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです

卯ノ花
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...