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第六話 心変わり
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快感と不快感が入り混じる奇妙な感覚が下半身を支配している。目覚めた僕はもしやと思い布団をめくる。
あーやっぱりか。
僕はむちゃくちゃ夢精していた。まるでおねしょしたみたいだ。スウェットのズボンの色が変わるぐらいに射精してしまったようだ。鼻を突く独特の匂いがする。
あんなおかしな夢をみたからだ。
そうに違いない
サキュバスを名乗るゴスロリ美少女があらわれて、一ノ瀬美華係長の少女時代にいき、仲良くなり、そのあとコンクリート打ちっぱなしの部屋で抱き合う。
社畜童貞が見る夢だけあって荒唐無稽この上ない。
でもあのサキュバスの梨々花っていう女の子可愛かったな。しかもフェラチオまでしてくれたしね。現実だったらどんなに良かっただろうか。
あの美少女サキュバスなら取り憑かれても本望だ。淫夢王とやらになってもいいだろう。
あの梨々花っていう美少女がそう望むならね。
ベッドサイドのデジタル時計を見る。
午前六時だった。
七時に部屋を出たら会社には間に合う。
僕はバスルームに向かう。洗濯かごにスウェットの上下と下着を投げ込む。
熱いシャワーを浴び、さっぱりした気分になる。
スーツに着替え、牛乳と買い置きしていたメロンパンという朝食をとる。
体のためには朝食もちゃんとしたものをとるべきなんだろうけど、面倒なのでこんなものですませてしまう。
七時ちょうどにマンションを出て、駅まで向かう。
八時前には会社に到着する。
朝礼のあと、仕事にとりかかる。今日僕がしなくてはいけない作業は明後日に行われる会議の資料作成だ。四苦八苦しながら僕はどうにか資料作成を終える。気がつけば十二時前になっていた。
時間がかかりすぎると一ノ瀬係長にまた叱責されそうだが、確認してもらわないわけにはいかない。
僕は恐る恐る一ノ瀬係長のデスクの前に立つ。
声をかけようとする前に一ノ瀬係長が気づいたようで、その大きなアーモンド型の瞳で僕を見た。
この人客観的に見ると美人だよな。
「ご苦労さま。確認するからちょっと待っていてね」
一ノ瀬係長はそう言い、僕が作成した資料を受け取る。
じっくりとその資料を彼女は確認する。
その時間は三分ほどだったと思うが、僕には無限に感じられた。どうせこのあといつものように罵倒され、叱責されるのだろう。
僕は身構える。
「夢野君、ここのグラフなんだけどこれ一昨年のものね。あとまた数字が半角と全角が混じっているわ。そうねこことここかしら……」
一ノ瀬係長は赤ペンで印をつける。まるでその姿は女教師のようだ。今日も今日とてそのJカップの巨乳がデスクの上に鎮座している。デスクの上でおっぱいを休ませているのだろうか。
「印をつけたところを訂正してちょうだい」
一ノ瀬係長は僕に資料を返す。
あれ、いつものように怒られると思っていたのに怒られないぞ。なんか肩すかしをくらった気分だ。
僕が不思議そうに棒立ちしていると一ノ瀬係長は僕の顔をじっと睨めつける。
やっぱり叱責を受けるのだろうか。
「夢野君、お昼一緒に食べない?」
それはあまりにも意外すぎる提案だった。
僕が面食らっていると一ノ瀬係長は話を続ける。
「ちょ、ちょっとつくりすぎたのよね。夢野君っていつも社食かコンビニのお弁当でしょう。よ、良かったらどうかなって思ってもう一つ作ってきたのよね」
何故か一ノ瀬係長は頰を赤らめて、そう僕に提案してきた。そう言えば前に女子社員たちが一ノ瀬係長は料理上手だと言っていた。
美人でスタイルもいいのに彼氏がいないのが不思議よねとも言っていた。
彼氏がいないのは性格に難があるためだろうと僕は思うけどね。
「は、はい……」
僕は思わず了承してしまう。
きっとあんな夢を見たからだろう。
一ノ瀬係長に妙な親近感をもってしまっている。
あれは夢なのに。
昨日まで僕をめちゃくちゃに叱責していた鬼上司だというのに。
しかし一ノ瀬係長もどういう心境の変化だろうか。
百八十度変わってしまっている。
そう言えばさっきの訂正の説明も優しい口調だったな。本当の女教師みたいだ。
僕たちは社員食堂に行き、四人がけのテーブルにつく。
一ノ瀬係長はトートバッグからお弁当を二つ取り出す。一つを僕の前にもう一つを自分の前に置く。
「どうぞ……」
一ノ瀬美華は言った。
どうしてかわからないが、一ノ瀬係長は僕の挙動をじっと見つめている。まさか何かマナー違反でもしたら怒るつもりなのだろうか。
僕は恐る恐るお弁当の蓋を開ける。
ご飯にはのりたまのふりかけがかけられ、おかずは筑前煮とほうれん草のおひたし、厚焼き玉子であった。
「地味なお弁当でごめんなさいね」
一ノ瀬係長はすまなさそうに言う。あの鬼上司がゴメンねなんてきっと明日は嵐に違いない。
「そ、それじゃあいただきます」
僕はドキドキしながらお弁当を食べる。
そう言えば女性と一緒にご飯を食べるなんてはじめてだ。
厚焼き玉子を一口食べる。
優しい甘さが口に広がる。
僕の好みの甘い玉子焼きだ。
「ど、どうかしら?」
どうして一ノ瀬係長は緊張した様子なのだろうか。
もしかして夢の中でサキュバス梨々花が言っていた一ノ瀬美華は僕のことが好きだというのが、本当ということなのか。
「美味しいです」
僕は正直な感想を告げる。
お世辞抜きで一ノ瀬美華のお弁当は美味しかった。
厚焼き玉子は優しい味わいで筑前煮はよく味がしみていてご飯に合う。ほうれん草のおひたしがいい口直しになる。できたらおかわりしたいと思うほど美味しかった。
僕は夢中になってお弁当を食べる。
なんと一ノ瀬係長はよく冷えた麦茶も用意してくれていた。
冷えた麦茶が疲れた体に心地よい。
「ごちそうさまです、係長」
僕はお弁当の前で両手をあわせる。
「きれいに食べてくれて私もうれしいわ。もし夢野君がよければ明日も作ってあげようか?」
「じゃ、じゃあお願いします」
僕は調子にのって言ってしまったが、一ノ瀬係長はにこにこと微笑んだ。この人笑顔はあの夢の中であった少女と同じ顔になるな。
お昼を食べた僕は用をたすために男子トイレの個室に入る。
個室に入った僕は思わず悲鳴を上げそうになる。
便座の上にゴスロリ衣装の黒髪青眼の美少女が腕を組んで立っていた。
「こんにちは修作」
サキュバス梨々花はかわいいウインクをした。
あーやっぱりか。
僕はむちゃくちゃ夢精していた。まるでおねしょしたみたいだ。スウェットのズボンの色が変わるぐらいに射精してしまったようだ。鼻を突く独特の匂いがする。
あんなおかしな夢をみたからだ。
そうに違いない
サキュバスを名乗るゴスロリ美少女があらわれて、一ノ瀬美華係長の少女時代にいき、仲良くなり、そのあとコンクリート打ちっぱなしの部屋で抱き合う。
社畜童貞が見る夢だけあって荒唐無稽この上ない。
でもあのサキュバスの梨々花っていう女の子可愛かったな。しかもフェラチオまでしてくれたしね。現実だったらどんなに良かっただろうか。
あの美少女サキュバスなら取り憑かれても本望だ。淫夢王とやらになってもいいだろう。
あの梨々花っていう美少女がそう望むならね。
ベッドサイドのデジタル時計を見る。
午前六時だった。
七時に部屋を出たら会社には間に合う。
僕はバスルームに向かう。洗濯かごにスウェットの上下と下着を投げ込む。
熱いシャワーを浴び、さっぱりした気分になる。
スーツに着替え、牛乳と買い置きしていたメロンパンという朝食をとる。
体のためには朝食もちゃんとしたものをとるべきなんだろうけど、面倒なのでこんなものですませてしまう。
七時ちょうどにマンションを出て、駅まで向かう。
八時前には会社に到着する。
朝礼のあと、仕事にとりかかる。今日僕がしなくてはいけない作業は明後日に行われる会議の資料作成だ。四苦八苦しながら僕はどうにか資料作成を終える。気がつけば十二時前になっていた。
時間がかかりすぎると一ノ瀬係長にまた叱責されそうだが、確認してもらわないわけにはいかない。
僕は恐る恐る一ノ瀬係長のデスクの前に立つ。
声をかけようとする前に一ノ瀬係長が気づいたようで、その大きなアーモンド型の瞳で僕を見た。
この人客観的に見ると美人だよな。
「ご苦労さま。確認するからちょっと待っていてね」
一ノ瀬係長はそう言い、僕が作成した資料を受け取る。
じっくりとその資料を彼女は確認する。
その時間は三分ほどだったと思うが、僕には無限に感じられた。どうせこのあといつものように罵倒され、叱責されるのだろう。
僕は身構える。
「夢野君、ここのグラフなんだけどこれ一昨年のものね。あとまた数字が半角と全角が混じっているわ。そうねこことここかしら……」
一ノ瀬係長は赤ペンで印をつける。まるでその姿は女教師のようだ。今日も今日とてそのJカップの巨乳がデスクの上に鎮座している。デスクの上でおっぱいを休ませているのだろうか。
「印をつけたところを訂正してちょうだい」
一ノ瀬係長は僕に資料を返す。
あれ、いつものように怒られると思っていたのに怒られないぞ。なんか肩すかしをくらった気分だ。
僕が不思議そうに棒立ちしていると一ノ瀬係長は僕の顔をじっと睨めつける。
やっぱり叱責を受けるのだろうか。
「夢野君、お昼一緒に食べない?」
それはあまりにも意外すぎる提案だった。
僕が面食らっていると一ノ瀬係長は話を続ける。
「ちょ、ちょっとつくりすぎたのよね。夢野君っていつも社食かコンビニのお弁当でしょう。よ、良かったらどうかなって思ってもう一つ作ってきたのよね」
何故か一ノ瀬係長は頰を赤らめて、そう僕に提案してきた。そう言えば前に女子社員たちが一ノ瀬係長は料理上手だと言っていた。
美人でスタイルもいいのに彼氏がいないのが不思議よねとも言っていた。
彼氏がいないのは性格に難があるためだろうと僕は思うけどね。
「は、はい……」
僕は思わず了承してしまう。
きっとあんな夢を見たからだろう。
一ノ瀬係長に妙な親近感をもってしまっている。
あれは夢なのに。
昨日まで僕をめちゃくちゃに叱責していた鬼上司だというのに。
しかし一ノ瀬係長もどういう心境の変化だろうか。
百八十度変わってしまっている。
そう言えばさっきの訂正の説明も優しい口調だったな。本当の女教師みたいだ。
僕たちは社員食堂に行き、四人がけのテーブルにつく。
一ノ瀬係長はトートバッグからお弁当を二つ取り出す。一つを僕の前にもう一つを自分の前に置く。
「どうぞ……」
一ノ瀬美華は言った。
どうしてかわからないが、一ノ瀬係長は僕の挙動をじっと見つめている。まさか何かマナー違反でもしたら怒るつもりなのだろうか。
僕は恐る恐るお弁当の蓋を開ける。
ご飯にはのりたまのふりかけがかけられ、おかずは筑前煮とほうれん草のおひたし、厚焼き玉子であった。
「地味なお弁当でごめんなさいね」
一ノ瀬係長はすまなさそうに言う。あの鬼上司がゴメンねなんてきっと明日は嵐に違いない。
「そ、それじゃあいただきます」
僕はドキドキしながらお弁当を食べる。
そう言えば女性と一緒にご飯を食べるなんてはじめてだ。
厚焼き玉子を一口食べる。
優しい甘さが口に広がる。
僕の好みの甘い玉子焼きだ。
「ど、どうかしら?」
どうして一ノ瀬係長は緊張した様子なのだろうか。
もしかして夢の中でサキュバス梨々花が言っていた一ノ瀬美華は僕のことが好きだというのが、本当ということなのか。
「美味しいです」
僕は正直な感想を告げる。
お世辞抜きで一ノ瀬美華のお弁当は美味しかった。
厚焼き玉子は優しい味わいで筑前煮はよく味がしみていてご飯に合う。ほうれん草のおひたしがいい口直しになる。できたらおかわりしたいと思うほど美味しかった。
僕は夢中になってお弁当を食べる。
なんと一ノ瀬係長はよく冷えた麦茶も用意してくれていた。
冷えた麦茶が疲れた体に心地よい。
「ごちそうさまです、係長」
僕はお弁当の前で両手をあわせる。
「きれいに食べてくれて私もうれしいわ。もし夢野君がよければ明日も作ってあげようか?」
「じゃ、じゃあお願いします」
僕は調子にのって言ってしまったが、一ノ瀬係長はにこにこと微笑んだ。この人笑顔はあの夢の中であった少女と同じ顔になるな。
お昼を食べた僕は用をたすために男子トイレの個室に入る。
個室に入った僕は思わず悲鳴を上げそうになる。
便座の上にゴスロリ衣装の黒髪青眼の美少女が腕を組んで立っていた。
「こんにちは修作」
サキュバス梨々花はかわいいウインクをした。
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