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第二話 大天使ミカエルの目的
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僕に馬乗りになっていた金髪美女はすくりと立ち上がる。
すっと僕に手をさしのべる。
僕は彼女の手を握り、たちあがる。
その手はすべすべしていて、なんて気持ちよさのだ。
僕は体温が高くなるのを覚えた。
それにしても残念だ。あのまま馬乗りになっていてほしかったな。どうやら、とある性癖に目覚めてしまった瞬間かもしれない。でも、下半身の高鳴りがばれずにすんだのはそれはそれでよかったのかもしれない。
と思っていたら後頭部にずきずきとした痛みが走る。
手でさわるとかなり腫れている。
たんこぶというやつだ。
「まあ、痛そうですね」
金髪美女はそう言うとそのたんこぶにそっと手をそえる。
その白い手のひらがぱああっと光る。
えっ手が光っているよ。
手品とかそういうのじゃない。
手が輝いて、眩しいほどだ。
「どうですか、痛みはとれましたか?」
彼女はにこりと微笑む。
あっ本当だ、痛みがぴたりと収まった。手でさわると腫れがひいている。
すごい、もしかしてこの人本当に天使なのかもしれいない。
「だから先程も申したではないですか。私は大天使ミカエルだと。全知全能の神の命でこの下界につかわされたのです」
自称天使ミカエルはまさに天使のような笑顔で言う。
「さあ、あなたが話を聞いてくださるのなら先程のことは不問にいたしましょう」
ミカエルは笑顔を崩さない。
先程のことというのはキスとおっぱいもみもみのことだろう。あの極上の柔らかさを思い出すとまた下半身に血が集まってくる。おちつけ僕は自分にいい聞かせる。僕はボクサーパンツ一枚だ。勃起なんてしようものなら、もろばれである。
もし仮に彼女が本物の天使だとしたら、どんな天罰がくだるかわからない。
「あ、あの、あれは不可抗力というか事故というか。ごめんなさい、わざとじゃないのです」
天罰がくだるのは嫌なので僕は謝った。それにこの人には嫌われたくないという感情が芽生え始めていた。
「うふふっかまいませんよ。悔い改めればそれでいいのです」
天使の微笑みを僕にむける。
「さあ、立ち話もなんですし、上げてくださるかしら」
「わ、わかりました」
僕は自称天使をリビングに案内した。
僕の住むマンションは築三十年の二LDKである。このマンションは今は亡き両親が残してくれたものだ。一人暮らしには十分の広さだ。そりゃあ当然だ。もとはファミリー向けなのだから。
ちょっと失礼して僕はデニムのパンツを履いた。それと半袖のシャツを着る。
さすがに若い女性を前にしていつまでも下着姿というわけにはいかない。
僕はリビングの椅子に腰掛けている彼女の前にアイスティーを置く。もちろんペットボトルのものをコップにいれただけのものだ。
「どうも、おかいまなく」
ぺこりと金髪美女のミカエルは頭をさげる。
「ど、どうも」
僕は言い、テーブルをはさみ、向かいに座る。
ミカエルはアイスティーを一口飲み、美味しいですねと言った。
はあ、所作も美しいな。彼女の動きに僕は見とれていた。
そして彼女は語りだした。
人はいつまで人同士で争っているのか。神は怒りをあらわにされたという。風を汚し、大地を汚し、海を汚して、他の動物たちを幾種も絶滅に追い込み、なおかつ自分たちのことを万物の霊長だと言っている。
神はおごりたかぶった人類を一度消滅させるべきではないかと言われた。
だが、いきなり滅ぼすよりも人類に猶予の期間を与えてやろうと神はおっしゃられた。愚かな人類にいい訳の機会を与えてやろうと言われたという。
そしてもっとも信頼する大天使ミカエルを下界に遣わした。人間が本当に滅ぼすべきかを判断するように命じられたのだ。
人類の中で一人の人間をランダムに選び、その人物を側で観測し、人類が生き延びることを許してもいいか見極めよというのが大天使ミカエルの使命だという。
「そうです。そして選ばれたのがあなた飯矢霧人なのです」
そう言い、天使級の微笑みを僕にむける。
荒唐無稽の話に僕は正直パニックになった。
だってそうだろう。こんなオタクで社畜童貞の僕が全人類の運命を担うなんて。そんなのはっきり言って荷が重すぎるよ。
「あ、あの。もし僕がことわればどうなるのですか?」
僕は恐る恐るきいた。
「すぐにでも終末のラッパが吹き鳴らされ、黙示録の四騎士が出現し、人類を一掃するでしょう」
恐ろしいことをミカエルは平然な顔で言う。
これは僕に選択の余地はなさそうだ。
「それで僕はどうすればいいのですか?」
生唾を僕は飲み込む。
一体全体どうすれば人類滅亡を阻止できるのだろうか。
「猶予は今日から一年です。私が君と生活をともにして、人類が価値ある存在であるということを証明するのです。そうすれば、神はふたたびノアの一族を生かしたようにあなたがたを生かすでしょう」
人類滅亡の条件をさわやかな笑みと共にミカエルは語る。
あれっでもちょっと待てよ。それってもしかして。
「それってもしかして僕と同棲するということ?」
僕はきいてみた。
「あっそうですね。そうとってもらってもけっこうですよ。今日からよろしくね、霧人君、うふふっ」
ミカエルはあっさりと同棲を宣言した。
すっと僕に手をさしのべる。
僕は彼女の手を握り、たちあがる。
その手はすべすべしていて、なんて気持ちよさのだ。
僕は体温が高くなるのを覚えた。
それにしても残念だ。あのまま馬乗りになっていてほしかったな。どうやら、とある性癖に目覚めてしまった瞬間かもしれない。でも、下半身の高鳴りがばれずにすんだのはそれはそれでよかったのかもしれない。
と思っていたら後頭部にずきずきとした痛みが走る。
手でさわるとかなり腫れている。
たんこぶというやつだ。
「まあ、痛そうですね」
金髪美女はそう言うとそのたんこぶにそっと手をそえる。
その白い手のひらがぱああっと光る。
えっ手が光っているよ。
手品とかそういうのじゃない。
手が輝いて、眩しいほどだ。
「どうですか、痛みはとれましたか?」
彼女はにこりと微笑む。
あっ本当だ、痛みがぴたりと収まった。手でさわると腫れがひいている。
すごい、もしかしてこの人本当に天使なのかもしれいない。
「だから先程も申したではないですか。私は大天使ミカエルだと。全知全能の神の命でこの下界につかわされたのです」
自称天使ミカエルはまさに天使のような笑顔で言う。
「さあ、あなたが話を聞いてくださるのなら先程のことは不問にいたしましょう」
ミカエルは笑顔を崩さない。
先程のことというのはキスとおっぱいもみもみのことだろう。あの極上の柔らかさを思い出すとまた下半身に血が集まってくる。おちつけ僕は自分にいい聞かせる。僕はボクサーパンツ一枚だ。勃起なんてしようものなら、もろばれである。
もし仮に彼女が本物の天使だとしたら、どんな天罰がくだるかわからない。
「あ、あの、あれは不可抗力というか事故というか。ごめんなさい、わざとじゃないのです」
天罰がくだるのは嫌なので僕は謝った。それにこの人には嫌われたくないという感情が芽生え始めていた。
「うふふっかまいませんよ。悔い改めればそれでいいのです」
天使の微笑みを僕にむける。
「さあ、立ち話もなんですし、上げてくださるかしら」
「わ、わかりました」
僕は自称天使をリビングに案内した。
僕の住むマンションは築三十年の二LDKである。このマンションは今は亡き両親が残してくれたものだ。一人暮らしには十分の広さだ。そりゃあ当然だ。もとはファミリー向けなのだから。
ちょっと失礼して僕はデニムのパンツを履いた。それと半袖のシャツを着る。
さすがに若い女性を前にしていつまでも下着姿というわけにはいかない。
僕はリビングの椅子に腰掛けている彼女の前にアイスティーを置く。もちろんペットボトルのものをコップにいれただけのものだ。
「どうも、おかいまなく」
ぺこりと金髪美女のミカエルは頭をさげる。
「ど、どうも」
僕は言い、テーブルをはさみ、向かいに座る。
ミカエルはアイスティーを一口飲み、美味しいですねと言った。
はあ、所作も美しいな。彼女の動きに僕は見とれていた。
そして彼女は語りだした。
人はいつまで人同士で争っているのか。神は怒りをあらわにされたという。風を汚し、大地を汚し、海を汚して、他の動物たちを幾種も絶滅に追い込み、なおかつ自分たちのことを万物の霊長だと言っている。
神はおごりたかぶった人類を一度消滅させるべきではないかと言われた。
だが、いきなり滅ぼすよりも人類に猶予の期間を与えてやろうと神はおっしゃられた。愚かな人類にいい訳の機会を与えてやろうと言われたという。
そしてもっとも信頼する大天使ミカエルを下界に遣わした。人間が本当に滅ぼすべきかを判断するように命じられたのだ。
人類の中で一人の人間をランダムに選び、その人物を側で観測し、人類が生き延びることを許してもいいか見極めよというのが大天使ミカエルの使命だという。
「そうです。そして選ばれたのがあなた飯矢霧人なのです」
そう言い、天使級の微笑みを僕にむける。
荒唐無稽の話に僕は正直パニックになった。
だってそうだろう。こんなオタクで社畜童貞の僕が全人類の運命を担うなんて。そんなのはっきり言って荷が重すぎるよ。
「あ、あの。もし僕がことわればどうなるのですか?」
僕は恐る恐るきいた。
「すぐにでも終末のラッパが吹き鳴らされ、黙示録の四騎士が出現し、人類を一掃するでしょう」
恐ろしいことをミカエルは平然な顔で言う。
これは僕に選択の余地はなさそうだ。
「それで僕はどうすればいいのですか?」
生唾を僕は飲み込む。
一体全体どうすれば人類滅亡を阻止できるのだろうか。
「猶予は今日から一年です。私が君と生活をともにして、人類が価値ある存在であるということを証明するのです。そうすれば、神はふたたびノアの一族を生かしたようにあなたがたを生かすでしょう」
人類滅亡の条件をさわやかな笑みと共にミカエルは語る。
あれっでもちょっと待てよ。それってもしかして。
「それってもしかして僕と同棲するということ?」
僕はきいてみた。
「あっそうですね。そうとってもらってもけっこうですよ。今日からよろしくね、霧人君、うふふっ」
ミカエルはあっさりと同棲を宣言した。
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