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シャクラマ学園・冒険者編
肩こった
しおりを挟む「凄い!こんなに速く走れるなんて!」
【身体強化】をかけるだけでこんなに速くなれるなんて!
「ガァァァッ!」
低い鳴き声。
とても威圧感のある鳴き声が響いた。
辺りを見回すと、その声の持ち主はすぐそこにいた。
狼のような姿。
しかし、狼の二、三倍はあるような巨体。
その瞳は飢えに満ちていて、鋭い牙の生えた大きな口はまるで私を喰らおうとしているようだった。
私は急いで後ろに飛び退く。
――ズドォォォン!
私がついさっきまでいた場所は、大きなクレーターができていた。
やばい。やばいやばいやばいやばい!!!
威力が異常だ。
こいつがきっと精霊の天敵、サーチスなんだろう。
「グ、ガァァァ!」
また、サーチスが大きな口を開けて私に飛びかかった。
私は横に跳ぶ。
またクレーターが出来上がる。
「威力は強いけど、攻撃は単純。」
私はそう呟いてサーチスの攻撃を避け続ける。
だが、サーチスが攻撃するたびにクレーターができ、足場が崩れる。
「【氷龍】!」
私は手のひらをサーチスの方につきだす。
私が唱えると、手のひらに魔方陣が現れて、そこから氷で造られた龍が勢いよくサーチスに向かって飛んでいく。
――ザシュッ
氷龍がサーチスの体を半分に切り裂いた。
恐らく、尾や爪などで切り裂いたのだろう。
血が私の頬に飛び散る・・・・と思っていたのだが、氷龍の攻撃で同時に切り口が氷で固まったらしく、ゴトン、と音を立てて崩れ落ちた。
「ふぅ....。」
疲れた。
こんなに体を動かしたのはいつぶりだろうか。
身体中が軋むように痛い。
「さて、これどうしようかな。」
私はそう呟いてサーチスの死体に近寄った。
血の匂いは全くしない。
氷で固めたせいだろうか?
「あ!リア!い、た・・・・。」
お兄ちゃんが木の後ろから出てきた。
そして、サーチスの死体に視線を移すと顔を強ばらせて固まった。
「あ、これ?サーチスだよ。出くわしたから倒したんだ。」
私は笑顔でお兄ちゃんに言った。
結構簡単だったよ、とは言えなかった。
「【収納】」
私がサーチスの死体に手のひらを向けると、ブラックホールのような小さい穴が空間に現れた。
その穴にサーチスの死体は静かに吸い込まれていった。
「待たせてるだろうし、戻ろうよ。」
お兄ちゃんは唖然としながらもゆっくりと元来た方へと足を踏み出した。
私もそれに続く。
肩こった。
誰か揉んでくれないかな。
私は頭の中でそんなことを考えていたりもした。
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