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悪役令嬢の慟哭
第4話 伝わるもの
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「雇っていた傭兵に襲撃された挙げ句の転落死とは、あの浪費家には相応しい死に方ではあるな」
ベグロンド伯爵はボナレス伯爵死亡の報告を聞いて言った。しかし、合わせて届けられた通達には眉を顰める。
「何故、ボナレスの皺寄せがわしに来るのだ?」
それは、ハイデルフト領内のボナレス伯爵が担当していた地域の治安維持を、ベグロンド伯爵に一任すると言う通達だった。
ベグロンド家の悲願は侯爵への陞爵だ。だが、近年は戦争が起きることもなく、手柄を立てる機会が無い。地道に努めを果たすだけでは陞爵は夢のまた夢である。そこに起きたのがハイデルフト侯爵による反乱だった。
ベグロンド伯爵は千載一遇の好機だと考えた。この当時の立場はハイデルフト侯爵寄りであり、そのままハイデルフトに味方すれば反乱は成功するように思われた。しかしである。ハイデルフトに従う形で反乱に参加したのでは、反乱が成功したとしてもハイデルフトの風下に立つ事に変わりがない。また、一時的にも反乱軍の立場になるのは屈辱であり矜恃が許さない。加えて、王朝が変わるような事があれば、先祖も含めて今までの苦労が水の泡になってしまう。
だからベグロンドはハイデルフトに牙を剥いた。ボナレスの口車に乗ったように見えてしまうのは業腹だったが、対等な立場で手を結んだので許容範囲と考えた。
そしていち早く王都とハイデルフト領へと軍を進め、王都では防衛で、ハイデンではハイデルフト家の者を討ち取る事で功績を上げた、筈だった。
意気揚々と国王に謁見したが「大義であった」と言う言葉以外褒賞も何もない。思わず抗議すると、叱責され追い出された。
国王が代替わりしてもそれは変わらず、ベグロンド伯爵は憤懣やるかたなかった。
ベグロンド伯爵に褒賞は与えられなかったが、義務は発生した。ハイデルフト領に攻め込んだ領主、即ちベグロンド伯爵、ボナレス伯爵、そしてモーダルタ子爵の三領主にハイデルフト領の治安維持が命じられたのだ。独自の判断でハイデルフト領に攻め込んだのだから最後まで責任を持て、と言うのだ。だが、領地に組み込まれたのではないため、徴税権は無い。
ベグロンド伯爵にとって更に不満だったのは、ベグロンド領に比べて広大なハイデルフト領の半分以上の地域を担当させられる事だった。それは、ベグロンド領よりも広い。
それだけでは終わらない。モーダルタ子爵の嫡男によって国王が暗殺された事でモーダルタ子爵家が粛正されると、モーダルタが担当していた地域もベグロンド伯爵に任せられた。
その上で今回の通達である。結果としてハイデルフト領の全ての治安維持をベグロンド伯爵が受け持たねばならなくなったのだ。ボナレスが行った略奪のような恥知らずな真似はできないため、完全に持ち出しだ。このままでは数年の内にはベグロンドの貯蓄が底を突く。
ベグロンド伯爵は漸くハイデルフト侯爵が反乱を起こした理由を知った思いだったが、今となっては遅きに失した。
他領と言えど民衆が虐げられるのは本意ではない。だが、先立つものが無い。何かを切り捨てなければベグロンドの民まで困窮してしまう。苦渋の決断として、ボナレスが担当していた地域は見捨てる。既にモーダルタが担当していた地域の大半は見捨てているのだ。それが増えたところで大差はない。伯爵はそう考え、決断した。
ベグロンド伯爵がモーダルタ担当だった地域を見捨てたのには一応の理由がある。子爵家が粛正されたことでモーダルタが混乱し、ハイデルフトに派遣されていた兵士達にその事が伝えられなかったのだ。そのために未だ命令が継続していると思っているモーダルタ兵達は巡視で訪れたベグロンド兵を拒絶した。ベグロンドには無理にモーダルタ兵を排除するほどの兵力も資金も無いため、モーダルタ兵をそのまま放置する事にしたのだ。
◆
そのモーダルタ兵は荒ぶっていた。鍛冶屋が剣の修理を受けないと言う。ハイデンで自警団が立ち上がった噂が流れてきた頃から町の住民が反抗的になったと兵士は考えている。このまま舐められるわけにはいかないと、モーダルタ兵は脅しに剣を抜いて振り上げた。
冷や汗を流しながらも鍛冶屋はモーダルタ兵を睨み付ける。
「これはまた、物騒でございますね」
声が割り込み、モーダルタ兵の腕が捻り上げられた。兵士の呻き声と共に、その手から一振りの剣がこぼれ落ちる。カランと音を響かせて剣は床に転がった。
「は、放せ!」
兵士は苦悶の表情を浮かべながら叫んだ。
「このままモーダルタへ帰ると約束していただけるなら、放しましょう」
兵士の腕を捻り上げている執事服の男は答えた。
「はあ? 帰れる訳ないだろ! こっちは仕事で来てんだよ!」
「おやおや、幾ら領主が処刑されたとは言え、モーダルタは連絡がなってなさ過ぎでございますね」
「処刑だ? 出任せ言ってんじゃねーよ!」
「出任せかどうかは貴方がモーダルタへ帰ってから確認すれば宜しいでしょう」
「だから、帰れねーっつってんだ!」
執事服の男は顔を顰めた。
「堂々巡りになるだけでございますね。ときにご主人、揉めていた理由をお聞かせ願えますかな?」
突然話を振られた鍛冶屋は一瞬戸惑うが、話し始めた。
「は、はい。そちらのお客さんには前の分のツケが残っていまして、今回の依頼を断らせていただいたのです」
「ほお、それで喧嘩になって剣を持ちだしたと言ったところですかな?」
執事服の男の目がキラリと光る。その凄みに兵士は竦み上がった。
「お、俺は、ちょっと脅すだけのつもりで……」
「まあ、それは後で聞くとして。ご主人、剣を一振り所望するつもりでしたが、先に用事が出来ました。ここは失礼させていただきます」
「は、はい……」
兵士の腕を捻り上げたまま店を出て行く執事服の男を、鍛冶屋は呆気にとられて見送った。
「ヘンドリック? あのヘンドリックか!?」
モーダルタ軍の隊長は名を名乗った目の前の男を驚愕の眼差しで見た。
「『あの』が何のことか判りませんが、私はヘンドリックでございます」
ヘンドリックは十名ほどの兵士に囲まれた中、一人の兵士の腕を捻り上げたまま平然と答えた。床には二人の兵士が呻き声を上げている。ヘンドリックが倒したのだ。
ヘンドリックは兵士を捕らえたままモーダルタ軍が宿舎としている宿までやってきていた。周りの兵士達は、移動中のヘンドリックを見掛けて宿舎まで後を付けてきたのである。兵士達は途中で仕掛けようと考えなかった訳ではないが、ヘンドリックはそうできる隙を見せなかった。
隊長は周りの兵士を見回すと、難しい顔をしながらヘンドリックへと向き直る。
「判った。あんたを信じよう」
「それではもう揉め事を起こさないようにお願いいたします」
ヘンドリックは捕まえていた兵士の腕を放しながら言った。
隊長が撤退準備の指示を出すと、兵士達は呻き声を上げていた兵士を助け起こし、それぞれの作業に向けてその場から立ち去った。腕を捻られていた兵士は、痺れて動かない腕を押さえて逃げるように去った。
「だが、何故あんたがこんな所に居る?」
「ちょっとした罪滅ぼしのようなものでございます」
隊長の疑問にそう答えると、ヘンドリックもその場から立ち去った。
「一体誰なんです?」
その場に残っていた副官が隊長に尋ねた。
「ボナレスの剣術と体術の指南役だ。どう言う訳か本職は執事らしいがな」
隊長の答えに、副官の顔には困惑しか浮かばなかった。
その後、事実関係を確認したモーダルタ軍は順次モーダルタへと帰還した。
◆
その頃、ベグロンドへ向かっていた筈のエカテリーナは道に迷っていた。
「もう! ここは何処よ!」
ベグロンド伯爵はボナレス伯爵死亡の報告を聞いて言った。しかし、合わせて届けられた通達には眉を顰める。
「何故、ボナレスの皺寄せがわしに来るのだ?」
それは、ハイデルフト領内のボナレス伯爵が担当していた地域の治安維持を、ベグロンド伯爵に一任すると言う通達だった。
ベグロンド家の悲願は侯爵への陞爵だ。だが、近年は戦争が起きることもなく、手柄を立てる機会が無い。地道に努めを果たすだけでは陞爵は夢のまた夢である。そこに起きたのがハイデルフト侯爵による反乱だった。
ベグロンド伯爵は千載一遇の好機だと考えた。この当時の立場はハイデルフト侯爵寄りであり、そのままハイデルフトに味方すれば反乱は成功するように思われた。しかしである。ハイデルフトに従う形で反乱に参加したのでは、反乱が成功したとしてもハイデルフトの風下に立つ事に変わりがない。また、一時的にも反乱軍の立場になるのは屈辱であり矜恃が許さない。加えて、王朝が変わるような事があれば、先祖も含めて今までの苦労が水の泡になってしまう。
だからベグロンドはハイデルフトに牙を剥いた。ボナレスの口車に乗ったように見えてしまうのは業腹だったが、対等な立場で手を結んだので許容範囲と考えた。
そしていち早く王都とハイデルフト領へと軍を進め、王都では防衛で、ハイデンではハイデルフト家の者を討ち取る事で功績を上げた、筈だった。
意気揚々と国王に謁見したが「大義であった」と言う言葉以外褒賞も何もない。思わず抗議すると、叱責され追い出された。
国王が代替わりしてもそれは変わらず、ベグロンド伯爵は憤懣やるかたなかった。
ベグロンド伯爵に褒賞は与えられなかったが、義務は発生した。ハイデルフト領に攻め込んだ領主、即ちベグロンド伯爵、ボナレス伯爵、そしてモーダルタ子爵の三領主にハイデルフト領の治安維持が命じられたのだ。独自の判断でハイデルフト領に攻め込んだのだから最後まで責任を持て、と言うのだ。だが、領地に組み込まれたのではないため、徴税権は無い。
ベグロンド伯爵にとって更に不満だったのは、ベグロンド領に比べて広大なハイデルフト領の半分以上の地域を担当させられる事だった。それは、ベグロンド領よりも広い。
それだけでは終わらない。モーダルタ子爵の嫡男によって国王が暗殺された事でモーダルタ子爵家が粛正されると、モーダルタが担当していた地域もベグロンド伯爵に任せられた。
その上で今回の通達である。結果としてハイデルフト領の全ての治安維持をベグロンド伯爵が受け持たねばならなくなったのだ。ボナレスが行った略奪のような恥知らずな真似はできないため、完全に持ち出しだ。このままでは数年の内にはベグロンドの貯蓄が底を突く。
ベグロンド伯爵は漸くハイデルフト侯爵が反乱を起こした理由を知った思いだったが、今となっては遅きに失した。
他領と言えど民衆が虐げられるのは本意ではない。だが、先立つものが無い。何かを切り捨てなければベグロンドの民まで困窮してしまう。苦渋の決断として、ボナレスが担当していた地域は見捨てる。既にモーダルタが担当していた地域の大半は見捨てているのだ。それが増えたところで大差はない。伯爵はそう考え、決断した。
ベグロンド伯爵がモーダルタ担当だった地域を見捨てたのには一応の理由がある。子爵家が粛正されたことでモーダルタが混乱し、ハイデルフトに派遣されていた兵士達にその事が伝えられなかったのだ。そのために未だ命令が継続していると思っているモーダルタ兵達は巡視で訪れたベグロンド兵を拒絶した。ベグロンドには無理にモーダルタ兵を排除するほどの兵力も資金も無いため、モーダルタ兵をそのまま放置する事にしたのだ。
◆
そのモーダルタ兵は荒ぶっていた。鍛冶屋が剣の修理を受けないと言う。ハイデンで自警団が立ち上がった噂が流れてきた頃から町の住民が反抗的になったと兵士は考えている。このまま舐められるわけにはいかないと、モーダルタ兵は脅しに剣を抜いて振り上げた。
冷や汗を流しながらも鍛冶屋はモーダルタ兵を睨み付ける。
「これはまた、物騒でございますね」
声が割り込み、モーダルタ兵の腕が捻り上げられた。兵士の呻き声と共に、その手から一振りの剣がこぼれ落ちる。カランと音を響かせて剣は床に転がった。
「は、放せ!」
兵士は苦悶の表情を浮かべながら叫んだ。
「このままモーダルタへ帰ると約束していただけるなら、放しましょう」
兵士の腕を捻り上げている執事服の男は答えた。
「はあ? 帰れる訳ないだろ! こっちは仕事で来てんだよ!」
「おやおや、幾ら領主が処刑されたとは言え、モーダルタは連絡がなってなさ過ぎでございますね」
「処刑だ? 出任せ言ってんじゃねーよ!」
「出任せかどうかは貴方がモーダルタへ帰ってから確認すれば宜しいでしょう」
「だから、帰れねーっつってんだ!」
執事服の男は顔を顰めた。
「堂々巡りになるだけでございますね。ときにご主人、揉めていた理由をお聞かせ願えますかな?」
突然話を振られた鍛冶屋は一瞬戸惑うが、話し始めた。
「は、はい。そちらのお客さんには前の分のツケが残っていまして、今回の依頼を断らせていただいたのです」
「ほお、それで喧嘩になって剣を持ちだしたと言ったところですかな?」
執事服の男の目がキラリと光る。その凄みに兵士は竦み上がった。
「お、俺は、ちょっと脅すだけのつもりで……」
「まあ、それは後で聞くとして。ご主人、剣を一振り所望するつもりでしたが、先に用事が出来ました。ここは失礼させていただきます」
「は、はい……」
兵士の腕を捻り上げたまま店を出て行く執事服の男を、鍛冶屋は呆気にとられて見送った。
「ヘンドリック? あのヘンドリックか!?」
モーダルタ軍の隊長は名を名乗った目の前の男を驚愕の眼差しで見た。
「『あの』が何のことか判りませんが、私はヘンドリックでございます」
ヘンドリックは十名ほどの兵士に囲まれた中、一人の兵士の腕を捻り上げたまま平然と答えた。床には二人の兵士が呻き声を上げている。ヘンドリックが倒したのだ。
ヘンドリックは兵士を捕らえたままモーダルタ軍が宿舎としている宿までやってきていた。周りの兵士達は、移動中のヘンドリックを見掛けて宿舎まで後を付けてきたのである。兵士達は途中で仕掛けようと考えなかった訳ではないが、ヘンドリックはそうできる隙を見せなかった。
隊長は周りの兵士を見回すと、難しい顔をしながらヘンドリックへと向き直る。
「判った。あんたを信じよう」
「それではもう揉め事を起こさないようにお願いいたします」
ヘンドリックは捕まえていた兵士の腕を放しながら言った。
隊長が撤退準備の指示を出すと、兵士達は呻き声を上げていた兵士を助け起こし、それぞれの作業に向けてその場から立ち去った。腕を捻られていた兵士は、痺れて動かない腕を押さえて逃げるように去った。
「だが、何故あんたがこんな所に居る?」
「ちょっとした罪滅ぼしのようなものでございます」
隊長の疑問にそう答えると、ヘンドリックもその場から立ち去った。
「一体誰なんです?」
その場に残っていた副官が隊長に尋ねた。
「ボナレスの剣術と体術の指南役だ。どう言う訳か本職は執事らしいがな」
隊長の答えに、副官の顔には困惑しか浮かばなかった。
その後、事実関係を確認したモーダルタ軍は順次モーダルタへと帰還した。
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