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第三二話 雨の一日
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「酷い目に遭いやした」
そう言いながら出勤したショウの下半身はずぶ濡れである。傘を差しても、上半身が辛うじて雨を避けられるだけだった。
「大変だったね」
「へい。こんな雨は生まれて初めてかも知れないでやす」
「ほんとにね。それにこんな雨じゃ、水を売るのは中止だね」
ルゼは扉の隙間から外を覗きながら言った。夜は明けているにも関わらず、外は雲が垂れ込めて薄暗い。
「この雨で水を買いに来る客が居るとは思えやせんね」
水道が敷設されていなかった頃には雨水も利用していた事から、雨樋を通じて水を溜める仕組みが各家に備わっている。普段であれば雨量の多くない土地柄なため、屋根に積もった土埃などが混じってしまう降り始めの水も利用せざるを得ないのだが、今回に限って言えば降り始めの水さえ捨ててしまえば綺麗な水が得られるのである。
そんな理由から、朝から通常営業となった。
それでも客は全く来ない。
「これじゃ、開店休業だね」
「へい。それでも外より店の中が明るいから、滅入らずに済みやすね」
「ほんとだね」
客が来ないため書類整理などもしていたが、日頃からショウが行っている事もあって、程なく終わってしまった。そして、ただただ時が過ぎていく。
「姐さん、こんな調子でやすから、ここはあっし一人で大丈夫でやすよ?」
「それがさ、累造もチーナも何やら作ってる最中でね、あたしはここで客を待つ位しかやる事がないのさ」
「そうでやしたか。二人はどんなものを作ってるんでやすか?」
「累造は温水がどうとか言ってたね。チーナはぶらじゃあとか言う下着を作ってるよ」
「ぶらじゃあですか?」
「ああ、なんでも女の胸のための下着なんだとか。累造から聞いたって言ってたね」
「またボウズの知恵でやすか。一体どんな世界に住んでたんでやすかね?」
「想像も付かないねぇ」
そしてまた、ただただ時が過ぎていく。
「そういや、カレー粉でやすか、あれはどうするんでやすか?」
「かなり手間だからね。今はまだ注文を受けた分を細々と作るしかないね」
「『まだ』なんでやすか?」
「ああ、累造とおっちゃんとで石臼を回す機械を作ってるそうなんでね、カレー粉をこれ以上売るのはその機械が出来るのを待ってからにしようと思ってるんだよ」
香辛料の粉碾きを外注する場合には商品が売れなくとも一定量以上を一定期間発注する必要が有る。この事は、零細の虹の橋雑貨店にはリスクが大き過ぎるのだ。更に、カレー粉のレシピが漏れやすくもなるため、ルゼは外注に二の足を踏んでいた。
「でやすが、それだと香辛料用の石臼を新調しなきゃならないんじゃないでやすか?」
ルゼは目を見開いた。
「あー、確かにそうだよ。うっかりしてたね」
「なら、いっそケメンの兄貴にレシピを売って、利益の一部を貰う契約にしちゃいかがでやすか?」
「うん? ああ、そうだね。それも考えてみる事にするよ」
そしてまたまた、ただただ時が過ぎていく。
◆
累造は温水を出す魔法陣を彫っている。昨日とは打って変わり、今日は昨晩からの雨の影響で肌寒い。そのため、温水を使うのに丁度良い気温だと言える。
水の温度を上げるには、呼び出した水分子に運動エネルギーを与えれば良い。だが、エネルギーの単位もよく判らない上に、判ったとしてもイメージとして捉えにくい。そこで、水の融点と沸点、即ちセ氏零度と一〇〇度を定義して、セ氏零度の水分子がセ氏一〇〇度になるためのエネルギーの一〇〇分の一五を、魔法陣から出てくる水分子に与えると言う、少々迂遠な記述としている。この方法であれば、いきなり沸騰したお湯が出てくるような事も起きないので、安全でもある。
彫り上がった魔法陣は元のものより二回り程大きくなっている。大きくなった分だけ水を出す時に扱い辛くなるのを累造は懸念していたが、水の勢いが緩くなっていて水量的には変わりなく、杞憂に終わった。
そして、お湯が自由に得られるとなると欲しくなるのが浴槽だ。だが、設置するにはそれなりの場所が必要なため、ルゼやチーナと要相談である。
◆
「俺はショウさんの意見に賛成です」
昼食時にルゼからカレー粉についての話を聞いた累造は即答した。
「いいのかい?」
「継続的に楽して収入を得られるのは理想的じゃありませんか。そして、取り分は七三で分けると言うことで」
チーナがぽかんと累造を見た。
「まったく、そこら辺はほんとにいい性格してるね」
ルゼは苦笑するばかりである。
◆
チーナはブラジャーの試作品にリネンのニット生地を使った。縫い上がったまでは良かったのだが、気分は少々暗い。背中のバンドが、前屈みになった時に突っ張らないようにすれば背筋を伸ばした時に緩み、背筋を伸ばした時に緩まないようにすれば前屈みになった時に突っ張ってしまう。背中のボタンを留めにくいのも難点である。
「累造君の世界の女性は、ほんとにこんなのを着けてるんでしょうか」
ついついそんな事を考えてしまう。考え込んでいても埒は開かないので、その事を累造に尋ねる事にした。
「ゴムを使っているんでしょう」
それが累造の答えである。ゴムの説明を聞いても、便利な物が有る位にしか判らない。
結果的に、多少突っ張っても緩みが少ない方向で妥協する事にした。背筋が伸びている方が美しく見えるのだからと、自分に言い聞かせつつである。
チーナは手早くルゼ用の試作品も縫い上げると、ルゼを呼んで試着させた。ルゼの胸を目の当たりにすると、累造の目が釘付けになっても仕方ないのかもと思ってしまう自分が少し悔しい。そんな事を考えてしまう虚しさを仄かに感じながら、ルゼの背中のボタンを留めた。
「どうですか?」
「んー、なんだか変な感じだね。少し背中が突っ張るし」
ルゼはもぞもぞとしてしまう。
「着け心地は少しずつ改善するしかありませんね。背中が突っ張るのは我慢してください。それと、今後はこの乳バンドを必ず着けてくださいね? 累造君の目が有る所では必須です」
「何でまた?」
いつになく強硬な姿勢にルゼが怪訝な顔をする。
「このままじゃ、いつか累造君が店長を押し倒してしまいます。私の目の前でそんな事にはなって欲しくありませんので」
「ん? この前、春がどうのと言ってた時は、あたしが押し倒されるのを期待していたようだったじゃないか」
心臓がどきんと跳ねて、顔が熱くなる。
「あ、あれは、妄想だからいいんです! だけど、実際にそんな事になったら私はいたたまれません!」
「ふぅん、だったら何がどうイケナイのか、その妄想とやらを聞かせて欲しいもんだね。その妄想とやらでは、あたしと累造がどんなイケナイ事をしてるんだい?」
ニヤニヤと笑いながらルゼが迫る。
「あ、え? その……」
チーナはあたふたと逃げだそうとしたが、ルゼからは許されなかった。
夕食時、ルゼとチーナは累造と目が合うと、なぜか真っ赤になって目を逸らしてしまう。
「あの、二人ともなんか変ですよ?」
累造が尋ねるとガタンと食器で音を立ててしまう始末である。
「な、何でも、ないぞ?」
「そ、そうですよ。何でもないですよ?」
ルゼとチーナは少しどもりながら答えた。
「何故、疑問形なんです?」
累造の方こそ頭に疑問符を浮かべる。
「チーナがあんな妄想をしてるからだぞ!?」
「店長が無理に聞き出すからです!」
小声で言い合う二人は、累造の疑問に答えるどころではなさそうであった。
そう言いながら出勤したショウの下半身はずぶ濡れである。傘を差しても、上半身が辛うじて雨を避けられるだけだった。
「大変だったね」
「へい。こんな雨は生まれて初めてかも知れないでやす」
「ほんとにね。それにこんな雨じゃ、水を売るのは中止だね」
ルゼは扉の隙間から外を覗きながら言った。夜は明けているにも関わらず、外は雲が垂れ込めて薄暗い。
「この雨で水を買いに来る客が居るとは思えやせんね」
水道が敷設されていなかった頃には雨水も利用していた事から、雨樋を通じて水を溜める仕組みが各家に備わっている。普段であれば雨量の多くない土地柄なため、屋根に積もった土埃などが混じってしまう降り始めの水も利用せざるを得ないのだが、今回に限って言えば降り始めの水さえ捨ててしまえば綺麗な水が得られるのである。
そんな理由から、朝から通常営業となった。
それでも客は全く来ない。
「これじゃ、開店休業だね」
「へい。それでも外より店の中が明るいから、滅入らずに済みやすね」
「ほんとだね」
客が来ないため書類整理などもしていたが、日頃からショウが行っている事もあって、程なく終わってしまった。そして、ただただ時が過ぎていく。
「姐さん、こんな調子でやすから、ここはあっし一人で大丈夫でやすよ?」
「それがさ、累造もチーナも何やら作ってる最中でね、あたしはここで客を待つ位しかやる事がないのさ」
「そうでやしたか。二人はどんなものを作ってるんでやすか?」
「累造は温水がどうとか言ってたね。チーナはぶらじゃあとか言う下着を作ってるよ」
「ぶらじゃあですか?」
「ああ、なんでも女の胸のための下着なんだとか。累造から聞いたって言ってたね」
「またボウズの知恵でやすか。一体どんな世界に住んでたんでやすかね?」
「想像も付かないねぇ」
そしてまた、ただただ時が過ぎていく。
「そういや、カレー粉でやすか、あれはどうするんでやすか?」
「かなり手間だからね。今はまだ注文を受けた分を細々と作るしかないね」
「『まだ』なんでやすか?」
「ああ、累造とおっちゃんとで石臼を回す機械を作ってるそうなんでね、カレー粉をこれ以上売るのはその機械が出来るのを待ってからにしようと思ってるんだよ」
香辛料の粉碾きを外注する場合には商品が売れなくとも一定量以上を一定期間発注する必要が有る。この事は、零細の虹の橋雑貨店にはリスクが大き過ぎるのだ。更に、カレー粉のレシピが漏れやすくもなるため、ルゼは外注に二の足を踏んでいた。
「でやすが、それだと香辛料用の石臼を新調しなきゃならないんじゃないでやすか?」
ルゼは目を見開いた。
「あー、確かにそうだよ。うっかりしてたね」
「なら、いっそケメンの兄貴にレシピを売って、利益の一部を貰う契約にしちゃいかがでやすか?」
「うん? ああ、そうだね。それも考えてみる事にするよ」
そしてまたまた、ただただ時が過ぎていく。
◆
累造は温水を出す魔法陣を彫っている。昨日とは打って変わり、今日は昨晩からの雨の影響で肌寒い。そのため、温水を使うのに丁度良い気温だと言える。
水の温度を上げるには、呼び出した水分子に運動エネルギーを与えれば良い。だが、エネルギーの単位もよく判らない上に、判ったとしてもイメージとして捉えにくい。そこで、水の融点と沸点、即ちセ氏零度と一〇〇度を定義して、セ氏零度の水分子がセ氏一〇〇度になるためのエネルギーの一〇〇分の一五を、魔法陣から出てくる水分子に与えると言う、少々迂遠な記述としている。この方法であれば、いきなり沸騰したお湯が出てくるような事も起きないので、安全でもある。
彫り上がった魔法陣は元のものより二回り程大きくなっている。大きくなった分だけ水を出す時に扱い辛くなるのを累造は懸念していたが、水の勢いが緩くなっていて水量的には変わりなく、杞憂に終わった。
そして、お湯が自由に得られるとなると欲しくなるのが浴槽だ。だが、設置するにはそれなりの場所が必要なため、ルゼやチーナと要相談である。
◆
「俺はショウさんの意見に賛成です」
昼食時にルゼからカレー粉についての話を聞いた累造は即答した。
「いいのかい?」
「継続的に楽して収入を得られるのは理想的じゃありませんか。そして、取り分は七三で分けると言うことで」
チーナがぽかんと累造を見た。
「まったく、そこら辺はほんとにいい性格してるね」
ルゼは苦笑するばかりである。
◆
チーナはブラジャーの試作品にリネンのニット生地を使った。縫い上がったまでは良かったのだが、気分は少々暗い。背中のバンドが、前屈みになった時に突っ張らないようにすれば背筋を伸ばした時に緩み、背筋を伸ばした時に緩まないようにすれば前屈みになった時に突っ張ってしまう。背中のボタンを留めにくいのも難点である。
「累造君の世界の女性は、ほんとにこんなのを着けてるんでしょうか」
ついついそんな事を考えてしまう。考え込んでいても埒は開かないので、その事を累造に尋ねる事にした。
「ゴムを使っているんでしょう」
それが累造の答えである。ゴムの説明を聞いても、便利な物が有る位にしか判らない。
結果的に、多少突っ張っても緩みが少ない方向で妥協する事にした。背筋が伸びている方が美しく見えるのだからと、自分に言い聞かせつつである。
チーナは手早くルゼ用の試作品も縫い上げると、ルゼを呼んで試着させた。ルゼの胸を目の当たりにすると、累造の目が釘付けになっても仕方ないのかもと思ってしまう自分が少し悔しい。そんな事を考えてしまう虚しさを仄かに感じながら、ルゼの背中のボタンを留めた。
「どうですか?」
「んー、なんだか変な感じだね。少し背中が突っ張るし」
ルゼはもぞもぞとしてしまう。
「着け心地は少しずつ改善するしかありませんね。背中が突っ張るのは我慢してください。それと、今後はこの乳バンドを必ず着けてくださいね? 累造君の目が有る所では必須です」
「何でまた?」
いつになく強硬な姿勢にルゼが怪訝な顔をする。
「このままじゃ、いつか累造君が店長を押し倒してしまいます。私の目の前でそんな事にはなって欲しくありませんので」
「ん? この前、春がどうのと言ってた時は、あたしが押し倒されるのを期待していたようだったじゃないか」
心臓がどきんと跳ねて、顔が熱くなる。
「あ、あれは、妄想だからいいんです! だけど、実際にそんな事になったら私はいたたまれません!」
「ふぅん、だったら何がどうイケナイのか、その妄想とやらを聞かせて欲しいもんだね。その妄想とやらでは、あたしと累造がどんなイケナイ事をしてるんだい?」
ニヤニヤと笑いながらルゼが迫る。
「あ、え? その……」
チーナはあたふたと逃げだそうとしたが、ルゼからは許されなかった。
夕食時、ルゼとチーナは累造と目が合うと、なぜか真っ赤になって目を逸らしてしまう。
「あの、二人ともなんか変ですよ?」
累造が尋ねるとガタンと食器で音を立ててしまう始末である。
「な、何でも、ないぞ?」
「そ、そうですよ。何でもないですよ?」
ルゼとチーナは少しどもりながら答えた。
「何故、疑問形なんです?」
累造の方こそ頭に疑問符を浮かべる。
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