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1275.気付かない

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 比加礼太は魔王が設置した泉を見付けた。

「水だ!」

 倒けつ転びつ駆け寄って顔を水面に突っ込むようにして勢いよく水を飲む。
 安全な水か否かなど、頭から飛んでいた。
 飲んで人心地付いてからやっと安全性に気を回すが、今更であった。

「これで腹壊すっても、飲まなきゃ乾涸らびるもんな」

 急場はネギで凌いだものの十分な水分を得られていなかったのを実感する。
 この泉を見付けられなかったら遠からず脱水症状に襲われていただろう。

「ペットボトルを捨てなくて良かったぜ」

 捨てずに取っておいた空のペットボトルに水を入れ、礼太は人を求めて泉を後にする。
 100円ライターには気付かないままであった。
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