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547.歩くだけ

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 魔法使いを映せば売れるなら、いや、魔法使いを映さなければ売れないなら、やることは決まっている。
 魔法使いを被写体にして撮りまくるのだ。

「こんなのどう?」

 撮られることにある種の快感を得ているのか、魔法使いはどんどん過激なポーズを取る。

「待て、待て、待て!」

 カメラマンの剣士が止めた。

「何よ、もう」

 興が乗り出したところで止められた魔法使いは不満顔だ。

「もっと小出しにしなきゃ、儲からないだろうが」
「うむ。それは一理有る」

 槍士が剣士に同意した。

 結局最初は全裸の魔法使いが単に歩くだけの映像となった。
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