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624 代わりに行きます
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フヨヨンはダンジョンを攻略する立場から守る立場に変わった以外に変化は見られない。朝食にもいつものように現れた。
「食べる必要は無くなったのだけど、習慣と言うものは抜けないものだね」
そんな風に言いながらメイナーダの料理に舌鼓を打つ。昨日の出来事が夢だったかのような光景だ。
だが夢のように扱っては現実逃避になる。
「これからのダンジョンは今までを踏襲するんですか?」
フヨヨンにまつわる関心事となればダンジョンだ。
「色々と変えるよ。魔物はリザードなんかの爬虫類系とゴーレム系にするつもりさ。ゴーレムからは鉱石やインゴットをドロップさせるのもいいね。ボクが魔法を付与したアクセサリーやボクの作った魔道具を入れた宝箱も置こうかな。みんなは八九階までなら自由にしてくれたまえよ」
「……湿地っぽさは無くなるんですね」
「いっそ湿地も無くしたいくらいなのさ。だけどそこで生活している人や生き物が居るから、やるにしても時間を掛けないとだね。魔物をゴーレムにするのはその第一歩と考えてくれてもいいよ」
「……不躾ですけど、主になったのを後悔はしてないんですか?」
「ほんとに不躾だね」
「すいません」
「でもいいさ。予想以上に後悔はしてないよ。このダンジョンが司る大陸の八分の一程の範囲から出られなくてベクロテにも行けないのが残念なくらいだけど、これはルキアス君に聞いて知ってた事だから数には入れられないかな」
フヨヨンはここで小首を傾げた。
「……ああ、でも今思えばもっと別のダンジョンにも行ってれば良かったようにも思えるね。行けなくなったからこう思うだけで、こうならなかったらきっと行くことも無かったに違いないから一緒だね」
「じゃあ、ぼくがフヨヨンさんの代わりに行きます」
「ルキアス君?」
「「「ルキアス?」」」
「ルキアスちゃん?」
ルキアスは半ば無意識に発した。言った後で自分の言葉に驚いたくらいだ。
だが言ってしまったことで靄が掛かっていた思考が晴れたようにも感じた。
「ぼくのこのダンジョンでの役割は終わっちゃったから、別のダンジョンに行くいい機会だと思うんです」
ベクロテのダンジョンの主ヨーコから請け負ったルキアスの役割はこのダンジョンの監視だ。しかしクリューの町が出来たことでルキアスである必要が無くなり、フヨヨンがダンジョンの主になったことで微かな必要性さえも無くなった。
またヨーコの本来の望みはダンジョンの監視ではなくダンジョンから溢れた魔物が世界を滅ぼしてしまわないことだ。フヨヨンならクリューのダンジョンは悪いようにはならないから、気を付けなければならないのはもっと別のダンジョンとなる。
ルキアスとしては乗りかかった船でもあるし、放っておけば心に引っ掛かりを残してしまう。各地のダンジョンを見て回ることで引っ掛かりが無くなるに違いない。
「食べる必要は無くなったのだけど、習慣と言うものは抜けないものだね」
そんな風に言いながらメイナーダの料理に舌鼓を打つ。昨日の出来事が夢だったかのような光景だ。
だが夢のように扱っては現実逃避になる。
「これからのダンジョンは今までを踏襲するんですか?」
フヨヨンにまつわる関心事となればダンジョンだ。
「色々と変えるよ。魔物はリザードなんかの爬虫類系とゴーレム系にするつもりさ。ゴーレムからは鉱石やインゴットをドロップさせるのもいいね。ボクが魔法を付与したアクセサリーやボクの作った魔道具を入れた宝箱も置こうかな。みんなは八九階までなら自由にしてくれたまえよ」
「……湿地っぽさは無くなるんですね」
「いっそ湿地も無くしたいくらいなのさ。だけどそこで生活している人や生き物が居るから、やるにしても時間を掛けないとだね。魔物をゴーレムにするのはその第一歩と考えてくれてもいいよ」
「……不躾ですけど、主になったのを後悔はしてないんですか?」
「ほんとに不躾だね」
「すいません」
「でもいいさ。予想以上に後悔はしてないよ。このダンジョンが司る大陸の八分の一程の範囲から出られなくてベクロテにも行けないのが残念なくらいだけど、これはルキアス君に聞いて知ってた事だから数には入れられないかな」
フヨヨンはここで小首を傾げた。
「……ああ、でも今思えばもっと別のダンジョンにも行ってれば良かったようにも思えるね。行けなくなったからこう思うだけで、こうならなかったらきっと行くことも無かったに違いないから一緒だね」
「じゃあ、ぼくがフヨヨンさんの代わりに行きます」
「ルキアス君?」
「「「ルキアス?」」」
「ルキアスちゃん?」
ルキアスは半ば無意識に発した。言った後で自分の言葉に驚いたくらいだ。
だが言ってしまったことで靄が掛かっていた思考が晴れたようにも感じた。
「ぼくのこのダンジョンでの役割は終わっちゃったから、別のダンジョンに行くいい機会だと思うんです」
ベクロテのダンジョンの主ヨーコから請け負ったルキアスの役割はこのダンジョンの監視だ。しかしクリューの町が出来たことでルキアスである必要が無くなり、フヨヨンがダンジョンの主になったことで微かな必要性さえも無くなった。
またヨーコの本来の望みはダンジョンの監視ではなくダンジョンから溢れた魔物が世界を滅ぼしてしまわないことだ。フヨヨンならクリューのダンジョンは悪いようにはならないから、気を付けなければならないのはもっと別のダンジョンとなる。
ルキアスとしては乗りかかった船でもあるし、放っておけば心に引っ掛かりを残してしまう。各地のダンジョンを見て回ることで引っ掛かりが無くなるに違いない。
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