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619 最奥
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事前に回廊をメイナーダの魔法で焼く作業が入ったことで探索がゆっくりになった一方、シャルウィの排水力はこれを補って余りある向上を日に日に見せて階層更新が加速した。稀に焼け残った魔物が居ても『傘』で飛んでいれば戦闘を避けられるので、特筆することの無い作業の日々だ。
週に一度のペースで地上に戻って補給しつつ進めても、一ヶ月後には最奥、第一〇〇階層に達した。
「あっと言う間に時間が経った気がするね」
「毎日同じ繰り返しだとびっくりするくらい時間が過ぎてるものよね」
「一〇〇階まであっと言う間でした」
「俺なんか何にもする事無かったぜ」
「タイラクは心行くまで素振りしてたでしょ」
「あんなの『する事』に入るもんか」
メイナーダが床を焼いた後なら床に足を着けても差し支えないので、タイラクは日がな一日『傘』の後を追いつつ剣を振ったりもしていた。だがタイラクにとって剣を振るのは息をするような当たり前の行いらしい。
「んな事よりここをどうすんだ? なんかぶよぶよしたのが詰まってるんだが」
最奥階層は階段を降りて直ぐに小部屋が在り、小部屋の左右には真っ直ぐな回廊が伸びて、正面には大広間が在る。
先に左右に伸びる回廊を辿ってみれば大広間を囲っていた。俯瞰すれば二重の四角、「回」の字に似た構造になっている。
入口正面の小部屋に戻って大広間を見やる。
「触手がぎゅうぎゅうに押し込められたような感じよね」
「まあ、少しずつ削るしかないだろうね」
そう言いつつフヨヨンは暫し考える。
「……ぶよぶよは大広間から出て来ないようだから、ここは一つルキアス君にこの弾丸を試して貰おうかな?」
フヨヨンは『収納』から弾丸を取り出してルキアスに見せると、空の弾倉も取り出して弾丸を詰める。
「どう言う弾丸です?」
「時限炸裂弾。発射の二秒後に爆発する弾丸さ」
「え? 勝手に爆発するんですか?」
「発射した後はそうだね」
「発射前に勝手に爆発したりとかは?」
「しない筈だよ」
「筈!?」
ルキアスは腰が引けた。普通に射撃している時の暴発の危険性が格段に高く思える。暴発したら指どころか手が無くなっても不思議ではないのだ。
そして暫く考えてから言う。
「……じゃあ、離れて引き金を引けるようにしてやりましょう?」
ルキアスも時限炸裂弾がどんな代物か見てみたい気持ちがあったので妥協案を提示した。
週に一度のペースで地上に戻って補給しつつ進めても、一ヶ月後には最奥、第一〇〇階層に達した。
「あっと言う間に時間が経った気がするね」
「毎日同じ繰り返しだとびっくりするくらい時間が過ぎてるものよね」
「一〇〇階まであっと言う間でした」
「俺なんか何にもする事無かったぜ」
「タイラクは心行くまで素振りしてたでしょ」
「あんなの『する事』に入るもんか」
メイナーダが床を焼いた後なら床に足を着けても差し支えないので、タイラクは日がな一日『傘』の後を追いつつ剣を振ったりもしていた。だがタイラクにとって剣を振るのは息をするような当たり前の行いらしい。
「んな事よりここをどうすんだ? なんかぶよぶよしたのが詰まってるんだが」
最奥階層は階段を降りて直ぐに小部屋が在り、小部屋の左右には真っ直ぐな回廊が伸びて、正面には大広間が在る。
先に左右に伸びる回廊を辿ってみれば大広間を囲っていた。俯瞰すれば二重の四角、「回」の字に似た構造になっている。
入口正面の小部屋に戻って大広間を見やる。
「触手がぎゅうぎゅうに押し込められたような感じよね」
「まあ、少しずつ削るしかないだろうね」
そう言いつつフヨヨンは暫し考える。
「……ぶよぶよは大広間から出て来ないようだから、ここは一つルキアス君にこの弾丸を試して貰おうかな?」
フヨヨンは『収納』から弾丸を取り出してルキアスに見せると、空の弾倉も取り出して弾丸を詰める。
「どう言う弾丸です?」
「時限炸裂弾。発射の二秒後に爆発する弾丸さ」
「え? 勝手に爆発するんですか?」
「発射した後はそうだね」
「発射前に勝手に爆発したりとかは?」
「しない筈だよ」
「筈!?」
ルキアスは腰が引けた。普通に射撃している時の暴発の危険性が格段に高く思える。暴発したら指どころか手が無くなっても不思議ではないのだ。
そして暫く考えてから言う。
「……じゃあ、離れて引き金を引けるようにしてやりましょう?」
ルキアスも時限炸裂弾がどんな代物か見てみたい気持ちがあったので妥協案を提示した。
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