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613 調達
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土嚢は大量に用意しなければならない。つまりは土嚢袋が大量に必要だ。ルキアス達は資材調達のためにも地上に戻った。
久しぶりにも思える地上は落ち着きを取り戻している。人に尋ねれば、長く騒がしかったのはクリューの東西分裂の元凶にも見えた元町長が排されたことで東西合併に向かうのではと噂があったかららしい。結局噂は噂でしかなく、東西に分裂したままだとはっきりしたことで沈静化したと言う。
(思えばざわついてたから探索を進めたんだったけど……)
だが今更だ。ざわつかなくなったとは言え、ここで探索を止めるものでもない。
翌日にルキアスはフヨヨンと一緒にベクロテに飛んだ。ルキアスはホームセンターで土嚢袋の調達を、フヨヨンは深層で鋼鉄やアダマントの調達をする。フヨヨンの調達は急いでも二日必要なのでルキアスも二泊する予定だ。この機会にベクロテのダンジョンを少し探索しようとも考えている。
土嚢袋は五〇〇枚を調達予定としていた。ところが店頭で問い合わせると、数が多くて直ぐには用意できないとのことで受け取りは明日か明後日となった。だから発注だけしてラビット丼を食べに行く。
「よう、兄弟。久しぶりだ。最近の調子はどうだ?」
「あ、ロマさん。それがちょっと問題があって……」
ルキアスはクリューのダンジョン深層が水没している様子を説明した。
「水没たぁ厄介な話だな。それで水を干すか、水の濁りを取るかしなきゃならないってか」
「うん。どっちもやろうと思えばできるんだろうけど、とにかく現実的じゃないくらい地道な作業になりそうなのがね。で、それでもまだ濁りを取る方がマシかなって」
「水か、水ねぇ……」
ロマは腕組みして首を傾げた。
「せめて濁ってない水ならどうにかできそうじゃあるんだがな」
「どう言うこと?」
「『湧水』で水が出せるんだ。『湧水』で出したような真水ならどうにかして消せそうじゃないか?」
『加熱』を裏返して『冷却』にできるなら、『湧水』を裏返せば『排水』ができそうだ。濁っていてはいけないような気になるのは直感らしい。
ルキアスは不思議とこれをすんなり受け入れられた。
「なるほど! 試してみるよ」
ルキアスはロマと別れて直ぐに炊事場で検証した。反転の感覚は『ランプ』や『加熱』で知っているので応用する。通常は魔力を絞って量を減らすところを、反転させる場合には魔力を絞らずに魔法効果を減らし、最終的にマイナスに持って行くのだ。
久しぶりにも思える地上は落ち着きを取り戻している。人に尋ねれば、長く騒がしかったのはクリューの東西分裂の元凶にも見えた元町長が排されたことで東西合併に向かうのではと噂があったかららしい。結局噂は噂でしかなく、東西に分裂したままだとはっきりしたことで沈静化したと言う。
(思えばざわついてたから探索を進めたんだったけど……)
だが今更だ。ざわつかなくなったとは言え、ここで探索を止めるものでもない。
翌日にルキアスはフヨヨンと一緒にベクロテに飛んだ。ルキアスはホームセンターで土嚢袋の調達を、フヨヨンは深層で鋼鉄やアダマントの調達をする。フヨヨンの調達は急いでも二日必要なのでルキアスも二泊する予定だ。この機会にベクロテのダンジョンを少し探索しようとも考えている。
土嚢袋は五〇〇枚を調達予定としていた。ところが店頭で問い合わせると、数が多くて直ぐには用意できないとのことで受け取りは明日か明後日となった。だから発注だけしてラビット丼を食べに行く。
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「水か、水ねぇ……」
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「どう言うこと?」
「『湧水』で水が出せるんだ。『湧水』で出したような真水ならどうにかして消せそうじゃないか?」
『加熱』を裏返して『冷却』にできるなら、『湧水』を裏返せば『排水』ができそうだ。濁っていてはいけないような気になるのは直感らしい。
ルキアスは不思議とこれをすんなり受け入れられた。
「なるほど! 試してみるよ」
ルキアスはロマと別れて直ぐに炊事場で検証した。反転の感覚は『ランプ』や『加熱』で知っているので応用する。通常は魔力を絞って量を減らすところを、反転させる場合には魔力を絞らずに魔法効果を減らし、最終的にマイナスに持って行くのだ。
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