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610 第七六階層
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フヨヨンが水中用の武器を用意した次の日にはもうダンジョン探索の続き。
「魔物は代わり映えしないな」
「主不在だとこうなるのかな?」
「元々こうだったのかも知れないよ」
あれこれ考えても答えは見付からない。
「ともかくタイラク、魔物の強さを計ってくれるかい?」
「やんのか? ここもまだ下がびちゃびちゃだぜ?」
下に降りて濡れた後に『傘』に乗ったら『傘』の中も濡れてしまう。
「うーん。それはそれで困ってしまうね……。そうだ。ザネク君の『傘』に乗ってってのはどうだい?」
空中を進むにはルキアスの『傘』だけあれば良いので今はそうしている。ザネクの『傘』は空きだ。
「動ける範囲が狭いが、それでやってみるか」
回廊全体を使えるのと比べればどうしても狭い。
ザネクは可能な限り大きく平たく『傘』を差した。タイラクが跳び乗ったところで床ギリギリまで下ろす。
魔物は間もなく襲って来た。前から一つ。このダンジョンの魔物は奇妙な程魔法を使わないのでタイラクはこれを難無く倒す。
後から二つ。魔物は『傘』に乗り込んで来た。
「広くするのも善し悪しだな!」
『傘』の上に魔物の骸が残るのは魔石を抜くには都合が良いが、後始末が必要になる時もある。
今回は二体の骸を載せたままルキアスの『傘』まで戻った。
「ベクロテのダンジョンなら八〇レベルってところだな」
「殆ど差が無くなったね。一階から考えればおかしなものだよ」
これもまたあれこれ考えても答えは見付からない。
「とにかく先に進もう」
更に二日後に第八〇階層に到達。六日を費やして安全地帯候補地を探し出した。
「魔物の強さはここ何階層か殆ど変わらないし、魔法もまるで使って来ないな。どう言うこった?」
「罠らしい罠も無いし、主不在のダンジョンは簡単に攻略できるようにできてるんじゃないかな?」
「それだと昔から探索者が潜ってる主不在のダンジョンが攻略されないのはどうしてなんでしょう?」
「案外わざと攻略しないのかも知れないよ」
「どうしてです?」
「今のまま上手く社会が回っているなら変化を望まないのもまた人だからね」
「なるほど」
ルキアスは胸に手を当てて納得した。
「魔物は代わり映えしないな」
「主不在だとこうなるのかな?」
「元々こうだったのかも知れないよ」
あれこれ考えても答えは見付からない。
「ともかくタイラク、魔物の強さを計ってくれるかい?」
「やんのか? ここもまだ下がびちゃびちゃだぜ?」
下に降りて濡れた後に『傘』に乗ったら『傘』の中も濡れてしまう。
「うーん。それはそれで困ってしまうね……。そうだ。ザネク君の『傘』に乗ってってのはどうだい?」
空中を進むにはルキアスの『傘』だけあれば良いので今はそうしている。ザネクの『傘』は空きだ。
「動ける範囲が狭いが、それでやってみるか」
回廊全体を使えるのと比べればどうしても狭い。
ザネクは可能な限り大きく平たく『傘』を差した。タイラクが跳び乗ったところで床ギリギリまで下ろす。
魔物は間もなく襲って来た。前から一つ。このダンジョンの魔物は奇妙な程魔法を使わないのでタイラクはこれを難無く倒す。
後から二つ。魔物は『傘』に乗り込んで来た。
「広くするのも善し悪しだな!」
『傘』の上に魔物の骸が残るのは魔石を抜くには都合が良いが、後始末が必要になる時もある。
今回は二体の骸を載せたままルキアスの『傘』まで戻った。
「ベクロテのダンジョンなら八〇レベルってところだな」
「殆ど差が無くなったね。一階から考えればおかしなものだよ」
これもまたあれこれ考えても答えは見付からない。
「とにかく先に進もう」
更に二日後に第八〇階層に到達。六日を費やして安全地帯候補地を探し出した。
「魔物の強さはここ何階層か殆ど変わらないし、魔法もまるで使って来ないな。どう言うこった?」
「罠らしい罠も無いし、主不在のダンジョンは簡単に攻略できるようにできてるんじゃないかな?」
「それだと昔から探索者が潜ってる主不在のダンジョンが攻略されないのはどうしてなんでしょう?」
「案外わざと攻略しないのかも知れないよ」
「どうしてです?」
「今のまま上手く社会が回っているなら変化を望まないのもまた人だからね」
「なるほど」
ルキアスは胸に手を当てて納得した。
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