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566 まずは銃身
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「まずはルキアス君に手伝って貰わなければならないアダマントの部品から作って行こう」
アダマントでなければならないのは銃身と薬室、駐退機の構造体、それらの支持構造部だ。
この中でも特にルキアスの手が必要なのが銃身だった。ロール加工できる厚みではないので穿孔となるが、アダマントは通常の方法ではこの穿孔がほぼ不可能なのだ。
無論、莫大な時間と資金を投入するならできなくない。しかしそのためにはライフルの銃身一本の製造にアダマントのドリル刃を数十数百と使い潰す必要がある。アダマント以外では削りようがないが、そのドリルの刃の製造も困難なためだ。
「まずは銃身だね。アダマントでこの棒より一回り太い棒を作ってくれたまえよ」
フヨヨンは鋼鉄の棒を取り出した。如何にも銃身らしい太さの棒だ。
ルキアスはそれと見比べながらアダマントを『捏ね』る。最近では軽く伸ばした両端を持って『捏ね』ながら引っ張ることで細長くする技を身に付けているので程なくして完成した。
「ルキアス君はますます腕を上げたね」
「何だかんだで『捏ね』てばっかりだから」
「確かにそうだね!」
フヨヨンは呵々と笑った。
「次は綺麗な棒にするよ」
フヨヨンは旋盤にアダマントの棒を固定する。
「さあ、ルキアス君はこの棒を形が崩れない程度に『捏ね』て柔らかくしてくれたまえよ」
ルキアスが言われた通りにアダマントの棒を固定された根元付近で『捏ね』始めると、フヨヨンは旋盤を起動した。
「え……?」
「本来なら材料の方を回転させるのだけど、それをやってはルキアス君の手が擦り切れてしまうから刃の方を回転させてるよ」
「それはいいんですけど、これ、近くありません!?」
回転する切削刃が間近に迫って怖い上、切削油まで跳ねて降り掛かって来る。
「これどこまで削るんです!?」
「あっ!」
「えっ!?」
「ルキアス君が持ってる辺りまで削らなければだね」
「ちょっと!」
ルキアスは手を放した。一旦中止である。
アダマントでなければならないのは銃身と薬室、駐退機の構造体、それらの支持構造部だ。
この中でも特にルキアスの手が必要なのが銃身だった。ロール加工できる厚みではないので穿孔となるが、アダマントは通常の方法ではこの穿孔がほぼ不可能なのだ。
無論、莫大な時間と資金を投入するならできなくない。しかしそのためにはライフルの銃身一本の製造にアダマントのドリル刃を数十数百と使い潰す必要がある。アダマント以外では削りようがないが、そのドリルの刃の製造も困難なためだ。
「まずは銃身だね。アダマントでこの棒より一回り太い棒を作ってくれたまえよ」
フヨヨンは鋼鉄の棒を取り出した。如何にも銃身らしい太さの棒だ。
ルキアスはそれと見比べながらアダマントを『捏ね』る。最近では軽く伸ばした両端を持って『捏ね』ながら引っ張ることで細長くする技を身に付けているので程なくして完成した。
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「確かにそうだね!」
フヨヨンは呵々と笑った。
「次は綺麗な棒にするよ」
フヨヨンは旋盤にアダマントの棒を固定する。
「さあ、ルキアス君はこの棒を形が崩れない程度に『捏ね』て柔らかくしてくれたまえよ」
ルキアスが言われた通りにアダマントの棒を固定された根元付近で『捏ね』始めると、フヨヨンは旋盤を起動した。
「え……?」
「本来なら材料の方を回転させるのだけど、それをやってはルキアス君の手が擦り切れてしまうから刃の方を回転させてるよ」
「それはいいんですけど、これ、近くありません!?」
回転する切削刃が間近に迫って怖い上、切削油まで跳ねて降り掛かって来る。
「これどこまで削るんです!?」
「あっ!」
「えっ!?」
「ルキアス君が持ってる辺りまで削らなければだね」
「ちょっと!」
ルキアスは手を放した。一旦中止である。
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