生活魔法は万能です

浜柔

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 フヨヨンは更に二日掛けて銃の再設計とモックアップの再作成をした。

「これならどうだい?」

 今度のモックアップはグリップと銃口を除いて正面から見ればほぼ正方形をしている。気持ち縦長か。横から見れば長方形だ。

「四角いのはどうしてです?」
「その方が角の分、狭い幅で重量を稼げるからだよ。実際に構えてみたら幅が狭い方が横に向け易いようだったからね。傾けて撃ったりは殆どしないだろう?」
「確かにしません」

 ルキアスはモックアップを受け取って構えてみるが、見た目の無骨さから来る印象よりも構え易かった。

「さて、今度の設計の注目点はそれだけじゃないよ。一見すると重くて浅層では使い難そうだけど、ネジを外して側面カバーを外せばバラストの脱着ができるからね。バラストを外せば浅層で使うのに十分な軽さになる筈さ」

 バラストは四角くなった四隅、駐退機の一部であるバラストベイに装着する。

「ダンパーは一〇〇弾をバラストありで撃つ場合に合わせるから、一〇〇弾をバラスト無しで撃ったら衝撃がもろに伝わるから気を付けてくれたまえよ」

 駐退機のダンパーを支えるのは銃床だ。可動部分が想定より速すぎる場合に起きるダンパーの衝撃が伝わるのも銃床となる。そして駐退機が無い時に発射の衝撃を受けるのも銃床だから、最悪は駐退機が無いに等しい状態と化す。
 だが不都合になるのはバラストを積まずに大威力の弾丸を撃った場合のみだ。バラストを積まずに標準弾を撃っても殆ど後座はしないが、標準弾以上の衝撃が起きるものではない。

「え……、あ……、はい」

 ルキアスはふんわり理解した。一度に聞いてもかなりの部分が右から左へと消えてしまっていた。

「……」
「ただいまー」
「ただいま」
「よう、帰ったぜ」
「シャルウィ? ザネク? タイラクさん!?」

 もやっとした顔のフヨヨンがルキアスに何か言おうとしたところでシャルウィ、ザネクに加えてタイラクも帰って来た。

「ダンジョンタワーに行ったらたまたまタイラクさんに会ったから一緒に帰って来たのよ」
「まあ、そう言うこった」
「剣、早かったですね!」

 タイラクがベクロテに行ってからまだ五日。実質三日で剣を打って貰ったことになるのだ。

「おう。やっぱり職人だな。珍しがって最優先で打ってくれたぜ」

 俄に賑やかになったことで、フヨヨンのもやもやはうやむやになった。
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