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556 反動を
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ルキアスがグズグズしていると言われて若干落ち込むのもお構いなしにフヨヨンは話を続けた。
「ただね。一〇〇弾に耐えられる銃は作れるのだけど、単に銃が発射に耐えられればいいと言うものでもないんだ」
「え……? 他に何が?」
「反動だよ。単純に言えば、一〇〇弾は標準弾の一〇〇倍の威力だけど、その威力の代わりに反動も一〇〇倍になるんだ。普通の銃で普通の人が撃ったんじゃ、銃が壊れなくても人の方が壊れてしまうね」
「それってダメじゃないですか」
「解決法が無い訳ではないよ」
「ほんとですか!?」
「勿論だとも。銃の重さも一〇〇倍にしたら反動は増えないんだ」
ルキアスが持つ銃なら銃本体の重さは弾頭の約三〇〇倍。発射時に銃と弾頭それぞれが燃焼ガスによって受ける力は同じだから、銃が受ける衝撃は単純計算で弾頭が受ける衝撃の三〇〇分の一になる。銃が一〇〇倍の重さになれば三万分の一だ。
「やっぱりダメじゃないですか。銃を一〇〇倍も重くしたら持てませんよ」
「普通には無理だね。でも深層組なら大丈夫さ。尤も、深層組なら一〇〇倍の衝撃にも耐えられるだろうから、銃の重さを一〇〇倍にしなくても大丈夫だね」
重さを一〇倍にして一〇倍の衝撃に耐えるのが折り合いとして良さそうだと言う。一〇〇倍の衝撃に耐えられるからと銃を軽くし過ぎれば、発射時の体勢次第で腕力とは関係無く銃が弾き飛ばされかねない。逆に銃を重くし過ぎれば取り回しが困難になる。
「まあ、銃に何も仕掛けをしなかったらの話だけどね」
「へ?」
「マズルブレーキや駐退機を付ければ衝撃が軽減されるんだよ」
マズルブレーキは発射時の燃焼ガスを横向きに逃がすパーツで、燃焼ガス噴射による反動を軽減するのと同時に、燃焼ガスがマズルブレーキを押すことでも銃が受けた反動を軽減させる。
駐退機はダンパー機構で発射時に銃身のみを後座させることで一瞬だった銃への衝撃を時間的に引き延ばしてゆっくり伝えるようにする。単純に言えば、衝撃が掛かる時間を一〇〇倍に引き延ばせば衝撃に備えるべき強度が一〇〇分の一になる。実際には衝撃の分散はそこまで均等にならないのでもう少し強度が必要だ。
また駐退機と共に復座機を備え、後座・復座の期間に弾丸の次弾装填を行う機構を付け加えれば自動装填が、激発機構も付け加えれば自動で連射が可能になる。
「へ……、へえ?」
「口で説明しても理解し辛いかも知れないね」
ルキアスの理解が全く及んでいないのを見て取ると、フヨヨンは後日に実物を用意してから説明することにした。
「ただね。一〇〇弾に耐えられる銃は作れるのだけど、単に銃が発射に耐えられればいいと言うものでもないんだ」
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「反動だよ。単純に言えば、一〇〇弾は標準弾の一〇〇倍の威力だけど、その威力の代わりに反動も一〇〇倍になるんだ。普通の銃で普通の人が撃ったんじゃ、銃が壊れなくても人の方が壊れてしまうね」
「それってダメじゃないですか」
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「ほんとですか!?」
「勿論だとも。銃の重さも一〇〇倍にしたら反動は増えないんだ」
ルキアスが持つ銃なら銃本体の重さは弾頭の約三〇〇倍。発射時に銃と弾頭それぞれが燃焼ガスによって受ける力は同じだから、銃が受ける衝撃は単純計算で弾頭が受ける衝撃の三〇〇分の一になる。銃が一〇〇倍の重さになれば三万分の一だ。
「やっぱりダメじゃないですか。銃を一〇〇倍も重くしたら持てませんよ」
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重さを一〇倍にして一〇倍の衝撃に耐えるのが折り合いとして良さそうだと言う。一〇〇倍の衝撃に耐えられるからと銃を軽くし過ぎれば、発射時の体勢次第で腕力とは関係無く銃が弾き飛ばされかねない。逆に銃を重くし過ぎれば取り回しが困難になる。
「まあ、銃に何も仕掛けをしなかったらの話だけどね」
「へ?」
「マズルブレーキや駐退機を付ければ衝撃が軽減されるんだよ」
マズルブレーキは発射時の燃焼ガスを横向きに逃がすパーツで、燃焼ガス噴射による反動を軽減するのと同時に、燃焼ガスがマズルブレーキを押すことでも銃が受けた反動を軽減させる。
駐退機はダンパー機構で発射時に銃身のみを後座させることで一瞬だった銃への衝撃を時間的に引き延ばしてゆっくり伝えるようにする。単純に言えば、衝撃が掛かる時間を一〇〇倍に引き延ばせば衝撃に備えるべき強度が一〇〇分の一になる。実際には衝撃の分散はそこまで均等にならないのでもう少し強度が必要だ。
また駐退機と共に復座機を備え、後座・復座の期間に弾丸の次弾装填を行う機構を付け加えれば自動装填が、激発機構も付け加えれば自動で連射が可能になる。
「へ……、へえ?」
「口で説明しても理解し辛いかも知れないね」
ルキアスの理解が全く及んでいないのを見て取ると、フヨヨンは後日に実物を用意してから説明することにした。
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