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542 引越
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メイナーダがポンと手の平を合わせる。
「ユアもそろそろ一人で眠る年頃だし、ベッドを買いに行きましょう。ルキアスちゃんのベッドも一緒にね」
そしてルキアスの腕に腕を絡めながらコテンと首を傾げる。
「それともわたしと一緒のベッドがいいかしら?」
「べ! べべべ別のベッドで!」
「あらあら、そんなに否定しなくていいのに。ちょっと傷付いちゃうわ」
メイナーダは言葉とは裏腹に楽しそうに言う。
そうして既にオープンしているこの町の家具屋に行くのだが、あったのは良く言えば質実剛健、悪く言えば質素な品のみ。メイナーダのお眼鏡には適わなかった。
しかしルキアスに十分だ。むしろ質素な方が気兼ねなく使える。だからそれを買い、『収納』には入れ辛かったのでザネクと二人で持ち上げている振りをして『傘』に載せて運ぶ。
その途中メイナーダは言う。
「今度一緒にベクロテまで買いに行きましょう」
ルキアスは明日にでもベクロテに飛ぶことになりそうだ。ユアのベッドを買わず仕舞いだったので、ルキアスがベッドを買い直さなくても行くことに変わりない。
その後は早めに探索を切り上げたタイラクとフヨヨンとも合流し、引越を終えた。
今まで寝泊まりしていた部屋の鍵はキルシルセッカの渉外担当ジェルロに預けたので憂いは無い。彼はまだここに居たのだ。
工房に行ったままになると思われたフヨヨンは一旦工房へと行きはしたが、予想に反して間もなく戻って来た。場所と中の確認だけして来たらしい。工房は大きく分けると表から休憩所兼応接室、作業場、裏庭となっているが、内装や設備などは利用者次第なので今は何も無い状態だ。これではいくらフヨヨンでも鉄砲玉のように行った切りとはならなかったらしい。
夕食も七人がメイナーダの部屋に集まって一緒に摂り、夜が更ける前にそれぞれの部屋へと引き上げた。
夜半過ぎ。メイナーダは不意に目が醒め、横に寝ていた筈のユアが居なくなっていることに気が付いた。
一瞬動転しかけるが、直ぐに最も可能性の高い居場所に思い至る。
音を立てないように廊下に出て、隣の寝室に忍び込む。
弱々しく『ランプ』を灯してそこに置かれたベッドの上を確かめる。
思った通りにユアがルキアスの布団に潜り込んでいた。
ルキアスはユアに潜り込まれたことに気付かずに眠っている様子だ。
「二人とも無防備なんだから」
無防備に眠るルキアスはこの隙にもし唇を奪われても気付かないだろう。
メイナーダは暫く二人の寝顔を眺めた後、またこっそり部屋を出て自室へと戻った。
「ユアもそろそろ一人で眠る年頃だし、ベッドを買いに行きましょう。ルキアスちゃんのベッドも一緒にね」
そしてルキアスの腕に腕を絡めながらコテンと首を傾げる。
「それともわたしと一緒のベッドがいいかしら?」
「べ! べべべ別のベッドで!」
「あらあら、そんなに否定しなくていいのに。ちょっと傷付いちゃうわ」
メイナーダは言葉とは裏腹に楽しそうに言う。
そうして既にオープンしているこの町の家具屋に行くのだが、あったのは良く言えば質実剛健、悪く言えば質素な品のみ。メイナーダのお眼鏡には適わなかった。
しかしルキアスに十分だ。むしろ質素な方が気兼ねなく使える。だからそれを買い、『収納』には入れ辛かったのでザネクと二人で持ち上げている振りをして『傘』に載せて運ぶ。
その途中メイナーダは言う。
「今度一緒にベクロテまで買いに行きましょう」
ルキアスは明日にでもベクロテに飛ぶことになりそうだ。ユアのベッドを買わず仕舞いだったので、ルキアスがベッドを買い直さなくても行くことに変わりない。
その後は早めに探索を切り上げたタイラクとフヨヨンとも合流し、引越を終えた。
今まで寝泊まりしていた部屋の鍵はキルシルセッカの渉外担当ジェルロに預けたので憂いは無い。彼はまだここに居たのだ。
工房に行ったままになると思われたフヨヨンは一旦工房へと行きはしたが、予想に反して間もなく戻って来た。場所と中の確認だけして来たらしい。工房は大きく分けると表から休憩所兼応接室、作業場、裏庭となっているが、内装や設備などは利用者次第なので今は何も無い状態だ。これではいくらフヨヨンでも鉄砲玉のように行った切りとはならなかったらしい。
夕食も七人がメイナーダの部屋に集まって一緒に摂り、夜が更ける前にそれぞれの部屋へと引き上げた。
夜半過ぎ。メイナーダは不意に目が醒め、横に寝ていた筈のユアが居なくなっていることに気が付いた。
一瞬動転しかけるが、直ぐに最も可能性の高い居場所に思い至る。
音を立てないように廊下に出て、隣の寝室に忍び込む。
弱々しく『ランプ』を灯してそこに置かれたベッドの上を確かめる。
思った通りにユアがルキアスの布団に潜り込んでいた。
ルキアスはユアに潜り込まれたことに気付かずに眠っている様子だ。
「二人とも無防備なんだから」
無防備に眠るルキアスはこの隙にもし唇を奪われても気付かないだろう。
メイナーダは暫く二人の寝顔を眺めた後、またこっそり部屋を出て自室へと戻った。
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