生活魔法は万能です

浜柔

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541 引っ越し先

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 翌日。ルキアス、ザネク、シャルウィ、メイナーダ、そしてユアは思い立ったが吉日とばかりに借りる家を決めに出掛けた。
 候補に選んだ場所を廻り、ルキアス達の最有力候補にメイナーダも同意した。これはあくまで場所的なもので、この近辺で家を借りようと言う話だ。
 探索者組合で不動産屋の場所を聞き、不動産屋を訪ねて候補地近くで借りられる家を問い合わせる。すると、キルシルセッカの厚意でダンジョン発見者たるルキアス達六人――ユアを含めれば七人――向けに幾つか家が確保されていていたのが判明した。家賃もキルシルセッカ持ちでの提供だ。そしてその一つが候補として選んだ場所程近くにある。それだけでなく、フヨヨン向けに工業区画に工房も用意されていると言う。
 それらの建物は一部を除いて完成していて、候補地近くの建物も完成しているらしい。近々全て完成するので、完成したら連絡を取る予定だったらしい。それを図らずも先に知った訳だ。
 五人は取りも直さず候補地近くの物件へと下見に向かった。
 クリューの町の敷地は限られているので、居住用の建物は全て二階建ての集合住宅になっている。無論集合住宅にはグレードがあり、単身向けの寝る以外には殆ど何もできそうにない部屋もあれば、家族でゆったりとした時間を過ごせそうな部屋もある。
 ルキアス達に用意されたのは後者の部類だろう。

「大きい……ですよね?」

 部屋を借りるにも目安とする広さがあるものだ。目前に建つ二階建て集合住宅は、全六戸の一戸だけでもルキアスが考えていたその目安より三倍くらいありそうに見える。

「入ってみましょう」

 中を見てみれば予想よりも広く感じられた。リビング兼用ダイニングキッチンに寝室が三つ。各部屋には十分と言える広さがある。部屋数はヌワジの小屋と同じで、広さもより広いくらい。四人家族も十分に住めるだろう。
 おまけにベッドも各戸に一台ずつ用意されていた。

「これだけの広さがあるんだもの。ルキアスちゃん、ここでもわたし達と一緒に住みましょう?」
「そ、それは……」

 ルキアスは一瞬の動揺の後、断ろうと口を開き掛けるが、ユアに服の端をつんつん引っ張られて断るに断れなかった。
 そんな三人を横目に、ザネクとシャルウィも一緒に暮らす相談をしていたらしかった。

「それじゃ、決まりね。タイラクとフヨヨンもここに住まわせましょう」

 メイナーダがパンと手を合わせて宣言する。一箇所に全員が住んでしまえばこの建物全体が自分達の城のようなものになる。使い勝手が良くなると言うものだ。
 便宜的な部屋の割り振りは二階の階段側からタイラク、シャルウィ、メイナーダ。一階は同じくフヨヨン、ザネク、ルキアスの順にした。実際にはルキアスが真上のメイナーダとユアの部屋に、ザネクが真上のシャルウィの部屋に住んで、下は空き部屋になる。
 フヨヨンも工房に居着くと思われるので、実質は空き部屋になるに違いない。
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