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537 鋼材
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手持ちの鋼材にはルキアスがベクロテのダンジョンの深層でアダマントを『捏ね』た報酬の一部としてフヨヨンから貰ったものがある。ただこれは貰い物なので品質も値段もはっきりしない。一般的と言い難い高品質品だったら扱いに困る。できれば素性のはっきりした鋼材を用意したいところだ。
「鍛冶師さんから買うのは無理だよね?」
「新品の剣を買って潰したらいいんじゃないか?」
新品の剣であれば、その値段で大凡の品質が予想できる。『捏ね』る前と後での性能の違いを確かめることも可能だろう。
剣を打った職人の感情を無視すればだが。
「……鋼材だけならホームセンターに行けばあるでしょ」
「「それだ!」」
シャルウィは「やれやれ」とばかりに頭を振った。
翌日。三人は朝からベクロテへ飛んだ。日帰りするなら中途半端な時間からの出発は御法度なので日を改めて朝からなのだ。
ベクロテに着いて向かうのはホームセンターのナファー。ラナファーベと名前が被っているのは偶然で因果関係は無い。
店に入ったら直ぐに店員に鋼材の売り場を尋ねて真っ直ぐ向かう。探し回るのも他の色々な商品の知識を得られたりで全く無為とはならないが、今日は目的優先だ。
シャルウィだけは鋼材よりも寝具に心惹かれたようで寝具売り場へ行った。
鋼材は板材や棒材の切り売りだったので、ザネクは厚く幅の狭い板材を予備も含めて剣五本を作れるだけ買った。剣一本当たり一万ダールに満たない代金だった。
「案外安かったね」
「おう。新品の剣なんて買わなくて良かったぜ」
用事の済んだ二人はシャルウィを捜して寝具売り場へ向かう。
「おーい、シャルウィぃ」
「あ! 二人とも、これ見て! 凄く良くない!?」
シャルウィが突き出して見せたのはフェルトの猫耳とデフォルメされた猫顔が縫い付けられた枕型クッションだ。
「お、おう。そうだな」
「うん……。可愛いと思うよ」
クッションの見た目に拘りなど無い二人のテンションは全く上がらない。シャルウィとの温度差が激しかった。
「あ、うん……、あんた達に聞いたあたしが馬鹿だったわ」
シャルウィのテンションもだだ下がり。それでもクッションは買ったシャルウィである。
買い物も済んで店を出る。
ここでルキアスは真剣な表情をザネクとシャルウィに向けた。その真剣な表情が二人を身構えさせる。
ルキアスは尋ねた。
「えっと……、ぼくはラビット丼を食べて帰りたいんだけど、いいかな?」
「「え……?」」
二人の肩からはガクッと力が抜けた。
「鍛冶師さんから買うのは無理だよね?」
「新品の剣を買って潰したらいいんじゃないか?」
新品の剣であれば、その値段で大凡の品質が予想できる。『捏ね』る前と後での性能の違いを確かめることも可能だろう。
剣を打った職人の感情を無視すればだが。
「……鋼材だけならホームセンターに行けばあるでしょ」
「「それだ!」」
シャルウィは「やれやれ」とばかりに頭を振った。
翌日。三人は朝からベクロテへ飛んだ。日帰りするなら中途半端な時間からの出発は御法度なので日を改めて朝からなのだ。
ベクロテに着いて向かうのはホームセンターのナファー。ラナファーベと名前が被っているのは偶然で因果関係は無い。
店に入ったら直ぐに店員に鋼材の売り場を尋ねて真っ直ぐ向かう。探し回るのも他の色々な商品の知識を得られたりで全く無為とはならないが、今日は目的優先だ。
シャルウィだけは鋼材よりも寝具に心惹かれたようで寝具売り場へ行った。
鋼材は板材や棒材の切り売りだったので、ザネクは厚く幅の狭い板材を予備も含めて剣五本を作れるだけ買った。剣一本当たり一万ダールに満たない代金だった。
「案外安かったね」
「おう。新品の剣なんて買わなくて良かったぜ」
用事の済んだ二人はシャルウィを捜して寝具売り場へ向かう。
「おーい、シャルウィぃ」
「あ! 二人とも、これ見て! 凄く良くない!?」
シャルウィが突き出して見せたのはフェルトの猫耳とデフォルメされた猫顔が縫い付けられた枕型クッションだ。
「お、おう。そうだな」
「うん……。可愛いと思うよ」
クッションの見た目に拘りなど無い二人のテンションは全く上がらない。シャルウィとの温度差が激しかった。
「あ、うん……、あんた達に聞いたあたしが馬鹿だったわ」
シャルウィのテンションもだだ下がり。それでもクッションは買ったシャルウィである。
買い物も済んで店を出る。
ここでルキアスは真剣な表情をザネクとシャルウィに向けた。その真剣な表情が二人を身構えさせる。
ルキアスは尋ねた。
「えっと……、ぼくはラビット丼を食べて帰りたいんだけど、いいかな?」
「「え……?」」
二人の肩からはガクッと力が抜けた。
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