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今するべき事を整理すれば、狩りの手順を整えつつ、ザネクの『大盾』と『傘』の併用を確かなものにすること。これによってパーティーの安全性が高まる。ザネクも『大盾』の防御範囲内なら自由に動けそうだと判ったことで、『大盾』に対する忌避感が薄らいでいる様子だ。
二日目には手順もそこそここなれ、直近の課題に乏しいルキアスの脳裏には今後の生き方についてもぼんやり浮かぶ。
(ヨーコのオーダーは一応終わったもんな……)
ベクロテのダンジョンの主であるヨーコ・クグラはここクリューと名付けられたダンジョンから人知れず魔物が溢れるのを危惧してルキアスに監視を求めた。真に求めたのはルキアスがダンジョンの主になることだろうが、ルキアスがもたもたしていたからか、ヨーコの善性故か実際に出されたオーダーは難易度の低い穏便なものになっていた。
それでも当初のルキアスはダンジョン前で独り、キャンプを張って監視すると言う一生ものの難易度の高い仕事と考えた。ダンジョンの価値を軽く見たからでもあるが、あやふやな話を信じてくれる人が居るとも思えなかったからだ。
ところがダンジョンを見付けてみればルキアスなど居なくてもヨーコのオーダーが全うされる環境が出来上がってしまった。
こうなるともうここに居続ける必要も無い。
(だけど他に行きたい所がある訳でもないから暫く今のままかな)
今は独りで細々と暮らすなら無理に稼ぐ必要のないだけの貯蓄がある。それにシャルウィが言った通りに無理をしなくてもそこそこの稼ぎも期待できる。稼げる間はそこそこ稼げばのんびりした老後を過ごせるだろう。
だがもし深い階層を目指すなら装備を整え直さなければならないので今の貯蓄では心許ない。一度深い階層を目指して動き出せば装備の代金に消えてしまうのだから後戻りできなくなる。
無論、深層を目指しても行けるかは話が別だ。今の銃では攻撃力に限界があるのでパーティーのサポート要員が精々になる。
そのサポート要員として特徴を出せるとするなら金属製装備の応急修理か。
ルキアスはタイラクが『大盾』に斬り付けて折った剣を取り出す。捨てるだけだと言うので貰い受けていたのだ。
(修理を試してみよう)
剣の柄を外し、折れ口を合わせて『捏ね』付ける。すると繋ぎ目が潰れて膨らみが出来た。平らな場所に置き、膨らんだ部分を『伸し』て『均し』て出っ張りを解消する。
(曲がった!)
横ではなく縦に曲がった。刃がカクッと反った形だ。横に曲がらないようにと注意深くし過ぎて縦が疎かになっていた。
改めて繋ぎ目を捏ねて真っ直ぐにし、再度『伸し』て『均し』て一体化させる。
(短くなった……)
こればかりは材料を注ぎ足さない限りはどうにもならないだろう。
(そうそう上手くは行かないなぁ)
尤も、第一階層に入って直ぐの場所で狩りをする現状を維持するなら先送りが可能だ。その間に決めれば良いのだ。
二日目には手順もそこそここなれ、直近の課題に乏しいルキアスの脳裏には今後の生き方についてもぼんやり浮かぶ。
(ヨーコのオーダーは一応終わったもんな……)
ベクロテのダンジョンの主であるヨーコ・クグラはここクリューと名付けられたダンジョンから人知れず魔物が溢れるのを危惧してルキアスに監視を求めた。真に求めたのはルキアスがダンジョンの主になることだろうが、ルキアスがもたもたしていたからか、ヨーコの善性故か実際に出されたオーダーは難易度の低い穏便なものになっていた。
それでも当初のルキアスはダンジョン前で独り、キャンプを張って監視すると言う一生ものの難易度の高い仕事と考えた。ダンジョンの価値を軽く見たからでもあるが、あやふやな話を信じてくれる人が居るとも思えなかったからだ。
ところがダンジョンを見付けてみればルキアスなど居なくてもヨーコのオーダーが全うされる環境が出来上がってしまった。
こうなるともうここに居続ける必要も無い。
(だけど他に行きたい所がある訳でもないから暫く今のままかな)
今は独りで細々と暮らすなら無理に稼ぐ必要のないだけの貯蓄がある。それにシャルウィが言った通りに無理をしなくてもそこそこの稼ぎも期待できる。稼げる間はそこそこ稼げばのんびりした老後を過ごせるだろう。
だがもし深い階層を目指すなら装備を整え直さなければならないので今の貯蓄では心許ない。一度深い階層を目指して動き出せば装備の代金に消えてしまうのだから後戻りできなくなる。
無論、深層を目指しても行けるかは話が別だ。今の銃では攻撃力に限界があるのでパーティーのサポート要員が精々になる。
そのサポート要員として特徴を出せるとするなら金属製装備の応急修理か。
ルキアスはタイラクが『大盾』に斬り付けて折った剣を取り出す。捨てるだけだと言うので貰い受けていたのだ。
(修理を試してみよう)
剣の柄を外し、折れ口を合わせて『捏ね』付ける。すると繋ぎ目が潰れて膨らみが出来た。平らな場所に置き、膨らんだ部分を『伸し』て『均し』て出っ張りを解消する。
(曲がった!)
横ではなく縦に曲がった。刃がカクッと反った形だ。横に曲がらないようにと注意深くし過ぎて縦が疎かになっていた。
改めて繋ぎ目を捏ねて真っ直ぐにし、再度『伸し』て『均し』て一体化させる。
(短くなった……)
こればかりは材料を注ぎ足さない限りはどうにもならないだろう。
(そうそう上手くは行かないなぁ)
尤も、第一階層に入って直ぐの場所で狩りをする現状を維持するなら先送りが可能だ。その間に決めれば良いのだ。
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