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529 こんな感じで
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「うおっ!」
ザネクはすんでで魔物の舌を剣で防いだものの、剣に舌を巻き付けられた。
「このっ!」
力任せに剣を引き抜いて後方へ跳ぶ。一旦間合いを取っての仕切り直しを目論んだのだ。
ところが魔物の反応は思いの外早く、殆ど間を置かずにザネクを追い掛けた。
「『傘』!」
ルキアスの『傘』がザネクと魔物の間に割り込んだ。『傘』に衝突した魔物が動きを止める。
「サンキュー、ルキアス」
ザネクはこの隙に態勢を整えた。
「もういいぜ」
ルキアスが『傘』を解除すると同時に魔物に迫る。また魔物が伸ばす舌を注意深く剣で弾いて魔物に肉薄する。
先もカエルの外見を持つ以上、伸びる舌を警戒しなかった訳ではない。警戒していたからこそ剣で防げたのだ。だがこれまでタイラク達深層組と砲台が倒すのを見ただけだったため、この魔物の伸ばす舌の程度が判らずに対応の不慣れが出てしまった。
しかし一度危機的状況になったことで弥が上にも集中力は高まった。魔物の舌を弾いた剣を下から回して斬り上げるように魔物の首へと斬り付ける。
グギャッと魔物が悲鳴を上げる。だが首を切られていながら悲鳴を上げられるのだから致命傷からは遠いだろう。
ザネクは畳み掛ける。袈裟懸けに、横薙ぎに、斬り上げからの逆袈裟懸けに、魔物の攻撃の気配を潰すように斬り付ける。
そして止めの突きを放つ。魔物の胸を捉えた突きは背中へと抜けた。そして直ぐさま剣を引き抜いて距離を取る。
魔物はそのまま棒が倒れるように地に落ちた。
「やった! ザネク!」
「ふいーっ! 結構ギリギリだったぜ」
この場合のギリギリは命のギリギリではなく無傷での勝利にの意味だ。無傷で倒せるようでなければ狩りを継続できない。
「ちょこっと危なかったわね」
「だな。ルキアスが魔物の脚を撃ち抜いてなかったら追い付かれてたかもな」
ルキアスが『傘』を割り込ませた時、ザネクは『傘』無しでも間合いを空けることは可能だった。ただ必要な間合いを空けるまでに『大盾』と壁で囲まれた狭い範囲を逃げ回ってルキアスやシャルウィも巻き込む可能性が極めて高かった。
だがそれもこれもルキアスに脚を撃ち抜かれた魔物の動きが鈍っていればこそだ。傷が無ければ間合いを空けきれなかっただろう。
「じゃあ、もう暫くこんな感じで続ける?」
「おう。頼むぜ」
三人は休憩を挟みながら同様の手順で魔物を狩り続けた。
そして一日が終わる頃にはザネクは一撃で魔物に止めを刺せるようになった。
ただこれは一日で急激に成長したなんてことではないようだ。暫く狩りから遠ざかって鈍っていた勘を取り戻しただけであった。
ザネクはすんでで魔物の舌を剣で防いだものの、剣に舌を巻き付けられた。
「このっ!」
力任せに剣を引き抜いて後方へ跳ぶ。一旦間合いを取っての仕切り直しを目論んだのだ。
ところが魔物の反応は思いの外早く、殆ど間を置かずにザネクを追い掛けた。
「『傘』!」
ルキアスの『傘』がザネクと魔物の間に割り込んだ。『傘』に衝突した魔物が動きを止める。
「サンキュー、ルキアス」
ザネクはこの隙に態勢を整えた。
「もういいぜ」
ルキアスが『傘』を解除すると同時に魔物に迫る。また魔物が伸ばす舌を注意深く剣で弾いて魔物に肉薄する。
先もカエルの外見を持つ以上、伸びる舌を警戒しなかった訳ではない。警戒していたからこそ剣で防げたのだ。だがこれまでタイラク達深層組と砲台が倒すのを見ただけだったため、この魔物の伸ばす舌の程度が判らずに対応の不慣れが出てしまった。
しかし一度危機的状況になったことで弥が上にも集中力は高まった。魔物の舌を弾いた剣を下から回して斬り上げるように魔物の首へと斬り付ける。
グギャッと魔物が悲鳴を上げる。だが首を切られていながら悲鳴を上げられるのだから致命傷からは遠いだろう。
ザネクは畳み掛ける。袈裟懸けに、横薙ぎに、斬り上げからの逆袈裟懸けに、魔物の攻撃の気配を潰すように斬り付ける。
そして止めの突きを放つ。魔物の胸を捉えた突きは背中へと抜けた。そして直ぐさま剣を引き抜いて距離を取る。
魔物はそのまま棒が倒れるように地に落ちた。
「やった! ザネク!」
「ふいーっ! 結構ギリギリだったぜ」
この場合のギリギリは命のギリギリではなく無傷での勝利にの意味だ。無傷で倒せるようでなければ狩りを継続できない。
「ちょこっと危なかったわね」
「だな。ルキアスが魔物の脚を撃ち抜いてなかったら追い付かれてたかもな」
ルキアスが『傘』を割り込ませた時、ザネクは『傘』無しでも間合いを空けることは可能だった。ただ必要な間合いを空けるまでに『大盾』と壁で囲まれた狭い範囲を逃げ回ってルキアスやシャルウィも巻き込む可能性が極めて高かった。
だがそれもこれもルキアスに脚を撃ち抜かれた魔物の動きが鈍っていればこそだ。傷が無ければ間合いを空けきれなかっただろう。
「じゃあ、もう暫くこんな感じで続ける?」
「おう。頼むぜ」
三人は休憩を挟みながら同様の手順で魔物を狩り続けた。
そして一日が終わる頃にはザネクは一撃で魔物に止めを刺せるようになった。
ただこれは一日で急激に成長したなんてことではないようだ。暫く狩りから遠ざかって鈍っていた勘を取り戻しただけであった。
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