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512 方法
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翌朝早くにルキアス達はダブラ村に帰還した。怪魚に凄まれないよう、いつもより高く飛んでのことだった。
そして怪魚の対応について話し合うのだが……。
「そいつは請け負えねぇな」
ドーズは怪魚退治のための水抜きを一言の下に断った。
「ここで命を賭けなくたって、他に仕事はある。危険は冒せねぇよ」
通常のピーラの危険性なら事前に判っているので織り込み済みだ。ダンジョンから魔物が溢れる可能性も察して然るべきだろう。しかし怪魚となると全くの想定外であった。
職人にとって怪魚退治は畑違いで、命を賭ける対象ではない。湿地から離れれば怪魚に怯える必要は無いとなれば尚のことだった。
タイラクも駄目元で打診したのだから無理は言わない。
「しかし別の方法となるとな……」
「釣ってみてはどうかね」
考え込むタイラクに、ナンソラが提案した。ナンソラも気になって見に来ていて、そのまま話し合いに顔を出していたのだ。
「釣り? あんなでかいのをどうやって?」
「別に陸に引き上げなくとも良かろうて。水の上にさえ出りゃどうとでもなるのではないかね?」
「あ!」
ルキアスは怪魚が水上を跳ねる光景を思い出した。
「上手く行けば釣れるかも知れません!」
そして方法を提案をした。
「そんじゃ、手順を整理するぞ」
タイラクの宣言に一同頷いた。
「俺とフヨヨンで餌を狩る。それを他のみんなでザネクの『傘』に積む。積み終わったらみんなでルキアスの『傘』に乗って釣りだ」
再び一同頷いた。皆一緒に動くのは最初だから想定外の事態にも対処しやすくするためだ。ルキアスの『傘』に乗って実行するのもその一環だ。安全第一である。
早速端の方の砲台二基を止め、タイラクとフヨヨンで狩りを始める。メイナーダにやらせては餌が損なわれてしまうので二人だけなのだ。
ザネクが床ギリギリで『傘』を差し、手の空いている皆で狩られた魔物を積み上げる。山盛りになったら砲台を再度稼働させ、ルキアスの『傘』に全員が乗り込んで地上へ。
地上に出たらダンジョンの上に待機して、ザネクの『傘』を水上に高く上げる。
「上手く掛かってくれりゃいい……」
タイラクが首尾良く行くのを願う言葉を言い終えるより前に水音が響いた。
ところがこの瞬間、ルキアスの背筋に悪寒が奔る。
「ルキアス君! 上に飛んで!」
フヨヨンも何か感じたのだろう。その叫びに弾かれるように、ルキアスは『傘』を急上昇させた。
そして怪魚の対応について話し合うのだが……。
「そいつは請け負えねぇな」
ドーズは怪魚退治のための水抜きを一言の下に断った。
「ここで命を賭けなくたって、他に仕事はある。危険は冒せねぇよ」
通常のピーラの危険性なら事前に判っているので織り込み済みだ。ダンジョンから魔物が溢れる可能性も察して然るべきだろう。しかし怪魚となると全くの想定外であった。
職人にとって怪魚退治は畑違いで、命を賭ける対象ではない。湿地から離れれば怪魚に怯える必要は無いとなれば尚のことだった。
タイラクも駄目元で打診したのだから無理は言わない。
「しかし別の方法となるとな……」
「釣ってみてはどうかね」
考え込むタイラクに、ナンソラが提案した。ナンソラも気になって見に来ていて、そのまま話し合いに顔を出していたのだ。
「釣り? あんなでかいのをどうやって?」
「別に陸に引き上げなくとも良かろうて。水の上にさえ出りゃどうとでもなるのではないかね?」
「あ!」
ルキアスは怪魚が水上を跳ねる光景を思い出した。
「上手く行けば釣れるかも知れません!」
そして方法を提案をした。
「そんじゃ、手順を整理するぞ」
タイラクの宣言に一同頷いた。
「俺とフヨヨンで餌を狩る。それを他のみんなでザネクの『傘』に積む。積み終わったらみんなでルキアスの『傘』に乗って釣りだ」
再び一同頷いた。皆一緒に動くのは最初だから想定外の事態にも対処しやすくするためだ。ルキアスの『傘』に乗って実行するのもその一環だ。安全第一である。
早速端の方の砲台二基を止め、タイラクとフヨヨンで狩りを始める。メイナーダにやらせては餌が損なわれてしまうので二人だけなのだ。
ザネクが床ギリギリで『傘』を差し、手の空いている皆で狩られた魔物を積み上げる。山盛りになったら砲台を再度稼働させ、ルキアスの『傘』に全員が乗り込んで地上へ。
地上に出たらダンジョンの上に待機して、ザネクの『傘』を水上に高く上げる。
「上手く掛かってくれりゃいい……」
タイラクが首尾良く行くのを願う言葉を言い終えるより前に水音が響いた。
ところがこの瞬間、ルキアスの背筋に悪寒が奔る。
「ルキアス君! 上に飛んで!」
フヨヨンも何か感じたのだろう。その叫びに弾かれるように、ルキアスは『傘』を急上昇させた。
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