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実験をした翌日。ルキアスはまたベクロテに飛んだ。干拓やその後の施設建設に携わる職人を輸送するためである。居住性などを考慮すると一度に運べるのは五人まで。合計三〇人を六回に分けて運ぶ。
ジェルロの時のような騒動にならないよう、一旦家の二階程度の高さで止まって乗り合わせる人の様子を確かめる。するとジェルロのような暴れ方はしないまでも高さを怖れる人は居た。
そこで実験したばかりの『シェード』を使う。できれば『傘』の下面を均一に暗くしたいところだが、均一を目指せば『傘』全体が魔法の適用範囲になってしまって前が見えなくなる。だから側面近くで透明になる強度で、下面中央部で発動させる。
すると怖がっていた人の恐怖も薄らいだようだ。地面どころか床にさえ足が着いてないように感じられる透明さが悪いらしい。
それでも尚飛ぶのを怖れる職人も居て、他の職人と交替することとなったのは致し方ないだろう。
そんな若干予定通りに運ばない部分があったものの、期間的には予定通りの六日間、六往復で足りた。
集まった職人達は渉外担当のジェルロも含めて順次打ち合わせに入った。この打ち合わせに探索者が顔を突っ込む余地は無いので、職人を運んでいるルキアス以外は日がな一日自由時間だ。
ルキアスが輸送を勤める最終日もザネクやシャルウィは暇にしていた。
「なんか何にもできないまんまだよな」
ザネクはぼやいた。
「思ってたのとちょっと違うわよね」
シャルウィが溜め息混じりに応えた。
「暇なら魚釣りでもしてみるかの? 道具なら貸してやるでの」
「爺さん……。そうだな。道具を貸して貰えるならやってみるぜ」
二人に話し掛けたのはナンソラだ。釣り道具を携えている。
「嬢ちゃんはどうするね?」
「折角だけどあたしは見るだけにしとくわ」
釣るのはあの獰猛な魚ピーラだ。危険な上、ぬるっとした質感の魚には触りたくないシャルウィであった。
ザネクはナンソラに手解きを受けながらピーラを釣る。
前に聞いていた通り、釣り針に余った肉片を付けて水の中に放り込めば入れ食いだ。
「滅茶苦茶釣れるな……」
「これどうやって食べるのかしら?」
「丸焼きにしたらええよ」
ナンソラは薪になる枯れ枝を集め、ルキアスが実験したまま放置していた竈で火を熾してピーラを焼いた。少しくらい壊れていても露地よりは焼き易い。
「見た目と違って美味いな」
「ほんとだ。美味しい」
「口に合って良かった」
「もう少し釣っていいか?」
ザネクは他のメンバーの分も釣ろうと考えた。職人にもと考えれば四〇食近く必要なのだ。
「ええよ。好きなだけ釣ればいい」
「あんがと」
そうしてまた釣り針を水に放り込んだザネクだったが、奇妙な程今までにない強い当たりが来た。
水から出て来たのは奇っ怪な姿の魔物であった。
ジェルロの時のような騒動にならないよう、一旦家の二階程度の高さで止まって乗り合わせる人の様子を確かめる。するとジェルロのような暴れ方はしないまでも高さを怖れる人は居た。
そこで実験したばかりの『シェード』を使う。できれば『傘』の下面を均一に暗くしたいところだが、均一を目指せば『傘』全体が魔法の適用範囲になってしまって前が見えなくなる。だから側面近くで透明になる強度で、下面中央部で発動させる。
すると怖がっていた人の恐怖も薄らいだようだ。地面どころか床にさえ足が着いてないように感じられる透明さが悪いらしい。
それでも尚飛ぶのを怖れる職人も居て、他の職人と交替することとなったのは致し方ないだろう。
そんな若干予定通りに運ばない部分があったものの、期間的には予定通りの六日間、六往復で足りた。
集まった職人達は渉外担当のジェルロも含めて順次打ち合わせに入った。この打ち合わせに探索者が顔を突っ込む余地は無いので、職人を運んでいるルキアス以外は日がな一日自由時間だ。
ルキアスが輸送を勤める最終日もザネクやシャルウィは暇にしていた。
「なんか何にもできないまんまだよな」
ザネクはぼやいた。
「思ってたのとちょっと違うわよね」
シャルウィが溜め息混じりに応えた。
「暇なら魚釣りでもしてみるかの? 道具なら貸してやるでの」
「爺さん……。そうだな。道具を貸して貰えるならやってみるぜ」
二人に話し掛けたのはナンソラだ。釣り道具を携えている。
「嬢ちゃんはどうするね?」
「折角だけどあたしは見るだけにしとくわ」
釣るのはあの獰猛な魚ピーラだ。危険な上、ぬるっとした質感の魚には触りたくないシャルウィであった。
ザネクはナンソラに手解きを受けながらピーラを釣る。
前に聞いていた通り、釣り針に余った肉片を付けて水の中に放り込めば入れ食いだ。
「滅茶苦茶釣れるな……」
「これどうやって食べるのかしら?」
「丸焼きにしたらええよ」
ナンソラは薪になる枯れ枝を集め、ルキアスが実験したまま放置していた竈で火を熾してピーラを焼いた。少しくらい壊れていても露地よりは焼き易い。
「見た目と違って美味いな」
「ほんとだ。美味しい」
「口に合って良かった」
「もう少し釣っていいか?」
ザネクは他のメンバーの分も釣ろうと考えた。職人にもと考えれば四〇食近く必要なのだ。
「ええよ。好きなだけ釣ればいい」
「あんがと」
そうしてまた釣り針を水に放り込んだザネクだったが、奇妙な程今までにない強い当たりが来た。
水から出て来たのは奇っ怪な姿の魔物であった。
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