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493 小屋
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ルキアス一行はナンソラとタズワンの案内で村外れの小屋へとやって来た。それは湿地の水辺に在った。
水辺だけあって、小屋はタイラクでも見上げる高さに床が在り、梯子で登り降りするようだ。
「ヌワジ爺は漁師だったけーが、歳での。去年ぽっくり逝ってしもうた」
「そうそ。魚を売りに来ねと思うて様子を見に来りゃ、梯子の下で死んじょっての。梯子から足滑らせたようじゃった」
「それ、ぽっくりって言うのか?」
ルキアスはタイラクが困惑気味に発した疑問に頷きつつ梯子を見上げた。ほぼ垂直に掛けられていて、足を滑らせるのも頷ける。年寄りでなくてもあまり登り降りしたくない梯子だ。
「細かいことはええんさ。足滑らすのも風邪引くのも死にゃ一緒やけーの」
「お、おう……」
タイラクは彼らの大雑把さに困惑を隠せなくても、無意味な追及はしなかった。
「ヌワジ爺には家族が居らんでな。それっきりここは空き屋になっとるで、好きに使うてもろうてええからね」
「おう。ありがとうよ」
「だけどこんな所で何を捕ってたのかしら?」
「そりゃピーラだ」
「ピーラ?」
「この湿地に住み着いとる魚だ。馬の骨でも山羊の内蔵でも余ったもんを釣り針に付けて放り込めば釣れるでの」
「随分ワイルドね……」
「それって鹿でも人でも食い殺すあの魚なんじゃ……」
「そう言うこともあるかのぉ」
「え!?」
シャルウィは顔を蒼くして口元を手で押さえた。何かを思い出したらしい。
「そんなに怖がらんでもええよ。水に足突っ込んだりせなんだら大丈夫だ」
「おっともう日が暮れそうになっとるね。儂らはここらでお暇しようかね」
ナンソラとタズワンはルキアス一行が小屋に入るのを見届けもせずに帰って行った。
「えーと、じゃあ『傘』」
何となく梯子に不安を覚えたルキアスは『傘』を差した。便乗したのはザネクとシャルウィだけだ。ルキアスが『傘』で上昇する間にタイラク、メイナーダ、フヨヨンはジャンプ一発でテラスに乗った。
「「「……」」」
改めて深層組の身体能力に驚かされた浅層組三人である。
小屋に鍵は付いていなかった。ガラス窓は無いので昼でも暗い。『ランプ』を灯して暗い室内に入る。埃が舞った。
「確かに人が住まなくなって半年以上経ってそうね」
「しかしこう埃っぽくちゃ寝るに寝られないよ」
フヨヨンはぼやいた。
「取り敢えず掃除しましょうか」
メイナーダの声にも少し憂鬱さが混じった。
水辺だけあって、小屋はタイラクでも見上げる高さに床が在り、梯子で登り降りするようだ。
「ヌワジ爺は漁師だったけーが、歳での。去年ぽっくり逝ってしもうた」
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ルキアスはタイラクが困惑気味に発した疑問に頷きつつ梯子を見上げた。ほぼ垂直に掛けられていて、足を滑らせるのも頷ける。年寄りでなくてもあまり登り降りしたくない梯子だ。
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「おっともう日が暮れそうになっとるね。儂らはここらでお暇しようかね」
ナンソラとタズワンはルキアス一行が小屋に入るのを見届けもせずに帰って行った。
「えーと、じゃあ『傘』」
何となく梯子に不安を覚えたルキアスは『傘』を差した。便乗したのはザネクとシャルウィだけだ。ルキアスが『傘』で上昇する間にタイラク、メイナーダ、フヨヨンはジャンプ一発でテラスに乗った。
「「「……」」」
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「しかしこう埃っぽくちゃ寝るに寝られないよ」
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メイナーダの声にも少し憂鬱さが混じった。
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