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479 砲台
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翌日。朝から砲台の試運転だ。砲台を設置して魔石を充填する。
この間に襲って来る魔物にはタイラクが対応した。
「起動するよ。退いてくれたまえよ!」
「おう!」
フヨヨンはタイラクが退くと同時に砲台を起動した。次の瞬間には砲塔となる上部が旋回し『火魔法』を次々と放つ。魔法が放たれる度に魔物が炎上した。
「凄……」
ルキアスは感嘆の声を漏らした。魔物が次々に魔石だけを遺して燃え尽きて逝く。ただその魔石は半数近くが原形を保てず崩れてしまっている。
「予想したより火力が出ているようだね。ルキアスの『捏ね』がレベルアップしたのかな? まあ、それはいいか。見たところ魔石を消費するより残る方が多いからね。じゃあ一旦外に出るよ」
魔石の収支さえ合えば問題ないと言うフヨヨンが皆を促して外に出る。
「どうして外に?」
「魔物には砲台に反応して貰わなけりゃ面倒だからね。その確認だよ」
魔物が人にしか反応しないようでは囮として誰かが居なければならないが、砲台に反応してくれれば誰も居る必要が無い。
「そろそろいいかな」
一〇分程経ってからまた第一階層へと降りて入口から様子を覗く。
「魔物が居なくなってるね」
「失敗ですか?」
「そうなるね。ってことで、ルキアスにはもう一つ指輪を『捏ね』て貰おう」
ルキアスはフヨヨンの依頼でちょちょちょいとアダマントの指輪を『捏ね』た。
「それ……、アダマントだよな?」
ザネクが念を押すように尋ねた。
「うん。これだけ硬いのはアダマントだよ」
「昨日より作るの早くなってないか?」
「昨日は久しぶりで少し手間取っちゃったから、その分がかな」
ルキアスは話ながら指輪を「はい、これ」とフヨヨンに渡す。
「少しか……、なるほど少しなんだな」
ザネクは腕を組んで判ったかのように頷いた。
一方、フヨヨンはアダマントのリングに魔法を付与する。
「『挑発』はタイラク、頼むよ」
『挑発』は人の存在感を周囲に発する補助魔法だ。魔物はその存在感を無視できない。フヨヨンはこれをタイラクと一緒に指輪に付与すると、砲台を回収して第一階層を出た場所で改造した。
「さあ、再挑戦だよ」
また砲台を設置すると、またダンジョンの外へと出る。
また一〇分程経って様子を見ると、今度は砲台が破壊されていた。魔法を放つのが間に合わなかったと思われる。
「こうなったら三台に増やすよ!」
作成は翌日一杯まで掛かった。設置は更に次の日である。
この間に襲って来る魔物にはタイラクが対応した。
「起動するよ。退いてくれたまえよ!」
「おう!」
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「凄……」
ルキアスは感嘆の声を漏らした。魔物が次々に魔石だけを遺して燃え尽きて逝く。ただその魔石は半数近くが原形を保てず崩れてしまっている。
「予想したより火力が出ているようだね。ルキアスの『捏ね』がレベルアップしたのかな? まあ、それはいいか。見たところ魔石を消費するより残る方が多いからね。じゃあ一旦外に出るよ」
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「うん。これだけ硬いのはアダマントだよ」
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「少しか……、なるほど少しなんだな」
ザネクは腕を組んで判ったかのように頷いた。
一方、フヨヨンはアダマントのリングに魔法を付与する。
「『挑発』はタイラク、頼むよ」
『挑発』は人の存在感を周囲に発する補助魔法だ。魔物はその存在感を無視できない。フヨヨンはこれをタイラクと一緒に指輪に付与すると、砲台を回収して第一階層を出た場所で改造した。
「さあ、再挑戦だよ」
また砲台を設置すると、またダンジョンの外へと出る。
また一〇分程経って様子を見ると、今度は砲台が破壊されていた。魔法を放つのが間に合わなかったと思われる。
「こうなったら三台に増やすよ!」
作成は翌日一杯まで掛かった。設置は更に次の日である。
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