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473 頼みは
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ルキアスはダンジョン前に『傘』を止めた。
「これは確かにダンジョンだ。もう入ってみたのかい?」
「一度だけ。第一階層からベクロテのダンジョンなら三〇階……に出るような魔物がうじゃうじゃしていました」
ルキアスは「三〇階」の部分でメイナーダに目でお伺いを立てつつ答えた。ルキアス自身は第三〇階層での戦闘の経験が無いから見積もりはメイナーダやタイラク任せなのだ。
「うじゃうじゃなんだね……。それなら中堅どころの探索者が大勢集まった方がいいくらいだね。しかしそれには……」
キルシルセッカは周囲を見回しながら思案する。
「もしかしてルキアス君が頼みたい一つはここに堤防を築いて水没の虞を抑えることかな?」
「その通りです!」
具体的な話はまだしていなかったが、現場を見せるだけでキルシルセッカには十分だったようだ。
あっと言う間にここでの話は済んだ。ラナファーベ方面へと向かう。
「橋が必要だね。だとすると、堤防に高さを合わせて、堤防には上から入るのがいいだろう」
キルシルセッカはルキアスに聞かせるような声で独り言を言った。
そしてルキアスが購入を依頼したい土地まで来たところで地上に降り立った。
「軟弱地盤のようだね。ここに建物を建てるのは少々手間が掛かりそうだけど……」
キルシルセッカはダンジョンとラナファーベを見比べる。
「……ここに拠点を構えるのが最適だろうね。ついでに探索者組合も建てよう」
「探索者組合……?」
「ベクロテではダンジョンタワーと呼ばれがちだけど、あそこは行政機関と言うだけでなく組合でもあるんだ。ここでは行政機能は必要無いから組合だけになるんだよ」
「なるほど……」
ルキアスはそこら辺をあまり判っていなかった。探索者を続けるだけなら受付で登録して買取所で成果を買い取って貰うことだけ憶えれば十分だったのである。
これを見透かしたらしいメイナーダが微笑ましげにクスクス笑った。
「ルキアス君の頼みは環境整備も含めて引き受けよう。細々した関連の作業もこちらでやっておこう」
「全部お任せしていいんですか?」
「無論だとも。その代わりに細かい権利関係の管理もこちらに任せて貰うことになるけどね」
「勿論大丈夫です……」
と答えてからルキアスはメイナーダに目でお伺いを立てる。ちょっと自信が無かったのだ。
メイナーダは頷いた。
「拠点建築の費用も持って貰うことで全て清算でどうかしら?」
権利を持っていても有効に使えなくて宝の持ち腐れになるのがオチだからと言う。
キルシルセッカもそれに同意した。
「これは確かにダンジョンだ。もう入ってみたのかい?」
「一度だけ。第一階層からベクロテのダンジョンなら三〇階……に出るような魔物がうじゃうじゃしていました」
ルキアスは「三〇階」の部分でメイナーダに目でお伺いを立てつつ答えた。ルキアス自身は第三〇階層での戦闘の経験が無いから見積もりはメイナーダやタイラク任せなのだ。
「うじゃうじゃなんだね……。それなら中堅どころの探索者が大勢集まった方がいいくらいだね。しかしそれには……」
キルシルセッカは周囲を見回しながら思案する。
「もしかしてルキアス君が頼みたい一つはここに堤防を築いて水没の虞を抑えることかな?」
「その通りです!」
具体的な話はまだしていなかったが、現場を見せるだけでキルシルセッカには十分だったようだ。
あっと言う間にここでの話は済んだ。ラナファーベ方面へと向かう。
「橋が必要だね。だとすると、堤防に高さを合わせて、堤防には上から入るのがいいだろう」
キルシルセッカはルキアスに聞かせるような声で独り言を言った。
そしてルキアスが購入を依頼したい土地まで来たところで地上に降り立った。
「軟弱地盤のようだね。ここに建物を建てるのは少々手間が掛かりそうだけど……」
キルシルセッカはダンジョンとラナファーベを見比べる。
「……ここに拠点を構えるのが最適だろうね。ついでに探索者組合も建てよう」
「探索者組合……?」
「ベクロテではダンジョンタワーと呼ばれがちだけど、あそこは行政機関と言うだけでなく組合でもあるんだ。ここでは行政機能は必要無いから組合だけになるんだよ」
「なるほど……」
ルキアスはそこら辺をあまり判っていなかった。探索者を続けるだけなら受付で登録して買取所で成果を買い取って貰うことだけ憶えれば十分だったのである。
これを見透かしたらしいメイナーダが微笑ましげにクスクス笑った。
「ルキアス君の頼みは環境整備も含めて引き受けよう。細々した関連の作業もこちらでやっておこう」
「全部お任せしていいんですか?」
「無論だとも。その代わりに細かい権利関係の管理もこちらに任せて貰うことになるけどね」
「勿論大丈夫です……」
と答えてからルキアスはメイナーダに目でお伺いを立てる。ちょっと自信が無かったのだ。
メイナーダは頷いた。
「拠点建築の費用も持って貰うことで全て清算でどうかしら?」
権利を持っていても有効に使えなくて宝の持ち腐れになるのがオチだからと言う。
キルシルセッカもそれに同意した。
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